まず“終わりを思い描く”ことから始めてみる
「高校時代、父から勧められて読んだのをきっかけに、今に至るまで数えきれないほど何度も読み返しているのがスティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』(キングベアー出版)です。
父は17歳だった私に“人生の原理原則と言われるような法則が書かれている本だから、今のうちに読んだほうがいい。これからの自分の軸も定めやすくなるだろう”とこの本を手渡してくれました。
当時は“終わりを思い描くことから始める”という言葉が特に心に響きました。 高校時代はとにかく“今”を楽しんで生きることに夢中な毎日を送っていたので、極論として、“将来自分が亡くなったときのお葬式の様子”を想像してみたのです。
すると“このままだと10年後や20年後、だめな大人になってしまうんじゃないか”と心配になってきたんですね。今一度スイッチを入れ直して、本気で勉強するなり自分の知識を高めるなりしなくてはいけないと思いを改めました。ゴールから逆算して考えてみることで今何をすべきなのか、今この瞬間がいかに大切なのかが見えてくるのだと思います。
その後、社会人になってからもことあるごとにこの本を手に取っては読み返しています。もう内容は全て把握しているはずなのに、本を開くたびに“えっ? こんなフレーズあったかしら”と心に響いたり刺さったりする部分が新たに出てきて、そのとき抱えている自分の課題への解決策も示してもらえるから不思議です。
仕事だけでなくプライベートにおいても“終わりを思い描くことから始める”ことを習慣にしています。たとえばこの前、息子たちが私たち親と遊んでくれそうな小学校高学年になるまでの休日の数をカウントしてみたら、もう500日くらいしか残っていないことがわかりました。ふたりと無邪気に楽しく遊べる機会はあと何回あるんだろうかと思うと、今この瞬間の大切さがものすごく際立ってくるんです。
読むたびに新たな気づきを得られる本との出合いって、すごく貴重だなと思っています。『7つの習慣』とはこれからも長いつきあいになりそうです」(松本さん)
「最近、著名人がこの本を読んだ感想や解説が直筆で掲載された“賢者のハイライトブック”という付録付きのスペシャルエディションが発売されたので、そちらも入手しました。本を読んだ人の思考の足跡を追体験するのも面白かったです」(松本さん)
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谷畑まゆみ
フリーエディター・ライター。『Domani』「女の時間割。」連載担当。パラサポWEBマガジン連載「パラアスリートを支える女性たち」では、車いすラグビー日本代表チームのトレーナー岩倉 瞳さんの記事が公開中。