嘱託社員のデメリット
嘱託社員には、以下のようなデメリットもあります。
1.更新手続きが発生する
2.上司部下の関係が複雑
3.モチベーション維持が難しい
嘱託社員は契約期間が決まっているため、契約が終了すると更新手続きが必要です。また、再雇用としての嘱託社員になる場合、管理職から平社員になる可能性もあります。
上下関係に気を遣うかもしれません。また役職がなくなることから、モチベーションの維持が難しくなることも考えられるでしょう。
嘱託社員を雇用する注意点
嘱託社員を雇用する際は、いくつかの注意点があります。例えば、高年齢者雇用安定法の遵守や無期転換ルール、同一労働同一賃金などです。また期間が終了するまでは、基本的に従業員を解雇できない点も留意してください。
本章ではそれぞれの注意点について、詳しく解説していきます。場合によっては法律違反となってしまうため、気をつけましょう。
高年齢者雇用安定法
高年齢者雇用安定法とは、企業が60歳以上の従業員を、再雇用するケースに適用されます。法改正によって、60歳以上の従業員は、「継続雇用制度の導入」「定年の廃止」「定年の引上げ」のうち、いずれかの措置をしなければ、再雇用できません。
無期転換ルール
無期転換ルールとは、契約期間が5年を越えた場合、契約が無期雇用契約に変更されるルールのことです。このルールは、嘱託社員にも適用されます。
ただし、特定の条件を満たす場合は、無期転換ルールが適用されない特例制度があります。定年退職後に再雇用される嘱託社員に関しては、無期転換申込権が発生しないため、契約変更は不要です。
同一労働同一賃金
嘱託社員を雇用する際は、同一労働同一賃金の原則に抵触しないよう留意してください。定年退職後に嘱託社員となる場合、通常は給与が減少します。しかし、同一労働同一賃金の原則は嘱託社員にも適用されるため、同じ業務をおこなう場合は、正社員と同等の賃金を支給しなければなりません。労働条件においても、公平な取り決めが求められます。
期間中の解雇は原則NG
嘱託社員の雇用期間が満了した場合、契約を更新しない選択ができます。しかし原則として、契約期間中の解雇は許容されません。労働契約法17条によると、「雇用主は、期間の定めのある契約において、契約期間が満了するまで解雇できない」と定められています(やむを得ない事由がある場合は例外)。期間中は、正社員以上に解雇が難しいでしょう。
「嘱託」という働き方について知っておこう!
ここまで嘱託社員について、解説しました。契約社員の1つとして知られる嘱託社員は、企業や労働者、双方にメリットがあります。企業は現場を知っている即戦力を採用でき、労働者は定年後も継続して働けます。しかし高年齢者雇用安定法や同一労働同一賃金の原則など、注意すべき点もあるため、慎重に検討しなければなりません。
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