ビジネスシーンで相手に対して、深い感謝やお詫びの気持ちを伝えたい時、皆さんはどんな言葉を使っていますか? 「深謝」は、そんな大事な場面で使える表現の一つ。本記事では、「深謝」の意味や使う際の注意点、「陳謝」などの言い換え表現を紹介します。あなたの感謝や謝罪の気持ちが、もっと伝わりやすくなるヒントが満載です。
深謝の読み方と意味
「深謝」は「しんしゃ」と読みます。正しい意味を辞書で確認してみましょう。
[名](スル)
1 心から感謝すること。「御厚情を―する」
2 心からわびること。「不手際を―いたします」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「深謝」は、「深い感謝」や「深い謝罪」という意味で、「感謝」や「謝罪」よりも強い意味合いを持っています。主に書き言葉で使われるので、話し言葉ではあまり用いられないでしょう。また、「たいへん(とても)感謝します」というように強意の副詞をつけることはほとんどありません。
「深謝いたします」や「深謝申し上げます」だけで、十分強い感謝や謝罪の気持ちを表現することができますよ。
「感謝」や「陳謝」が合うときも多い
深謝は2つの意味があるため、便利な反面、「謝っているの? それとも感謝しているの?」と意味が伝わりにくくなることもあります。そのため、明らかに「感謝していること」や「謝っていること」が分かる状況ではないときは、「感謝」や「陳謝」のように意味がひとつだけの言葉を選ぶほうがいいでしょう。
深謝はビジネスでも使える言葉
深謝は書き言葉として使用することが一般的なので、ビジネスシーンに適した言葉だといえます。お礼状を書くときやお詫び状を書くとき、また、メールで感謝や謝罪の気持ちを伝えたいときに使用することができるでしょう。
個人的に使うには少し堅いイメージ
「深謝」はやや堅い言葉なので、プライベートな場面では「堅苦しい」と感じられることがあります。例えば、祖父母にプレゼントをもらった際に「深謝いたします」と書くと、形式的すぎて他人行儀に感じられるかもしれません。
そのため、ビジネスの場や目上の人への文章で使う方が適しています。例えば学生時代の教授から結婚祝いをいただいた際に「深謝申し上げます」と書けば、教授も「大人になったなあ」と感じるかもしれませんね。
のしにも使える
「深謝」は、のしの表書きにも使えますが、使用する場面には注意が必要です。一般的にのしで「深謝」を使うのは、感謝ではなく謝罪の意味を込める場面で使用するため気をつけましょう。「お詫び」や「陳謝」では軽すぎると感じた場合に適しています。
たとえば、交通事故で相手を負傷させた際、菓子折りに「深謝」と記したのしをかけることで、誠意を込めた謝罪の気持ちを伝えられます。この場合、水引のない無地の紙でお菓子を包み、「深謝」と記載するのが適切です。
シーン別の使い方と例文
では、深謝をスマートに使いこなす例文を見ていきましょう。深謝は、感謝の意味でも謝罪の意味でも使用できるので、両方の深謝をマスターしてくださいね。
感謝の意味で深謝を使うケース
感謝の意味で深謝を使う場合、「深謝いたします」と「深謝申し上げます」の2つのパターンが想定されます。目上の人に伝えるときには「深謝申し上げます」のほうが、より丁寧なニュアンスを伝えることができるでしょう。
深謝いたします
「深謝いたします」は、特別な感謝の気持ちを伝える際に適した表現です。例えば病気で会社を休んだ際に取引先が気遣ってくれたと聞いた場合、復帰後に「この度はお気遣いをいただき深謝いたします。おかげさまで体調も回復いたしました。」などとメールで伝えるといいでしょう。
また、学校や施設への定期的な寄付に対しては、「いつも多大なるご支援を賜り、深謝いたします。」と挨拶状に書くことで、深い感謝の気持ちを表すことができますよ。
【例文】
・長年にわたるご尽力に深謝いたします。
・貴重なご意見をいただき、心より深謝いたします。
・度重なるご配慮に対し、深謝いたします。
▼あわせて読みたい
深謝申し上げます
「深謝申し上げます」は、特別な感謝の気持ちを伝える際に適した表現です。例えば、営業メールでは「平素は格別のご高配を賜り、深謝申し上げます。」などと書くことで、取引先に対する深い感謝を伝えることができます。
また、長年営業してきた店を廃業する際にも、「長らくご愛顧いただき、深謝申し上げます。」と記すことで、一言では言い表せない感謝の思いをお客様に伝えることができるでしょう。
【例文】
・長年にわたるご厚情に、深謝申し上げます。
・この度の温かいお言葉に、深謝申し上げます。
・迅速なご対応に、深謝申し上げます。