テクニックを知ったら、使いたくなる。
今回お話を伺ったのは…
榎本佐奈さん(仮名・36歳)、静岡県出身・中堅私立大学理工学部卒業、化学メーカー勤務(年収560万円)。同じ年の夫(重機メーカー勤務・年収800万円)と結婚8年。神奈川県内の社宅に在住。子どもは4歳の男子1人。身長162cm、ふんわりニットにショートパンツ、ロングブーツのフェミニンな服装。ツヤツヤに光ったボブヘアと、大きなイヤリングが印象的。
36歳、今後誰ともしないで一生を終わるのは嫌だ
「子どもが4歳になると、風邪をひくことも少なくなり、自分の時間ができるようになる。勤務地も都内になり、社外の人とランチをして、人脈を広げようと思ったのです」
そこでたまたま再会したのが、大学時代の後輩。
「彼女はレスの旦那にキレ、子どもを実家に預けてマッチングアプリで派手な恋愛を繰り返していたそう。見た目はすごくおとなしそうだし、仕事は真面目なエリート公務員なのにすごいな……って。彼女とあれこれ話しているうちに、ウチの夫がモラハラ気味だということに気づいたんです」
佐奈さんの夫は、物事が思い通りに進まないと、あからさまに不機嫌になる。
「家にお金は入れてくれるし、息子をかわいがってくれるからいいんですけどね。でも私のことを無視したり、文句を言うことも多くて。怒らせないように顔色をうかがっている間に、お互いに性欲もなくなっちゃったんですよね。もしあったとしても、夫との交渉は、夫本位で、私は痛いし苦しい。『もう恋愛はいいかな』と言ったら後輩が『そんなのもったいないですよ。まだ若くてキレイなのに』と言ってくれたんです」
浮気がバレたら怖い……やってみると簡単だった
なんとなく自信を持った佐奈さんは、浮気をしてみるのもアリかも……と思うようになる。
「バレたら夫がキレる可能性がある。でも、どうしてもやってみたいと思ったのは、探求心からでした。自分の体がそこまで気持ちよくなるのか試してみたいし、後輩に教わったテクニックも試してみたい。その相手は、夫では絶対にないんですよ」
佐奈さんは、男性をかなり選り好みする。自分と同じレベルの学歴、収入、社会的地位を恋愛相手に求めた。
「でもそういう人はみんな夫に似ている。バレたら怖いと思いつつ、マッチングアプリに登録したんです。すると、サクッとカッコいい料理人の男性とマッチしてしまったんです。ホントにあっけなかった」
ラブホテルは不潔、相手の家は怖い……
初デートは、息子を都内の実家に預けた足で向かった新宿駅からスタート。
「シュッと筋肉質な34歳の男性が彼でした。髪が薄くぽっちゃりしていて笑顔が少ない夫とは真逆。すごいドキドキしましたよ。それと同時に、彼が悪い人で脅されたらどうしよう……とも思っていました。とりあえず、カフェでランチして、自然な感じでホテルに誘われて、『遊び慣れている人っていいな』と」
しかし、佐奈さんは潔癖だった。
「ラブホテルに誘われたんですが、そこのベッドの上でいろんな人がアレしてたと思うと、気持ち悪くなったのでやめてもらいました。彼は家にも誘ってくれたのですが、それも怖い。結局、ビジネスホテルのデイユースにしたんです」
味もそっけもない部屋で……
ビジネスホテルは、風呂は狭いし、雰囲気も恋愛向きではない。
「私もガチガチに緊張していたんですが、彼が『かわいいよ』とかいろいろ言ってくれて、だんだん大胆に……そこで、後輩に教えてもらったさまざまなテクニックをやってみたら、彼の眼の色が変わったんですよね。なんというか、スイッチが入ったというような……」
「また会いたいな」と言われる
見た目が非常にまじめ女子な佐奈さんが、熟練したテクニックと視覚効果を披露したことに、彼はハートをつかまれた様子だった。
「結局、3時間くらい『すごい』と言われていたような気がします。なんというか、この年になると”そこそこのイケメンが私で興奮してくれて嬉しい”って気持ちになるんです。この1回で体重が1kg落ちましたから(笑)。別れ際に彼から『すごくよかった。また会いたい』と言ってくれて、嬉しかった。彼には同棲している彼女がいて、大人な関係を求めていたみたいです」
彼に会った日、夫に対して罪悪感を抱えて帰宅する。
「でも夫の顔を見たら、罪悪感が吹っ飛び、スッキリした気持ちになったんです。夫に対しては嫌悪感しかありません。もう愛情が冷めているのかも。これを機に、離婚するのもアリかな……とも最近思うんです」
他の男性と恋愛するために、法律的にも正当でいたい……その気持ちから離婚をする母は増えている。
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Writer&Editor
沢木 文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。