復習のタイミングを考えるとき、資格・検定・試験など、「その日までに覚えていることが目標で、時間的に1回しか復習できない場合」の効率のいい復習タイミングについての研究があります。
2007年のアメリカ・カリフォルニア大学の実験で、学習から試験までの残り日数÷6の日に復習すると成績がよくなるというもので、たとえば60日後が試験日なら6で割って学習から10日後くらいが復習に最適なタイミングになります。1年後(12カ月後)が目標なら、12÷6=2カ月後です。このように実例で考えると、「残りの日数を6で割ったタイミングで復習」は、合理的であることがわかるでしょう。
さらに効果的なのが、学習したら「翌日」、6日あけて「1週間後」、さらに3週間あけて「1カ月後」に復習する「DWM法」。日・週・月ごとに、エビングハウスの忘却曲線をその度ごとに引き上げるイメージで、記憶の長期化が狙えることができます。
【目次】
記憶の容量と気持ちの関係
復習の最適なタイミングはわかりましたが、やる気や不安が記憶にも密接な関係があることにも触れておきます。
アメリカ・シカゴ大学のある実験で、大学生20人に数学のテストを2回受けてもらい、1回目には「ベストを尽くすように」と指示し、2回目は「成績優秀者には賞金」「成績が悪ければ連帯責任」とプレッシャーをかけました。すると1回目に比べ、2回目は成績が12%も下がってしまったのです。
その理由は、プレッシャーが脳のメモである、ワーキングメモリの容量を食ってしまい、考える能力が低下したからだと考えられています。ワーキングメモリは短期記憶の一種で、記憶や情報を一時的に保持して組み合わせて答えを出していく機能のことです。私たちはこの機能を使って勉強したり、仕事をしたり、人とコミュニケーションをとったりしています。
ただ、ワーキングメモリには容量の限界があると考えられており、不安がその容量をある程度食ってしまうと、頭を使ってその場で創造的に答えを導かなければいかないようなテストでは、成績の低下が起こってしまうというわけです。