十五夜のお供え物といえば月見団子
十五夜のころになるとあちこちで「月と月見団子」のモチーフを見かけるようになります。月見団子は十五夜に欠かせない食べ物だと考えられていますが、なぜ十五夜に月見団子を食べるようになったのでしょうか。
月見団子の意味や習わしについて紹介します。
月見団子をお供えする意味
月見の習慣は、もともと中国より伝わったものです。平安貴族たちは中国のしきたりにならい、月を見ながら宴を開き供物を捧げました。ただしこの当時用意されていたのはお団子ではなく「サトイモ」だったといわれています。十五夜の月見の宴が開かれるのは、ちょうどサトイモが収穫期を迎えたころでした。そのため旬のサトイモをお供えとして神に捧げていたのです。
江戸時代に入ると、月見の風習は広く庶民にまで広まりました。それにともない、お供え物もサトイモから米を使ったお団子へと変化します。お月見のころは米の収穫期でもあります。人々は米の収穫を祝う意味を込めて、米で作ったお団子をお月見の供物としたのです。
どこにいつまで飾る?食べてよいの?
古来より人々は月見台を設置して、そこに供物を供えお月見をしました。家庭で月見を楽しむときも、この風習にならって月見台の位置を決めましょう。
月見台の位置を決めるポイントは「月が見えること」、この一点です。例えば窓から月を眺めるのであれば窓際にテーブルを置き、そこを月見台とします。あるいはベランダに出て月見をするのであれば、ベランダにテーブルを設置します。お月様の見える位置に月見団子を置いて、のんびりと月を眺めるのがおすすめです。
また、お供えしたお団子は十五夜のあとに感謝しながら食べましょう。「失礼にあたるのでは」とためらう人もいますが、一般的には神様との結びつきがより深まるなどといわれています。
昔、嫁入り前の女性は食べなかった
十五夜のお供え物を食べてよいとはいうものの、その昔は嫁入り前の女性だけは例外でした。丸い月と丸い団子は、当時の人々に「妊娠」を連想させました。そのため未婚の女性が月見団子を食べるのはふさわしくないと考えられたのです。
一方、「たくさん食べてよい」とされていたのは子どもたちです。「お団子がなくなる=月が食べてくれた」と解釈されたため、子どもたちの盗み食いは大いに歓迎されました。これは「お月見泥棒」とよばれる風習となり、現在でも一部の地域に残っています。
地方によって月見団子が違う
月見団子というと満月を模したような白く丸い団子が連想されがちです。しかしこれは関東地方の月見団子とされ、関西地方ではまた違った形となります。
関西地方の月見団子は、丸型ではなく細長い形をしています。かつてお供えの定番だったサトイモを模した形です。形以外にも大きな違いがあり、関西地方の月見団子は外側に餡が巻いてあります。
このように同じ月見団子でも住む場所による差は大きいといえます。十五夜に子どもと月見団子を作る予定のママ・パパは、まずは住んでいる地域の習わしなどを確認してみてはいかがでしょうか。
月見団子はどのように準備する?
お月見には欠かせない月見団子ですが、お供えする数にも決まりがあります。せっかくなのでしきたりにならい、古来より伝わる方法でお月見の準備をしてみましょう。ここでは、関東地方の月見団子をお供えするときのポイントを紹介します。
15個のお団子をバランスよく積む
丸くかわいい月見団子は、十五夜にちなんで15個お供えするのが習わしとされます。ただし、見栄えのよいお供えに仕上げるにはバランスが大切です。
1段目に「3×3」で9個、2段目に「2×2」で4個、3段目に残りの2個を置くときれいに積み上がります。お団子の大きさが違うと積みにくいので、手作りするときはなるべく同じサイズになるよう注意しましょう。
また、月見団子は3方向に穴が開いた「三方(さんぽう)」とよばれる器に盛るのが正式なスタイルです。とはいえ昨今では、三方を備えている家庭は少ないかもしれません。三方がないときは無理をせず、お盆やお皿を代用しましょう。半紙や天ぷらの敷紙などを敷いて、その上に月見団子を置けばOKです。
毎年飾れる木の月見団子も
お月見がイベント化している昨今では、十五夜をイメージしたオブジェなども充実しています。
例えば三方と月見団子がセットになったオブジェを利用すれば、十五夜のたびに月見団子を作る手間がかかりません。木製のものなどは見栄えもよく、そのまま飾るだけでお月見の雰囲気を盛り上げてくれます。
一方「三方までそろえなくても…」という家庭なら、お団子代わりとなる球形のオブジェだけでもあると便利。時間がなくてもお皿やお盆にオブジェを乗せるだけで雰囲気が出ます。お月見が終わったあとはきちんとしまっておけば、繰り返し使えて重宝します。
秋を感じさせるススキも一緒に飾る
月見団子ともう一つ、お月見に欠かせないのがススキです。お団子とあわせて飾ることで、より十五夜らしい雰囲気を演出できます。しかし、なぜお月見ではススキを飾る習慣があるのでしょうか。
ススキを飾る意味や飾り方について詳しくみてみましょう。