奈良発の新ブランド「茶論(さろん)」って?
今回訪れたのは、奈良!この町に今年の4月24日に稽古・喫茶・見世の3つの場が合わさり、お茶の愉しみを総合的に体感できる「茶論」が出来ると聞きつけ、早速体験しに行ってきました。近鉄奈良駅から春日大社の方へ8分ほど歩くと、花街として栄えた歴史を持つ旧市街地・元林院町にたどりつきます。そう、今回の目的地はこちらです。
看板には、「遊 中川」の文字が…。実はこちらの「茶論」、幅広い生活雑貨を取り扱っている中川政七商店さんのグループから生まれた新ブランドなのです。日本の茶道文化の入り口を広げようと、ブランドディレクターには茶人・芳心会主宰の木村宗慎氏を迎えているとのことで、本格的なことも間違いなし!私が伺ったのは、オープン前日のレセプション日。すでに多くの人で店内は盛り上がっており、注目度の高さが伺えます。まずは稽古の体験コースからどうぞということで、お部屋へ案内していただきました。
茶論のお稽古を体験
▲テンションの上がる美しい中庭がお目見え!
中庭を眺めながら向かったお部屋にいくと…なんと、畳ではなく掘りごたつ!
この日のために用意されたお部屋ではなく、実際もこちらでお稽古するとのことで、あの辛~い正座をずっと我慢しなくてもお茶を楽しめるなんて…うれしすぎます!
▲こちらがお稽古部屋の掘りごたつとテーブル
早速席につき、普段はなかなか目にすることがない掛け軸やお花が設えられた室内をゆっくりと眺めました。正座をしない分、周りを見渡す余裕があるのがいいですよね。始まる前に、香煎という紫蘇の香りがついたお茶が出てきましたが、これは茶事の前に口を潤し、心を落ち着かせていただくという意味があるそう。
▲香煎と御菓子は葛焼き。
香煎を飲みながら体験する人たちと談笑していると、道具一式が入った茶道具箱を持った講師の方が登場。今回体験で教えてくださるのは、店長の西さん。ご挨拶が終わると、まずは西さんが参加者のお茶を点てていきました。
▲これからお茶が点てられていきます
入っていらしたときのお辞儀の仕方もそうでしたが、道具をひとつひとつ丁寧に取り出し、ゆっくりと進めていく西さんの所作は、見習いたいほどの美しさ!その所作に見入っていると、徐々に心も無心に近づいていき、お抹茶を点ててる間のシャカシャカとリズムのよい音だけが聴こえてきます。このたった数分間の間で、室内にはピンと心地よい緊張感が生まれてきました。その証拠に体験した方全員の手が膝の上にあり、背筋も伸びていたほど!
▲背筋が伸びるのを感じます
茶道未経験の私は「本日は気軽にお召し上がりください」というお言葉に甘えて、作法を気にせずにいただきました。飲んでみると、あれ?苦くないしイメージと違って飲みやすい。最初の正座しなくていいスタイルを含め、私が持っていた茶道のかたーいイメージが、徐々に変わってきました。
▲三口半で飲み切るのが茶道のマナーとのこと
お茶が終わった後は、モニターに映るスライドを使って茶の歴史や茶論について学びます。言葉だけではなく映像も交えて説明してくれるので、難しい言葉につまずいていたら説明を聞き逃しちゃった!なんてこともなさそう。そして歴史は平安時代まで遡り、日本に初めて茶をもたらしたといわれる最澄を始め、栄西・村田珠光・千利休など、茶の歴史を語るうえで欠かせない人物たちや、薬として飲まれていた時代があったこと、明治時代にようやく女性に広まったことなど、現代の茶道に至るまでの背景を丁寧に説明してくれます。
その後、茶論が従来の茶道とどう異なっているのか、こちらもスライドを使って解説。特徴は3つありました。
1:畳ではなくテーブルで学べること。(正座ではありません)
2:師匠ではなく、講師。(上から教えを乞うではなく、一緒にお茶の楽しさを共有していきたい)
3:修行ではなく、学び。
また稽古のコースは、すべて木村宗慎氏による監修との事でしたので、信用度も十分!そして、茶論では「心」「型」「知」の3つの要素をバランスよく学んでいくそう。
「心」は、おもてなしの心、相手を想う気持ちのこと
「型」は、点前・作法
「知」は、歴史やものづくりの背景、コードやトレンド
そうすることで稽古を通し、おもてなしの心・力量があがると考えられているとのこと!なるほど…関心していた私は、一気にお茶の世界へ興味が沸いてきました。
「暮らしがより豊かで愉しくなったのは、茶論で磨いた美意識や価値観がきっかけでした。となれたなら私たちにとってこの上ない喜びです。」と言う講師の西さんの心に残る言葉で、稽古は締めくくられました。
お稽古に備えたい!可愛いアイテムでやる気もアップ
▲数寄屋袋(茶道で使う細かい道具を入れる袋)や懐紙入れ
見世スペースでは、もちろんお稽古用グッズを揃えることが出来ます。しかも、今まで茶道の世界では見られなった色鮮やかな古帛紗などもあるとのことで、可愛さもクオリティーも折り紙付きのラインナップ!
▲菓子切り。本漆で塗られていて、形も大きさも2種類ずつ
このほかに、男女で違う大きさの懐紙や白い足袋や靴下も。なぜ、白い靴下や足袋も売っているのか不思議に思い聞いてみると、お茶室に入るときは白い足袋もしくは白い靴下、という決まりがあるとのこと!知らなかった私は、本日グレーの靴下で上がってしまい…お恥ずかしい。
今年の9月には、東京日本橋に2号店が出来るそうなので、それまでに少しずつ知識や必要な道具をそろえて挑みたい!というヤマトナデシコの志を胸にしまい、茶論を後にしました。気になった方、ぜひ足を運んでみてくださいね。
取材協力:茶論〈奈良町店〉
住所:奈良県奈良市元林院町31-1(遊 中川 奈良町本店奥)
電話番号:0742-93-8833
営業時間:10時~18時半
定休日:第2火曜日(祝日の場合は翌日)
茶論 公式サイト