「エゴ」とは3つの意味を持つ言葉
「エゴ」という言葉に、どのようなイメージを抱きますか? エゴにあまりイメージがない人や、意味は分からないけれど難しそうと感じる人もいるかもしれませんね。
エゴは哲学や精神分析学、心理学などで登場する言葉ですが、今は日常会話などで用いられるということも。本記事では「エゴ」の持つ3つの意味や使い方、似た言葉について見ていきましょう。
「エゴ」を辞書で調べました
▷エゴ【(ラテン)・(英)ego】読み方:えご
1:自我。
2:「エゴイズム」の略。「—をむき出しにする」
3:「エゴイスト」の略。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
上記からもわかるように、「エゴ」には3つの意味があります。それぞれの意味について、以下でチェックしていきましょう。
「自我」とは
▷【自我】読み方:じが
1:自分。自己。
2:哲学で、知覚・思考・意志・行為などの自己同一的な主体として、他者や外界から区別して意識される自分。⇔非我。
3-ア:心理学で、行動や意識の主体。自我意識。
3-イ:精神分析で、イド・超自我を統制して現実への適応を行わせる精神の一側面。エゴ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「エゴ」は哲学・心理学・精神分析のジャンルにおいて使われますが、それぞれのニュアンスは異なると考えてください。違いを理解するのは難しいかもしれませんので、気になる人は専門書を見てみるのもいいでしょう。
「エゴイズム」とは
2番目の「エゴイズム」も辞書で調べてみました。
▷エゴイズム【egoism】読み方:えごいずむ
1:自分の利益を中心に考えて、他人の利益は考えない思考や行動の様式。利己主義。
2:哲学で、自我だけが確実に存在し、他は一切認識不能であるとする説。唯我(ゆいが)論。独我論。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「エゴ」という言葉において、一般的に使われることが多いのは「エゴイズム」でしょう。特に「1」の意味は、多くの人が「エゴ」の意味として把握しているかもしれませんね。ポジティブな意味とは言えませんが、人生や生き方などに深く関連する言葉です。
「エゴイスト」とは
▷エゴイスト【egoist】読み方:えごいすと
1:利己的な人。利己主義者。
2:エゴイズム2を信奉する人。主我主義者。唯我(ゆいが)論者。独我論者。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
社会や他人のことを考えることなく、自分の利益や快楽だけを重視し、追求する考え方が「利己主義」の意味。そういう考え方を持つ人を「利己主義者」と言います。主我主義者も同様の意味と考えてください。
唯我論や独我論は、真に実在するのは自我とその所産だけであり、他我やその他すべてのものはただ自己の意識内容にすぎないとする考え方のこと。唯我論者や独我論者は、哲学の分野で用いられるこれらの説を信じる人を指します。
「エゴ」はどのように使う?
「エゴ」という言葉の使い方を見ていきましょう。例文を用いて紹介します。
《例1》後輩はエゴの塊のように見えたが、シャイで不器用なだけだった
利己的な人だと感じていても、交流するうちに他者思いの一面を知って、その人のイメージが変わったということはいくらでもあるでしょう。シャイでアピールするのが下手な人は、誤解されやすいと言えるかも。相手がエゴの塊かどうかは、すぐにわかることではないでしょう。
《例2》親子だからこそ、自分のエゴを押しつけがちだと意識しておきたい
親子を含む他人との関係において、相手の立場を考えずに自分の立場だけを優先させ、無理に主張を押し通そうとするのはよくあると言えるでしょう。意図してそうなるというよりは、無意識にそれが進み、気がつけばエゴの押しつけをしていた、ということは少なくありません。
《例3》むやみやたらに口出しするのは、優しさというより単なるエゴと言える
相手が望んでいないのに、相手を助けたい一心からむやみやたらに口出しをするのは、優しさと言えるのか? これは判断が難しい事柄の一つでしょう。優しさと思う人もいれば、単なるエゴだと考える人もいて、もちろん正解はありません。だからこそ、自分の心に問いかけ、エゴの押しつけにならないよう注意したいですね。
「エゴサーチ」とは
「エゴ」がつく言葉に、「エゴサーチ」がありますよね。インターネット上で自分の実名やSNSで使用している名前、アカウントなどを検索し、評価や評判について調べることを意味します。また、著作物や作品、商品などの名称を検索することもあるでしょう。
「エゴ」と「サーチ(探す・調べる)」が組み合わさった言葉。一般的には「エゴサ」と呼ぶことが多いかもしれません。
「エゴ」と似た言葉を紹介
「エゴ」と似た言葉を紹介します。それぞれの意味や使い方、「エゴ」との違いを見て行きましょう。
「主観」
「主観」とは、その人ひとりのものの見方を表す言葉。「エゴ」における「自我」の意味と似ており、この意味での言い換えとして使うのは問題ないでしょう。読み方は「しゅかん」。なじみのある言葉だからこそ、使い方を再度チェックするのもいいですね。
《例文》
私の主観的な判断になるが、彼はそれほど悪い人ではないと思う
「私利私欲」
「私利私欲」とは、自分の利益を第一に考え、それを満たそうとする気持ちのこと。「しりしよく」と読みます。「エゴ」と似た意味を持ちますので、シーンによっては言い換え表現として使えるでしょう。
《例文》
部長は私利私欲にまみれた人だと思っていたが、それは誤解かもしれない
「ミーイズム」
英語表記は「meism」。自分の幸福や満足を求めるだけで、他には関心を払わない考え方を指します。自己中心主義とも言えるでしょう。「エゴ」とは近い意味を持ちますので、この言葉もシーンによっては言い換え表現になるでしょう。
《例文》
ミーイズムは、自分の精神的な満足だけを求めることを指すが、認知度はあまり高くない
「エゴ」の英語表現は
「エゴ」を英語で表す際は「ego」でOK。「私」という意味のラテン語と言われていますが、この英語で「エゴ」の意味は伝わると考えてください。
《例文》
Her ego is a little strong.
(彼女のエゴは少し強い)
最後に
「エゴ」という言葉について紹介しました。「エゴ」には3つの意味があります。哲学などの学問で使われる意味と、一般的に浸透している意味とは少し異なりますので、違いを知っておきたいですね。「エゴ」は日常会話でも使われるようになりましたので、適切な使い方を知っておくことをおすすめします。
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