血迷うの意味とは?
会話の中で、「あのときは血迷ってしまって…」などと表現することはありませんか? 普段何気なく使っている言葉ですが、改めて考えてみるとどのような意味なのかよくわからないということも多いかもしれません。
まずは、「血迷う(ちまよう)」の意味を辞書で調べてみましょう。
のぼせ上がって正常な判断力を失う。逆上して理性を失う。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
激しい怒りや悲しみなどの感情に襲われると、普段ならしない行動や判断をしてしまうこともあるはず。つまり、「血迷う」とは、頭に血がのぼるような感覚になり、一時的に物事を冷静に判断することができなくなることだといえるでしょう。
使い方を例文でチェック!
「血迷う」はどのような場面で使われる言葉なのでしょうか? 言葉の意味を想像しながら一緒に見ていきましょう。
1:男性は何を血迷ったのか、いきなり刃物を振りかざした
「何を血迷ったのか」という表現もたびたび用いられます。はたから見て突拍子もない行動を起こした人に対して、「どうしてあんなことをするのか」というニュアンスで使われることが多いです。逆上して怒り出したり、殴ってくるなど危険な行動が起きた際に頻出する表現です。
2:血迷ったのか、クラスで一番喧嘩が強い相手に彼は決闘を申し込んだ
通常では理解できないような、無謀な行動に出たときにも「血迷う」という表現が使われます。自分と比較してあまりにもレベルが違いすぎる相手とは争っても仕方ないと考える人が多い中、あえて戦おうとする人に対して、周囲が「冷静に判断できていない」と思っていることを表した一文です。
3:そんな過酷なレースに挑戦するなんて、彼は血迷ったとしか思えない
他人が理解できないような判断をした人に対して、「血迷う」は使われることが多いです。この例文でも、大半の人が挑戦しない過酷なことに挑戦する人に対して使われていますね。「どうしてそんなことをするのだろう?」と理解に苦しむ様子が伝わってきます。
類語や言い換え表現は?
続いて、「血迷う」と似た意味のある言葉を挙げていきます。それぞれどのような意味を持つのか見ていきましょう。
1:逆上せる(のぼせる)
1 血が頭へのぼって、ぼうっとなる。上気する。
2 興奮して理性を失う。血迷う。逆上する。
3 すっかり夢中になる。熱中する。
4 思い上がる。うぬぼれる。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
上記のように、「逆上せる(のぼせる)」にはいくつかの意味があります。そのうちのひとつが「興奮して理性を失う」という意味で、「血迷う」の類語といえます。
2:逆上
続いて、「逆上(ぎゃくじょう)」の意味も調べてみましょう。
激しい怒りや悲しみなどのために、頭に血が上ること。分別をなくし取り乱すこと。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
カッとなって怒鳴ったり、喚いたりするなど、激しく怒って取り乱しているときに使われます。「血迷う」は、正常な判断を失っているというニュアンスが強いですが、こちらは、より激しい怒りの感情自体に重きを置いた表現といえるかもしれません。
(例文)
・ニュースによると男は逆上して刃物をふるっているらしい
・いつも穏やかなAさんが逆上しているところを初めて見た
英語表現は?
「血迷う」のニュアンスをそのまま英語に翻訳するのは難しいですが、ここでは近い意味を持つ「lose one’s mind」という表現を紹介します。
「lose one’s mind」は、「理性を失う」などの意味を持つ言葉です。「lose」は「失う」、「mind」は「心」を指すことから、直訳すると「心を失う」こととなります。その意味から派生して、冷静な判断力をなくした場合などに用いられているようです。
(例文)
・If you think about her too much, you will end up losing your mind. (あまり彼女のことを考え過ぎると、おかしくなってしまうよ)
・I’m so busy with work that I feel like I’m losing my mind.(仕事が忙しすぎて、おかしくなりそうだよ)
最後に
この記事では、「血迷う」の意味や使い方、類語などを見てきました。「血迷う」とは、頭に血が上ったようにのぼせて、正常な判断力を失っているような状態を指します。あまりポジティブな意味を持つ言葉ではないため、使うシーンや相手に配慮したいもの。そのためにも、言葉の意味を覚えておいてはいかがでしょうか。