早急の意味は「非常に急ぐ」
早急は「非常に急ぐ」という意味があります。辞書では以下のように解説されています。
【早急(さっきゅう)】
[名・形動]非常に急ぐこと。また、そのさま。至急。そうきゅう。「―な処置が望まれる」「―に対策を講じる」
<小学館 デジタル大辞泉より>
早急が表している場面は、ただ単純に急いでいるわけではありません。なにか緊急性のあるものに対して使われています。
早急の「早」は、速やかにやすぐにといった意味合いがあります。また「急」は、進行が速いことを意味する漢字です。そのため、漢字からもいつも以上に急いでいる様子が分かります。
読み方は「そうきゅう」「さっきゅう」がある
早急は、読み方が2つあることで有名です。その読み方は以下の2つ。
・そうきゅう
・さっきゅう
早急の本来の読み方は「さっきゅう」が正しいとされています。しかし、早という漢字を「そう」と読むことから「そうきゅう」という誤った読み方が広まったのです。文化庁が平成15年度に実施した調査でも、「そうきゅう」が多い結果となりました。
・さっきゅう:21.2%
・そうきゅう:74.5%
(引用 平成15年度「国語に関する世論調査」の結果について|文化庁)
辞書にも「さっきゅう」と「そうきゅう」が載るなど、時代の変化とともに「そうきゅう」の読み方も認められつつあります。
【シーン別】早急の使い方と例文2つ
早急は、意味のとおり非常に急いでいるときに使います。主な使用シーンは、以下の2つです。
1.相手に依頼するとき
2.相手に感謝を述べるとき
以下では、詳しい使い方と例文を紹介します。早急の意味を把握したけれども、実際に使うイメージが湧かない方は、紹介する使い方を参考にしてみてください。それぞれ解説します。
相手に依頼するとき
相手に依頼する場合に、早急を使います。例えば目上の方が、メールの返信が遅いときに使うと丁寧に催促できるでしょう。メールだけではなく、何かしらの対応が遅いときでも使えます。
また「早急なご対応をお願いします」のみの催促だと、不躾な印象を与えてしまうので、「恐れ入りますが」「失礼ですが」などのクッション言葉を入れて謙虚さを表現しましょう。以下の例文を参考に使ってみてください。
〈例文〉
・申し訳ありませんがこの件に関しましては、早急なご対応をよろしくお願いいたします。
・ご多忙の折恐縮ですが、早急のご対応をお願いいたします。
相手に感謝を述べるとき
相手に感謝を述べるときも、早急が使われます。相手が急ぎの対応をしてくれたときに用いましょう。依頼の際にはクッション言葉を入れましたが、感謝を述べるときには必要ありません。
口頭でも使える表現ですが、メールなどの文面上で使われることが多いです。以下の例文を参考に使ってみてください。
〈例文〉
先日は、早急にご対応いただきありがとうございました。
早急の類義語2つ
早急には、以下の2つの類義語があります。
1.非常に急ぐ意味がある「至急」
2.物事を急いで実行する「大急ぎ」
意味が似ている言葉でも、使い方やニュアンスに違いがあるので、違いを知った上で使い分けるようにしましょう。2つの言葉にどのような違いがあるのか気になる方は、以下を参考にしてください。それぞれ詳しく解説します。
非常に急ぐ意味がある「至急」
早急の類義語は、非常に急ぐ意味がある「至急」が含まれます。読み方は「しきゅう」です。辞書では以下のように解説されています。
【至急(しきゅう)】
(1)非常に急ぐこと。大急ぎ。「―の用件」「―お帰りください」「―便」
(2)「至急電報」の略。
<小学館 デジタル大辞泉より>
至急と早急の違いは、前に「大」を付けられるか否かです。至急は、大を付けて「大至急」という単語にできます。大を付けることで、急ぐことを強める表現に変換できるのです。
対して早急は、大を付けることはできません。間違えて「大早急」と使わないよう注意しましょう。例文は、以下のものです。
〈例文〉
大至急、彼女に連絡したいことがある。
物事を急いで実行する「大急ぎ」
大急ぎも早急と似たような意味で使われます。読み方は「おおいそぎ」です。辞書では以下のように解説されています。
【大急ぎ(おおいそぎ)】
[名・形動]たいへん急ぐこと。また、そのさま。「―で用を済ます」
<小学館 デジタル大辞泉より>
自分や身内にも使える言葉で、物事を急いで実行するときにも用いられます。以下の例文を参考に使ってみましょう。
〈例文〉
・大急ぎで荷物を送ってほしいと、姉に伝えた。
・私は大急ぎでお客さまへ連絡をした。
他にもある!読み方が2つある言葉
前述した早急の「そうきゅう」「さっきゅう」のように、日本語には2つ読み方がある言葉が存在します。ここでは代表的な2つの言葉を紹介します。
・1つあればいいことが余計にあること「重複」
・力のあるものに頼って生活すること「依存」
それぞれどのような場面で使われているのか解説します。気になる方はぜひ参考にしてみてください。
1つあればいいことが余計にあること「重複」
1つあればいいことが余計にあることを意味する言葉で「重複」があります。辞書では以下のように解説されています。
【重複(ちょうふく)】
[名](スル)
(1)同じ物事が重なり合うこと。じゅうふく。「語句の―を避ける」「話が―する」
(2)染色体の一部が余分に付着していること。染色体異常の一。
<小学館 デジタル大辞泉より>
「じゅうふく」「ちょうふく」という読み方がありますが、本来は「ちょうふく」が正しいです。重複の「重」は、「じゅう」「ちょう」2つの読み方があります。しかし「じゅう」の読み方を使った単語が多いため、「じゅうふく」が広まりました。
「じゅうふく」の読み方でも伝わりますが、ビジネスシーンでは正しいとされている「ちょうふく」を使うのが無難でしょう。
力のあるものに頼って生活すること「依存」
力のあるものに頼って生活する意味がある「依存」も、読み方が2つあるとされています。辞書では、以下のような意味として解説されています。
【依存(いそん)】
[名](スル)《「いぞん」とも》他に頼って存在、または生活すること。「会の運営を寄付金に―する」「―心」
<小学館 デジタル大辞泉より>
読み方は「いそん」「いぞん」があります。現在の辞書では、濁らない「いそん」を見出し語にし、「いぞん」は許容です。NHKでは平成26年2月の放送用語委員会以降、「いぞん」を優先させているそうです。
早急の意味を正しく知ってビジネスシーンで使おう
早急は急いでほしい物事を依頼したり、すぐに対応してくれたことを感謝したりするときに使います。例文もご紹介したので、ぜひ参考にしてください。類義語は表現したいニュアンスに合わせて使うといいでしょう。
トップ画像・アイキャッチ/(c)Adobe Stock
▼あわせて読みたい