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2022.12.20

【実録】「片づけ方がわからなかった」安田美沙子さんの〝私が片づけられるようになるまで〟前編

タレントの安田美沙子さんは、10年ほど前バラエティ番組で「片づけられない女」と告白。その「床が見えない」「玄関で寝る」レベルの散らかりぶりは世間を驚かせました。それから数年が過ぎ、2014年に結婚。その後、子供(現在5歳と2歳半)を授かります。母となった安田さんはどのように片づけをしてきたのでしょうか。その苦しみの歴史と片づけで得た気付きについて、紹介します。

結婚8年、妻になり母になり、活躍の場を広げる安田美沙子さん。タレントとしてテレビ出演の他に、経営者、ブランド『FOUR O FIVE』の運営、ファッションブランド『Re:EDIT』、バッグブランド『Root』とのコラボほか、さまざまな領域で活躍しています。それに加えて家事や育児もあり、その多忙ぶりが想像できます。自宅はどのように片づけているのでしょうか。

「私の領域だけはモノだらけでぐちゃぐちゃだった」

安田美沙子さん(以下敬称略):仕事は順調なのですが、家は全然片づいていませんでした。とはいえ、独身時代のように家全体が散らかることはありません。なぜなら夫がきれい好きなので、夫の領域だけはキレイに整っていました。

例えば、私の部屋はモノが堆積していても、夫の部屋、棚、テーブルのスペースは余計なものが一切ありません。リビングも家族の共有スペースなので、主に夫が片づけてくれていました。まるで〝見えない線〟が引かれているような状態でした。

私の領域はモノだらけでぐちゃぐちゃなので、いつも何かが行方不明。特に家や車の鍵、子どもの書類、子ども関連の施設の入館証、請求書など、大切なものに限ってなくなるのです。

それを探すために15~30分以上かかることも。見つからないとみんなイライラするので、家の中がトゲトゲした雰囲気になってしまうのです。その空気を平常時のように戻すことにも労力を使っていました。


▲Before写真(シンク周り)


▲Before写真(シンク下)

「片づけをしなかった理由は、〝片づけ方がわからない〟から」

安田:日常生活に不具合が出ているのに、片づけをしなかった理由は、「片づけ方がわからない」から。

夫を見ていると、自然に片づけ方が身についていると思います。でも、その手順は明文化できませんし、教えてもらってもわからない。どうなると、どんどんものが溜まっていきます。独身時代は、モチベーションアップのために「前回よりもいい家」に2年に1回引っ越しをしていたのですが、そのたびにものが増えていくことを感じていました。

あるとき、親しい仕事仲間の女性が、「片づけを実践的にトレーニングしてくれる先生がいますよ」と、家庭力アッププロジェクトを運営する西崎彩智さんを紹介してくれたのです。

西崎さんは、片づけ×コーチングのメソッドを確立し、すべての家族が「毎日笑顔で、毎日”ごきげんな暮らし”」ができるように導く講座を運営しています。私は西崎さんに初めてお会いした時に「なぜ、片づけなければならないんでしょうか」と質問してしまったんです。それほど、片づけ方どころか、それを行う理由もわからなかったから。

すると、西崎さんは「家は自分自身ですよ。余計なものが溜まっていると、ご自身の状態、家族関係に悪影響を及ぼします」とおっしゃる。そう言われてみると納得する部分もあって、西崎さんのプロジェクトを受けることにしたのです。

ただ、長年培ってきた、自分の中の片づけられないことへの拒否反応はとても強く、西崎さんと話すうちに、耳が聞こえなくなってしまったんです(笑)。それほど私は片づけが苦手でした。


▲Before写真(キッチン)

安田:プロジェクトは、対面講座とZoomを併用し、100人の受講生たちと45日間片づけを続けるという内容。朝6時から10分間、全国から参加するみんなで一斉に片づけをするのです。まず行ったのは、ものを家から出すこと。先に手を付けたのは、西崎さんのアドバイスに従い、キッチンから始めました。


▲実際に安田さんが実践したアクションプランシート

安田:ここは「賞味期限が切れていれば捨てる」というルールが決められるので、私のような片づけ方が全くわからない人にもピッタリ。やると決めたので、迷わずゴミ袋に入れていきました。

すると不思議なことに、気持ちが軽くなっていくのです。視界がどんどん開けて来て、作業スペースも広くなるので、料理もしやすくなりました。加えて、ものを出し続けると、それまでにものが多すぎて使えなかった食器洗浄乾燥機も稼働できるように。使ってみるととても便利でびっくりしました。


▲ワインセラーも稼働できるように。

捨てる判断基準は「好きか・嫌いか、使うか・使わないか」

安田:食洗器を使わずに、家事をするのはかなり大変。手荒れにも悩まされます。ものが多いと、そんなことも考えないんです。「とりあえず、手で洗えばいい」と思ってしまうんです。この「とりあえず、やり過ごそう」という考えが私の中に根を張っていたことがわかったのです。

「とりあえず、とっておこう」と中に何が入っているかわからない段ボールを積み上げてしまう。
そんな思考で、1人暮らしを始めた23歳から17年間生きてきたんだ…と気付きました。キッチンの片づけをすすめるうちに、ものを捨てる練習ができていきました。

ずっと溜め込んでいたものを家から出すことは、過去の自分を否定するようなことでもありましたが、それでは何も始まらない。そして私は、無心に不用品を家から出し続けたのです。

捨てたものの総量は、45日間でゴミ袋60個分以上。判断基準は「好きか・嫌いか、使うか・使わないか」。

個数を決めたり、〇年使っていないからなどの線引きではなく、自分の心の声を聴いて、厳しめに判断しました。膨大な量の服やバッグは、友人に譲るなどしました。続けるうちに気持ちがいいほど、ものが家からなくなっていったのです。

片づいた家で起こった変化とは……後編に続きます。

取材・文/前川亜紀

タレント

安田美沙子

1982 年、京都府出身/20歳でミスマガジンに選ばれてデビュー。タレントのほか、ランナーとしても活躍中。株式会社 four o five CEO を務めながら、日本の伝統技術とコラボレーションしたブランドディレクター。食育インストラクター、健康食コーディネーター、ランニングアドバイザーの資格を取得。食育団体 Chefood に所属し活動。著書『安田美沙子の Run から始まる笑顔な暮らし 美・食・走るーーー私のゆる楽しい日々の習慣~』(小学館)も好評発売中。2 男児の母。

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