嘱託(しょくたく)って何?
「嘱託(嘱託社員)」とは、通常の正社員とは異なる契約条件に基づいて働く従業員です。再雇用される労働者や、一定期間のみ雇用される専門職の従業員などが「嘱託社員」と呼ばれます。
ただし、法的な定義は存在せず、「契約社員」や「パートタイム労働者」との区別が曖昧です。本章では嘱託社員について、詳しい意味や再雇用以外の嘱託社員について、解説します。
しょく‐たく【嘱託/▽属託】
1 仕事を頼んで任せること。委嘱。「資料収集を—する」
2 正式の雇用関係や任命によらないで、ある業務に従事することを依頼すること。また、その依頼された人やその身分。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
■雇用形態の1つ
「嘱託(嘱託社員)」とは、通常の正社員と異なる契約条件に基づいて働く、労働者を指します。再雇用される際や特定の専門業務に従事するために期間限定で雇用される場合、これらの労働者を「嘱託社員」と呼びます。
法的な厳密な定義は存在しませんが、一般的には、通常は定年後に再雇用される労働者を指す際に「嘱託社員」という用語がよく使用されます。
■再雇用以外の嘱託社員とは
「嘱託社員」という呼称は、再雇用された定年後の労働者に限らず、以下のようなケースでも使用されることがあります。
・特定のプロジェクト(期間限定)単位で雇用される労働者
・専門的な業務を担当するため、期間限定で雇用される労働者
上記のように、特別なプロジェクトのためだけに採用される労働者や、特定分野のみに従事する労働者も「嘱託社員」と呼ばれます。
他の雇用形態との違い
雇用形態はさまざまであり、ひと言で労働者といっても「正社員」「契約社員」「パート」「アルバイト」が存在します。嘱託社員と他の雇用形態との違いについて、本章で紹介します。
ただし嘱託社員には明確な定義がありません。そのため、中には共通する部分もあります。違いはどこなのか、逆に共通している点はどこなのかに注目してみましょう。
正社員との違い
「正社員」は、雇用契約に期間の定めがありません。嘱託社員は通常、期間限定の契約を結びます。そのため嘱託社員の契約が終了すれば、会社は更新を拒絶できます。これが通称「雇い止め」です。
一方で正社員は、契約に期間がないため、単に期間が終了しただけで契約を終了できません。正社員の契約が終了するのは、労働者が自主的に辞職した場合や、合法的に解雇された場合、または労働者が亡くなった場合です。
パート・アルバイトとの違い
「パート」は通常、正社員よりも短い労働時間でシフト制に従事する労働者を指します。「アルバイト」は特に短時間で働く労働者(学生やフリーター)を指します。
嘱託社員もシフト制で働いている場合は、パートに近い働き方になります。働く時間が非常に短い場合は、アルバイトに近い形態になるでしょう。一方、フルタイムで働く嘱託社員は、パートとは異なる形態と言えます。
契約社員との違い
「契約社員」は、法的に定義されていません。しかし、通常は期間の定めがある雇用契約を結んでいます。嘱託社員も期間の定めがある雇用契約を結ぶため、嘱託社員は契約社員の一種とされています。
定年後に再雇用される労働者や、特定の業務に従事するために期間限定で雇用される労働者などが含まれます。嘱託社員と契約社員の間には、大きな違いはありません。
嘱託社員のメリット・デメリット
嘱託社員を採用することには、企業と嘱託社員双方にさまざまなメリットがあります。その反面、嘱託社員を雇用する企業には、デメリットもあるでしょう。
本章では、企業と嘱託社員から見たメリットと、雇用する企業のデメリットについても解説します。メリットとデメリット、どちらの要素も考慮したうえで、嘱託社員として雇われる、嘱託社員を雇用することを検討してください。
嘱託社員のメリット
嘱託社員を雇用することで、企業が得られるメリットは、以下の2つです。
1.即戦力を雇用できる
2.正社員よりもコストを抑えられる
嘱託社員は業務を理解しており、蓄積された経験があります。そのため即戦力を期待できるでしょう。また新たに正社員を雇用するよりも、コストを抑えられます。嘱託社員から見ても、以下のようなメリットがあります。
1.業務をゼロから覚える必要がない
2.定年退職後も収入を得られる