「そこはかとない」の意味とは?
国語の教科書や小説などを読むなかで、「そこはかとない」という言葉を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、その意味を正しく理解した上で、日頃から使っているという人は少ないかもしれません。
まずは「そこはかとない」の意味や語源について確認していきましょう。
「なんとなく感じられること」
「そこはかとない」とは、「なんとなく感じられる」ことです。明確な理由や原因があるわけではないけれど、なんとなく感じるさまを指します。
「そこはかと」は「どこであるかはっきり」「明確」「明白」などの意味を持ち、「ない」は否定を表します。つまり「はっきりしない」「明確ではない」というニュアンスを持つ表現なのです。
「おぼろげ」「うっすら」「かすかに」などの言葉に近いといえるでしょう。
漢字では「其処は彼と無い」
「そこはかとない」は、漢字では「其処は彼と無い」と書きます。この場合の「彼」は、「かれ」ではなく「か」と読みます。
「その場所にいるのが誰なのか分からないくらい、ぼんやりとしている様子」であることが、漢字からも読み取れるのではないでしょうか。
一般的に漢字表記されることはなく、「そこはかとない」とひらがな表記されるケースがほとんどですが、漢字にすることで言葉の持つ意味がより理解しやすくなります。
語源は平安時代までさかのぼる
「そこはかとない」の語源は、平安時代までさかのぼります。平安時代後期以降に作られたという短編物語集『堤中納言物語』のなかで、「そこはかとない」という言葉が用いられているのです。
「そこはかとなく物語しのびやかにして」という一節があり、これは「まとまりがない」「とりとめがない」といった様子を表しています。
鎌倉時代末期に吉田兼好によって書かれた随筆「徒然草」にも、「そこはかとなく書きつくれば(書きつづれば)」という一節が出てきます。ここでもやはり同じような意味で使われており、非常に歴史のある言い回しであることが分かります。
「そこはかとない」の使い方と例文
普段の会話で「そこはかとない」が使われる機会はそれほど多くないでしょう。しかし、さりげなく「そこはかとない」を使うことができたら、周りから一目置かれるようになるかもしれません。
「そこはかとない」の正しい使い方と例文を詳しく見ていきましょう。