「二語文」を促そう:絵本を活用
絵本はさまざまな表現に触れる機会になります。また、言葉は興味のあるものをきっかけに伸びることが多く、絵本は子どもの興味関心を探ることができます。
単語から二語文くらいの時期であれば、1ページに1つか2つの絵が載っていて、注目するところが分かりやすく、どんどんページをめくっていけるような絵本がよいでしょう。書いてある順番通りに正しく読み聞かせなくともよいので、「同じものに注目したね」を大切にし、子どもの表情や反応をよくよく観察してあげてください。
それから、絵本に興味がないからといって、落ち込む必要はありません。別の活動を通して言葉をはぐくむかかわりを行いましょう。
「二語文」を促そう:やり取りことばのレパートリーを増やして
もののなまえや数字・色などはいろいろと知っているけれど、会話が増えていかない、やり取りが続かないというお子さんには、「やり取りのことば」のレパートリーに注目してみましょう。「おはよう」や「ばいばい」、「いってきます」などの挨拶ことばや、「〇〇したい人―?」に対するお返事の「ハーイ」などは、取り入れやすいやり取りことばです。
ボールを投げるときの「いくよー」、物を取ってほしいときの「取って」や「開けて」、助けてほしいときの「手伝って」など、言葉をコミュニケーションに使うことがつかめてくると、文でのお話に繋がっていくことが多いです。
【目次】
「二語文」で話さないときは
3歳を過ぎても二語文で話さない場合は、専門家のサポートが必要になる場合もあります。まずは次のことに注意して過ごしてみましょう。
「二語文」で話さない:まずは聞こえの観察・検査を
聞こえる子どもは、言葉を耳から覚えていきます。赤ちゃんのときに聴力検査(新生児聴力スクリーニング検査)を受けていると思うので、まずはそれを確認しましょう。後ろからささやき声で話してみたり、耳のうしろで指の腹をこすり合わせる音を聞かせたりすることなどで、簡易的に聞こえの様子を確認することができます。
難聴児の8割は、聞こえる親御さんから生まれます。また、感染症の後遺症などで後から難聴になることもありますし、難聴の発見が遅れることはゼロではありません。聴力検査を受けたことがない場合や、あっても気になる場合には医療機関に相談しましょう。
「二語文」で話さない:理解力や非言語コミュニケーションの力を観察
言葉は理解力から発達します。周囲のことばがけを理解している様子がありそうでしょうか。また、言葉の理解力をはぐくむ土台となる、非言語コミュニケーションの力も大切です。タイミングよくアイコンタクトを取れたり、物の受け渡しが上手にできたり、おもちゃを一緒に共有して同じ遊びを楽しめたりするなどの力が育っていっているかを観察しましょう。言葉を引き出すヒントが見つかるはずです。
「二語文」で話さない:会話を工夫しよう
二語文を話さないのは、話すチャンス自体があまりないということもあるのかもしれません。赤ちゃんのころのように大人が先回りして察知・代弁してしまうと、かえって子どもがお話しするチャンスを奪っているかもしれません。子どもが話す番をつくり、ゆったり待ってあげながら、言葉を引き出してあげましょう。子どもの発達・成長に合わせてことばがけも変えていけるとよいですね。
「二語文」で話さない:心配な場合は
お住まいの地域の保健所や、子育て支援センターなどに問い合わせ、言葉の発達相談を受けてみましょう。言語聴覚士や心理士(師)などの専門家によるアドバイスをもらえます。また、小児科の発達相談を受診するのもよいでしょう。大切なのは、パパママが悩みを抱え込まないこと。まずは気軽に相談を検討してみてください。
最後に
「二語文」とは「ママ・いた」「マンマ・たべる」など2つの単語を使って話すことをいいます。おおよそ2歳頃に話し始める子どもが多いですが、子どもの発達には個人差があります。3歳を過ぎても二語文を話さない場合は、お住まいの自治体や医療機関の窓口に相談を。大切なのは、パパママが楽しんで子どもと会話をすること。楽しいコミュニケーションで子どもの言葉が増えるようサポートしてあげてください。
『0~4歳 ことばをひきだす親子あそび』(著・寺田奈々 絵・beth /小学館刊)
育児雑誌やSNSなどでお子さんのことばに対して関心のある親御さん達が絶大な信頼をよせる言語聴覚士、「なな先生」こと寺田奈々先生。
そのなな先生から0歳・1歳・1歳半・2歳・3歳の各ステージで言語聴覚士ということばの専門家だからこそおすすめしたい、お子さんのことばをひきだすあそびを計100個、教えてもらいました!
年齢別のことばがけのヒントや、おすすめおもちゃや絵本、ことばに関する心配事を解説するコラムなどあそび以外の情報も大充実です。
監修/言語聴覚士
寺田奈々
慶應義塾大学文学部卒、養成課程で言語聴覚士免許を取得。総合病院、プライベートのクリニック、専門学校、区立障害者福祉センターなどに勤務し、年間100症例以上のことばの相談・支援に携わる。
臨床のかたわら、「おうち療育」を合言葉にコトリドリルシリーズを製作・販売。2022年、初の著書「0~4歳 ことばをひきだす親子あそび」(小学館)を出版。
Instagram:@stkotori
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