キッチンの高さが合わないデメリットとは
キッチンはほぼ毎日使う場所。調理作業を行う人にとっては快適に過ごせる場所であってほしいものです。通常立ったままの作業となるため、キッチンの高さが合っていないと、体にかかる負担も大きくなります。
まずは、そもそも「キッチンの高さ」が合わないまま使っているとどうなるのかを説明していきます。
キッチンは毎日使用するので、作業時の天板の高さが高すぎたり低すぎると、次の3つのようなことが起こりやすくなるといわれています。これらの症状が続くと身体に負担が増し、調理作業自体が苦痛になることも。改めて再確認してみることも大切です。
- 腰痛になりやすい
- 水がはねて、服が濡れることがある
- 調理がしにくい
1：腰痛になりやすい
自分の身長に対して低すぎる天板の場合、腰を曲げた状態での作業となるため、腰に負担がかかり腰痛になりやすくなるでしょう。食器洗いなどの後片付けまで含めると、それなりの時間、立ち作業を行うので、思っている以上に腰に負担がかかります。
今使っているキッチンの高さが合っていないと感じている方は、早めに天板の高さを変更することをおすすめします。
2：水がはねて、服が濡れることがある
さらに、高さが低いキッチンでは天板より上に腰が出てしまうので、シンクでの水洗い作業時に水がはねて、服が濡れやすくなりがち。エプロンを防水性のものにすれば服は濡れなくなりますが、そのエプロンから水が滴り落ちて床が濡れたりします。結果、エプロンや床を拭いたりする手間が増えることにも。
3：調理がしにくい
反対に、自分の身長に対して天板が高すぎると、手に力が入りにくく思うように作業ができません。天板の上では、食材を切る、炒める、混ぜる、こねるなど作業もさまざま。特に硬いものを切る時など無駄に力が入ったりすると包丁などでケガをする危険性もあります。
このようにキッチンの高さは、調理の効率や安全性にも影響するため、適切な高さを知っておくことが必要だといえます。
キッチンの高さの目安とは？
ここからは、キッチンの高さの決め方について紹介します。目安となる数値も記載していますので参考にしてみてください。
一般的には、「身長÷2+5cm」の計算式で出した数値をキッチンの天板の高さの目安としています。例えば、身長160cmの方の場合、適切な高さは85cmが目安となります。
例：「160cm÷2+5cm」=85cm
身長別には以下の通りです。
・身長160cm以下の方におすすめ →80cm
・身長160cm位の方におすすめ →85cm
・身長170cm以上の方におすすめ →90cm
もうひとつ、肘を曲げた状態から「-10cm」という高さも目安となります。これは、キッチンで作業を行う際、ほとんど肘を曲げて行うことが多いため、その状態を考慮した数字です。
しかし、この数値はあくまでも目安。人によっては使いにくいと感じることがあるかもしれませんので、メーカーのショールームなどで実際に体感してみることも重要です。
キッチンの高さを変える時の費用は？
キッチンの高さを変更する場合は、新しくキッチンを購入する、もしくは既存のキッチンの高さを変更するといった2つの方法があります。
費用をできるだけ抑えたい方や、既存のキッチンをまだ使いたいという方は、高さだけを調整することができるのでそちらをおすすめします。新しくキッチンを購入して全部交換する場合との費用比較は以下の通りです。
・既存キッチンの高さ変更する場合：10万円～20万円程度
・新しくキッチンを購入して全部交換する場合：150万円前後
既存のキッチンの高さを変更する際は、既存のキッチンのかさ上げなどを行います。そのため、配管関連の水道管、排水管、ガス管など、それぞれ設備との接続位置が変わることで、配管長さを調整するための費用が余分にかかることがあります。
いずれにしても、後設置する部材の価格や施工業者によって費用に差が出てくることがあるので、2～3社程、見積りを依頼してみましょう。工事の金額や内容をしっかり比較してみて、適切な業者を選ぶようにしてください。
キッチンの高さを変える時の注意点
意外と忘れがちな内容ですので、せっかくリフォームしたのに使いにくい！ といったことにならないよう、覚えておいてください。
- スリッパや、敷物の高さを考慮する
- コンロとレンジフードの距離は規定内に収まるようにする
- メインで使う人を決める
1：スリッパや、敷物の高さを考慮する
普段、スリッパなどの履物を履いて作業する方や、キッチンマットなどを敷いている方は、これらの高さも含めて確認することを忘れないようにしましょう。特に厚底スリッパなどを履く方は、その分だけ身長にプラスされます。実際の作業時には天板の高さが低すぎるということになりますので注意してください。
2：コンロとレンジフードの距離は規定内に収まるようにする
既存のキッチンの高さを変更すると、コンロとレンジフードの距離が変わります。キッチンのレンジフードは建築基準法の規定により、コンロなど加熱機器からレンジフード下端までの距離を100cm以下にしなければなりません。
また、消防法の規定では、消火スペース確保などの観点からコンロとレンジフードフィルターまでの距離は80cm以上と定められています。つまりレンジフードは、コンロなどから80～100㎝の範囲で設置する必要があるということ。この点に注意が必要です。
3：メインで使う人を決める
キッチンを使う人が一人の場合は問題ありませんが、二世帯住宅のようにキッチンを使う人が二人以上いる家庭においては、メインで使う人に合わせた高さを設定するようにしましょう。
同居している方や家族が使う時に身長差によって使いづらいという場合は、キッチンマットやスリッパなどでどちらかが調整したり、大幅な身長差がある方には踏み台を使って、都度合わせてもらうほうが効率的です。
最後に
キッチンの高さにはある程度目安がありますが、使いやすいと感じるのは人それぞれ。実際使ってみると、身長を基準とした高さよりも高い場合も低い場合もあります。基準となる高さ寸法を理解した上で、実際にメーカーショールームなどに行って実物で確認しましょう。
キッチンの使用感やスタイルを確認しながら自分に合ったキッチンを選ぶことが大切です。
監修
藤井円工（ふじい・かずのり）
某大手電機メーカーにてシステムキッチンの商品企画開発に20年従事。
趣味は流行りの“ソロキャンプ”。最近では『商品企画が上手い人 提案が通らない人』と題した電子書籍を出版2021年ビジネスプロジェクト管理部門１位獲得。
２級建築士有資格。
ライター所属：京都メディアライン
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