「月極」の正しい読み方は「つきぎめ」
「月極」の正しい読み方は「つきぎめ」です。1か月を単位として契約などを決めることという意味があります。「げっきょく」という読み間違いが多い言葉であるため、注意してください。「月極」は「月極め」と送り仮名をつけて表記されることもあります。
辞書では「月極め」と表記されることの多い言葉です。
【月極め】
1か月を単位として契約などをきめること。
「―の駐車場」「―で新聞をとる」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「月極」の「極」は「きめる」と読む場合は常用外漢字です。この読み方は小中高では習わないため、「げっきょく」という読み間違いが多くなっていると考えられます。
■「月極」の漢字の由来
「月極」の漢字の由来は「月」と「極」に分けて説明すると、わかりやすいでしょう。「月」はそのまま「1か月」を表します。「極」は戦前までは「契約する」「約束する」「きめる」という意味で使われており、その意味を反映して「月極」になりました。
夏目漱石の小説『それから』の中に、「仕様がない。覚悟を極めませう」という文章があります。主人公の代助に対して、代助の友人の妻である三千代が放った有名な言葉で、「仕方がない。覚悟をきめましょう」という意味です。
夏目漱石がこの小説を発表した明治時代には「極」は「きめる」という意味で使われていました。しかし、戦後になって、「極」が「きめる」という意味でほとんど使われなくなってきた経緯があります。
街中でよく見かける「月極駐車場」が「月決」ではなく、「月極」という漢字が使われているのは、「契約する」というニュアンスの強い言葉だからです。
■「月決」を使っている地方もある
「月極」、もしくは「月極め」が正しい表記ですが、「月決」という表記を使っている地方もいくつかあります。高知県では「月極駐車場」ではなく、「月決駐車場」と表記されるのが一般的とのことです。
また、北海道、青森、秋田でも「月決駐車場」と表記されることが少なくありません。「月極」が常用外漢字であるのに対して、「月決」は常用漢字でもあり、使いやすい面もあります。「月決駐車場」でも間違いではないというのが、現在の一般的な見解です。
「月極」の使い方と例文
「月極」の使い方は、意味のとおり、1か月ごとの契約に対して使います。とくによく見かけるのは「月極駐車場」という言葉でしょう。
【例文】
・家には駐車場がついていませんが、家の近くに月極駐車場があるため、助かっています。
・工場で使っているハイテク機器は月極でのレンタル品ですが、料金が何度も値上がりしているため、会社の利益を圧迫しています。
・健康食品の月極契約を解約したいのですが、契約したサイトへのログイン時のパスワードがわからず、解約に手間取ってしまいました。
ビジネスでよく使われる「月極」の類義語4つ
「月極」の類義語は数多くあります。ざっと列記すると、「マンスリー」「毎月」「各月」「月次」「例月」「月例」「月毎」などです。その中でもとくにビジネスでよく使われている4つの類義語の意味と例文をご紹介します。
いずれも会議やレポート、帳簿などでよく登場する言葉なので、それぞれの意味と違いを理解しておいてください。
1.マンスリー
マンスリーは「毎月」「月々」「毎月1回刊行される出版物」「月刊雑誌」などの意味のある言葉です。また、「マンスリーマンション」の略語として使われることもあります。ビジネスでは「マンスリーレポート」などで使われる言葉です。
【例文】
・月末はただでさえ忙しいのに、マンスリーレポートの提出締め切り日でもあるため、プレッシャーがあります。
・私の住んでいる町内では、ゴミ集積場の掃除当番がマンスリーで決まっています。
2.月次
月次の意味は「毎月」「月例」「つきなみ」です。このほかにも「天空での月の位置」などの意味もあります。読み方は「げつじ」と「つきなみ」です。
【例文】
・新入社員のAくんは、毎回月次報告書を丁寧に書いてきますが、文章が長すぎるため、あまり要領のいいタイプとは言えません。
・彼からのプロポーズの言葉はあまりにも月次すぎましたが、それはそれで悪くないかと思ってしまいました。
・ここ半年ほど、部長は月次売上報告書を見るたびに、暗い顔をしてため息をついているため、気になってしまいます。
3.月例
月例には「毎月行われること」という意味があります。読み方は「げつれい」です。定例になっているというニュアンスが強く、ビジネスでも日常生活でも、使われる頻度が高いといえるでしょう。
【例文】
・うちの部署の月例会議では、いつも部長が長々と話をするため、眠気を抑えるのが大変です。
・大学のテニス同好会のメンバーとは、就職後もしばらく月例会と称して、テニスをしていましたが、いつのまにか自然消滅してしまいました。
4.月毎
月毎の意味は「月々」「毎月」「各月」で、読み方は「つきごと」です。この場合の「毎」は「まい」ではなく、「ごと」と読みます。
【例文】
・ここ1年ほど、我が社では月毎の収支はずっと黒字が続いているとのことですが、給料がアップするという話は出ていません。
・ここ数年の月毎の降水量を見ていくと、増えている月と減っている月があって、極端になってきていることがわかります。
「月極」の読み方と意味を知って正しく使おう
「月極」の正しい読み方は「げっきょく」ではなく、「つきぎめ」です。もともと「極」には「きめる」という意味があったため、この表記になった経緯があります。「月極」は「1か月単位で契約する」というニュアンスのある言葉と言えるでしょう。
「月極」は送り仮名をつけて「月極め」と表記することもあります。また、地方によっては「月決」という表記をすることもあるため、「月決」も決して間違いとはいえません。しかし、一般的に使われている「月極」と表記するほうが無難でしょう。
「月極」の読み方と意味を知って、正しい使い方をしてください。
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