「数多」とは?
非常に数が多いことを「数多(あまた)」と表現します。では「数が多い」というのは、どの程度多いのでしょうか。本章では「数多」という言葉について、語句の意味や語源・由来を解説します。
「数多」という言葉がいつから用いられているのか、なぜ数多と書いて「あまた」と読まれるようになったのか、本章で確認していきましょう。
■言葉の意味・読み方
「数多(あまた)」とは、数が非常に多い状況を表す言葉です。一般的に「数多」は、数量が多いことを指す表現として使用されますが、古文の文脈では「非常に」「大変」といった、意味で用いられています。なお辞書によると、以下のように解説されています。ここまでの解説と辞書による説明、どちらも合わせて言葉の意味を理解してください。
[副]
1.数量の多いさま。たくさん。多く。名詞的にも用いる。
2.程度のはなはだしいさま。非常に。はなはだしく。
〈小学館 デジタル大辞泉より〉
■言葉の語源・由来
「数多」という言葉の起源は古く、奈良時代にさかのぼります。当時は『万葉集』が制作された時代であり、数量や程度を指す言葉として使用されていました。しかし平安時代以降、主に「数が多い」という意味で用いられるようになったとされています。
漢字から見ても、文字通りに「数が多い」ことを示す言葉であると分かります。「数多」はもともと「あま」と読みまれており、接尾語の「た」が付けられたことで「あまた」と読むようになりました。
■「幾多(いくた)」との違い
「数多」と似た言葉に「幾多(いくた)」という言葉が存在します。「幾多」とは、数量の多いことを指しており、具体的な数では表現しきれないほどの多さを示す言葉です。「数多」と「幾多」は、ともに文語的な表現であり、数量が膨大で具体的な数値で表現しきれない状況に使用されます。つまり「数多」と「幾多」は、基本的に同義語として用いられます。
「数多」の類対義語
「数多」という言葉は、複数の類義語と対義語があります。類義語の例としては「多量」や「かなり」などが考えられるでしょう。一方で対義語には「少し」や「わずか」などが、代表的な例として挙げられます。本章では類義語と対義語をそれぞれ紹介したうえで、言葉の意味についても触れていきます。ぜひ参考にしてください。
類義語
「数多」の類義語には、以下のようなものが存在します。
・多量
・かなり
・たくさん
・多数
もちろん先ほど紹介した「幾多」も、「数多」の類語として含まれます。いずれも果てしなく数が多いことを示しています。
対義語
類義語とは反対に、「数多」には対義語もあります。「数多」の類義語として一般的に用いられているのは、以下2つの言葉です。
・少し
・わずか
「少し」と「わずか」、どちらも数がごく少数であることを示す言葉です。数えきれないほど多くあることを表現する「数多」とは、まったく逆の意味をもつ言葉であると分かります。
「数多」の使い方
「数多」がどのような言葉なのかは、お分かりいただけたでしょう。それでは実際、日常会話や文章の中で「数多」を使う場合、どのような使い方をするのでしょうか。本章では「数多」の使い方について、例文や文学作品での使用例を用いて解説します。実際の例文を知っておくことで、うっかり誤用してしまうことなく使用できるでしょう。
例文
「数多」を用いる場合は、以下のような例文に沿って使用してください。
・少子高齢化を止めるには、数多の課題をクリアしなければならない
・彼女の歌声には、数多の人々を魅了する力がある
・山の方へ行くと、夜空に数多の星が輝いていた
・数多の飲食店から、もっとも高評価な店を選んだ
・スキルがある人ならば、転職先も引く手あまただ
・新人賞をとった作家の元には、数多の出版社から依頼が来ているだろう