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LIFESTYLE 夫婦

2021.02.16

養子も里親も幸せの選択肢。ところが制度の壁が…【モデル牧野紗弥の夫婦生活ホントのところ39】

モデルであり3児の母でもある牧野紗弥の人気連載。みなさんは、養子や里子の制度について考えたことがありますか? 制度の現状について調べてきたことを、ご報告します。親の都合ではなく、子どもの幸せを基準にもう一度考えてみませんか。

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親子・家族の形はいろいろあってあたりまえ

私がまだ14歳のとき。海外での初ホームステイは、たくさんの新しい価値観に触れた貴重な経験でした。一緒に過ごしたホストファミリーには、肌の色がそれぞれ異なる子どもが3人いて、3人がそれぞれ異なるタイミングで養子として家族に迎えられたのだと聞きました。当時まだ5歳だったいちばん下の女の子が、「I’m adopted(私、養子なのよ)」と堂々と話してくれたことは、忘れられません。養子という制度が、家族の形のひとつとして自然に定着している文化が素敵だと強く思いました。

▲私が14歳のとき、カナダでホームステイをしたときの写真。「養子」のあり方に触れて、考えるきっかけをくれた大好きなホストファミリー。写真をプリントしたマグカップは、今も宝物です。

虐待件数は増えているのに…

そのとき以来、養子制度や里親制度に関心はあったものの、実際に足を運んで情報を集め始めたのは、つい昨年のことでした。ある児童養護施設では、職員の方が私の基本的な質問に親切に答えてくださいました。その方の話によると、子どもたちが施設で暮らす理由でいちばん多いのは、「親からの虐待」だそうです。次いで、親の病気や経済的理由などが続きます。

厚生労働省によると「児童相談所が対応した18歳未満の子どもへの虐待件数」は19万3780件で過去最高だったそうです(2019年度)。この大きな数字にも驚きますが、一方で虐待をはじめさまざまな理由をあわせ、児童養護施設などで暮らしているのは、4万人ほどだそうです。

その背景にあるのは、児童養護施設の数がたりないこと、日本の児童虐待に対する刑罰が諸外国に比べて圧倒的に軽いこと、などがあるといいます。さらに別の理由として、養子縁組や里親制度について、まだまだ認知度が低いことも忘れてはいけません。

▲児童養護施設を出て帰る途中に、空に大きな虹が見えました。子ども達の未来に虹がかかりますように!

子どもにとって本当に幸せな方法はなんだろう?

「養子縁組」とは、生みの親と別に「育ての親」が親権をもって育てること。「里親制度」は生みの親(=実親)が親権をもち、育ての親(=里親)は18歳まで世話をするものの、その後は生みの親元へ子どもを戻すか、子ども自身が18歳で自立することになります。私自身、その違いをよく理解していなかったのですが、昨年東京都が開催する里親制度の説明会へ行き、詳しい実情を知ることになりました。

そこでお聞きしたのは、1歳で里親としてお子さんを迎えたある職員さんの話でした。里親になると決断したとき、その方のご両親はとても驚いたそうですが、今では子どもの世話を手伝いに来てくれたりして家族みんなで愛情いっぱいに過ごしているのだそうです。それを聞いて、制度や血縁を超えた愛情の形に胸が熱くなりました。

一方で、「制度」によって愛情が分断されてしまう、悲しい事実もあります。現在の制度では、里親に預けられている子どもの親権は生みの親にある場合がほとんどです。ということは、里親に預けても、生みの親(=実親)が望べばまだ育児途中でも実親に子どもを返さなくてはならないのです。生みの親のほうに養育環境が整っていない場合でも例外ではありません。それは、子どもにとって適切なことなのでしょうか。

ちなみに、アメリカでは実親の元を離れて12~15か月を過ぎた場合は、法の力で実親の親権を終了させ、養子縁組を行うことができるそうです。

血縁関係を大切にするという日本ならではの「実親」の考え方ともいえますが、子どもたちが自立して生き抜くために、親権や里親の形がどうあったらいいか、考え直すときがきているような気がします。

▲コミックシリーズ『ミステリと言う勿れ』では、さまざまな事件が描かれていますが、中には虐待についての描写も。これを見たわが家の子どもたちは「怖かった」と言っていました。が、こうしたことをきっかけに、現実を知り、自分に何ができるかを考えるのはいいこと。私も一緒に考えていきたいと思っています。

モデル牧野紗弥の夫婦生活ホントのところバックナンバー

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モデル

牧野紗弥

愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子供とアクティブに楽しむ一面も。今年は登山に挑戦する予定。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。

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