実業家とは〝経済的事業を営む人〟のこと
実業家とは、生産・流通・販売などの事業を営む経営者のことです。いずれも実際の生活に役立つ事業分野です。
現在は肉体労働をともなわない事業を経営している、あるいは複数の事業を成功させている事業家といったニュアンスで用いられることが多いですが、元々の意味は異なります。
大辞泉には、次のような意味が記載されています。
【実業家:じつぎょうか】
商業・工業・金融業など、経済的事業を営む人。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
■そもそも実業とは
さまざまな解釈があるものの、実業には具体的に以下のような事業が該当するとされています。
・農業
・商業
・工業
・水産業
実業は、いわゆる「事業」よりも狭義で使われる点が特徴です。これにより、実業家は生産や流通、販売などの事業を営む経営者を指します。
実業家と似た言葉5つ
実業家に似ている表現として、同じように経営をおこなう人を意味する言葉がいくつか挙げられます。ここでは、以下の5つの意味をご紹介しましょう。
1.起業家
2.企業家
3.事業家
4.社長
5.経営者
1.起業家
起業家は、自分で事業をおこす経営者を意味する言葉です。1970年頃に起きたいわゆる第一次ベンチャーブーム以降、注目されるようになったとされています。
業種の限定はなく、自身でアイディアを生み出し、世にない新たな商品やサービスを創出する人をあらわします。既存の企業や事業の後継者は、起業家には該当しません。
なお起業家のうち、社会問題をビジネスで解決する経営者のことを「社会起業家」といいます。何もない状態からニーズに応えたサービスや商品を生み出し、イノベーションを起こす点は起業家と同じです。しかし、社会起業家が起業する目的はあくまでも社会問題の解決であることが特徴です。
2.企業家
企業家は、企業経営に取り組む者をあらわす言葉です。経営者の中でも特にアクティブに経営をおこなっていく人を指し、会社を経営していれば誰でも企業家にあてはまるわけではないともされます。
しかし明確な定義づけが存在するわけではないため、日常的には企業経営をおこなっていれば企業家と呼ぶことも多いです。
3.事業家
事業家とは、事業をおこなう経営者のことです。なかでも、「事業を巧みに営む高い経営能力の経営者」といったニュアンスをあらわすことも少なくありません。
たとえば起業した後に事業の拡大を成し遂げると、起業家がさらに事業家に変わるともいわれています。
4.社長
企業の業務執行上の最高責任者であり、代表権限を持つ人を社長といいます。実業家が生産や流通などの経済的事業を営む経営者を指したり、起業家にはすでに存在する事業の後継者は含まなかったりするのに対し、社長にはこれらの制限はありません。
なお、社長は法律で決められたものではなく、商慣習上の呼称です。一方で、社長の肩書として用いることのある「代表取締役」は会社法で定められた呼称であることをおさえておきましょう。
5.経営者
経営者とは、企業の経営方針や経営計画を策定し、全般的な管理を担う経営管理者の呼称です。対象となる事業が限定的な実業家と違い、あらゆる事業が対象であり、幅広く使われます。
経営者は社長と同様に、自身が事業を立ち上げたか否かは問われません。社長が企業内での肩書であるのに対して、経営者は企業経営の実務の権限を有している点が特徴です。
実業家になるには
実業家になりたい場合、実際に実業家として成功している人の特徴を確認することをおすすめします。もちろん一概にはいえませんが、自分に適性があるかどうかを事前に判断する一助になるかもしれません。また、実業家になるにはいくつかのステップを踏む必要があります。
ここでは、実業家として成功する人の特徴と実業家になるためのステップを解説していきましょう。
■実業家として成功する人の特徴
実業家として成功する人の特徴として、たとえば以下のような点が挙げられます。
・チャレンジ精神が旺盛である
・コミュニケーション能力が高い
・世の中の流れに敏感である
実業家として成功するのは、チャレンジ精神が旺盛である人が多い傾向にあります。何ごとにも柔軟に取り組む姿勢が求められるため、失敗を恐れて人と同じことをしていては結果が出せません。
また、コミュニケーション能力の高さも必要です。実業家として実績のある人の多くは幅広い人脈を持ち、人との付き合いを重視しています。新たな考え方やアイディアは、人との交流のなかで生まれることがあるためです。人脈を広げることで顧客を紹介してもらえる可能性もあります。ただし、事業の成功のために、やみくもに人脈を広げるのはあまり意味がありません。信頼できる相手と、ある程度の深い人間関係を構築することが重要です。
さらに世の中の流れや流行に敏感なことも、実業家として成功する特徴のひとつといえます。事業を成功させるためには、市場のニーズを的確に捉えていなければなりません。そのためには日々アンテナを広く張り、情報収集をおこなう必要があります。
■実業家になるためのステップ
実業家になるためのステップとしては、おもに以下の3つが挙げられるでしょう。
1.事業の内容と規模を決める
2.ビジネスプランを策定する
3.事業資金を調達する
はじめに、事業の内容と規模を決めます。このとき、ニーズや収益の見込みの有無を確認するほか、社会や人のために役立つかといった視点を踏まえることが重要です。
次に、具体的なビジネスプランを策定します。ビジネスプランに盛り込む内容としては、おもに以下のような例が挙げられます。
・商品、サービスの概要やターゲットなどの事業内容
・市場規模や成長性
・競合に対する優位性
・事業を実現するプロセス
・事業運営を継続するためのしくみ
・想定されるリスクと解決策
・資金計画
ビジネスプランが策定できたら、事業資金を準備します。自己資金を用意するほかにも、金融機関からの融資を受けたり出資者を募ったりするなどの方法があります。
また、条件を満たせば国や自治体の補助金や助成金を受給できる可能性があるため、自治体のホームページなどを確認しておくとよいでしょう。事業を開始する段階で、必要な資金を調達しておくことをおすすめします。
実業家の意味や似た言葉との違いを理解しよう
実業家とは、生産・流通・販売など実際の生活に役立つ事業を営む経営者のことです。
実業家に似た言葉として、起業家・企業家・事業家などがあります。混同しやすいためそれぞれの違いを知り、正しく使用しましょう。
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