諸々(もろもろ)とは?
「諸」という漢字を2つ続けて「もろもろ」と読みます。実に多くの場面で用いられる表現であり、その汎用性の高さから、目にする機会も多いでしょう。では「諸々」とは、どのような意味で用いられる言葉なのでしょうか。また使用する際の注意点は、いったい何でしょう。本章では「諸々」という言葉について、基礎にあたる解説をします。
■諸々の意味
「諸々」は「いろいろな」「さまざまな」といった意味を持つ言葉です。数が多いことを強調する言葉として知られています。このように聞くと、ならば「いろいろ」でも良いのではと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし「いろいろ」は、ややカジュアルな表現です。ビジネスシーンで用いる場合は「諸々」のほうが、より適しています。
もろ‐もろ【▽諸/▽諸々】
読み方:もろもろ
多くのもの。さまざまのもの。また、多くの人。「—の出来事」「—の事情」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
■注意点
「諸々」という言葉は、多くのシチュエーションで使える便利な言葉です。しかし便利だからこそ、用いる際は注意しなければなりません。基本的に「諸々」は、多くの事柄を1つずつ説明せず、省略する意味で用いられます。そのため目上の相手に使ってしまうと「説明を面倒くさがっている」と捉えられる可能性があります。場合によっては失礼にあたるため、無闇に乱用するのは控えましょう。
諸々の類語・言い換え表現
「諸々」と同様に、多くの事柄をまとめて表現する言葉は、他にも複数のバリエーションがあります。例えば「数々」「種々」「様々」「諸般」「多種多様」などです。本章では、諸々の類語・言い換え表現として、7つの言葉を紹介します。「諸々」と異なる点がある単語は、ニュアンスの違いに注目しながらチェックしてください。
数々(かずかず)
「数々(かずかず)」は、数や量が多いことを表した言葉です。諸々と同様に、ビジネスシーンで頻繁に用いられます。具体的な使い方は、以下の通りです。
・数々の非礼
・数々のご配慮
・数々のアイデア
・数々の業績
・数々のお心遣い
・数々の思い出
種々(しゅじゅ)
「種々(しゅじゅ)」とは、特定のものの種類が多いことや品数が多いことを表した言葉です。「しゅしゅ」と読まないように、注意してください。「種々の事情により〜」や「種々のご対応」といった使い方をします。ビジネスシーンでは主に、多種多様なものや多方面な事柄といった意味で用いられます。
様々(さまざま)
「様々(さまざま)」は、ビジネスシーンにかかわらず、日常における多くのシチュエーションで用いられる言葉です。1種類ではなく、それぞれ違った多くの種類があることを示しています。漢字では「様々」ですが、文章中では「さまざま」とひらがなで表現するのが一般的です。
諸般(しょはん)
「諸般(しょはん)」とは、いろいろな事柄をまとめて表した言葉です。「諸般の事情によって〜」といった使い方をします。しかし「諸般」は、相手にやや堅苦しい印象を与える言葉です。そのため日常会話よりも、ビジネスシーンや公的な文書内で使われるケースが多く見られます。
多種多様(たしゅたよう)
「多種多様(たしゅたよう)」とは、種類が多く、バリエーションに富んでいるといった意味をもつ四字熟語です。具体的な例文は、以下の通りです。
・あのお店は、多種多様なジャンルの商品が揃っている
・新しいスマホゲームは、多種多様なキャラクターが登場する
多彩(たさい)
「彩(いろど)りが多い」と書く「多彩(たさい)」は、文字通り色の種類が多いこと(カラフル)を表す言葉です。種類が多いだけでなく、変化に富んでいるといったニュアンスも含まれます。ただ数が多いだけでなく「にぎやか」であることを強調する場合は、諸々よりも「多彩」を用いると良いでしょう。
色々(いろいろ)
「色々(いろいろ)」とは、諸々の言い換え表現の中でも、かなりポピュラーな表現です。諸々よりもカジュアルな印象を与えるため、ビジネスシーンではあまり使われません。日常会話や友人同士のやりとりの中で用いられる表現です。
諸々の対義語
多くの種類があることを表す「諸々」ですが、逆に種類のバリエーションが少なく、すべてが同じであることを表現した言葉もあります。