暫定とは仮の措置として定めること
「暫定」とは「ざんてい」と読み、正式に決まるまで、仮の措置としてひとまず決めることを意味する言葉です。「暫」は「わずかの間」や「しばらく」という意味であり、「定」は「物事を決めて変えない」という意味の字です。
暫定は、あくまでも仮の措置であり、今後変更する可能性があるというニュアンスが込められています。
ざん‐てい【暫定】
正式な決定がなされるまで、仮の措置として、とりあえず定めること。「暫定政権」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
それでも、とくにビジネスや政治などにおいては、現段階で物事を決定させておかなければならない状況が存在します。そのようなときによく使われるのが、暫定という言葉です。
暫定の使い方と例文
暫定はビジネスや政治、法律などにおいて、比較的よく使われます。単独で使うよりも「暫定〇〇」というように、ほかの言葉と組み合わせて使うことが多いことが特徴です。さっそく、暫定を使った例文を確認していきましょう。
・政府は暫定予算を成立した
・紛争が続いていた地域に、暫定政府が誕生した
・見積価格はあくまでも暫定的なことである点をご了承ください
・リーグ戦中盤だが、我がチームが暫定トップだ
・これは暫定的な措置だと念押しされている
暫定を使った言葉
ここからは、「暫定〇〇」のような、暫定とほかの言葉を組み合わせた代表的な言葉をご紹介します。いずれも、正式ではない一時的なものを表します。
暫定予算
暫定予算とは、新会計年度が開始するまでに予算が成立していない場合に、本来の予算が成立するまでの間、必要最低限の政府支出を認める一時的な予算のことです。本予算が成立すると、吸収されて失効します。
参考:財務省「用語の解説」
暫定政府
暫定政府とは、革命や戦争、クーデターなどによって前政権が崩壊し、正式な政府が樹立されるまでの間に臨時的に組織される政府のことです。
無政府状態が生じてしまうのを防ぐことを目的として、仮に設置されます。臨時政権と呼ばれることもあります。
暫定値
暫定値とは、正式ではない、一時的な目安として設定された値のことです。たとえば、気象庁が発表する地震情報では、速報値を出した後に、速報値よりも数多くの地震観測点のデータを使用して算出した暫定値を出します。
暫定値が出るのは、通常は地震が発生した日の翌日です。その後、最終確定が行われます。暫定値は確定値に比べると正確ではないですが、速報値よりも精度が高い値です。
参考:国土交通省 気象庁「震度・マグニチュード・地震情報について」
暫定版
暫定版とは、正式版ではないが、正式版が利用できるようになるまでの間に臨時の対応として提供される版のことです。
ソフトウエアでは、正式にリリースされる前の試用バージョンを暫定版と呼ぶこともあります。そのほか、暫定版のドキュメントや暫定版の契約書といったように使います。
暫定の類義語・類似表現
暫定と似たような意味を持つ類義語や類似表現の代表的なものは、「臨時」「応急的」「対症的」などです。それぞれの意味や使い方などを解説します。