【目次】
・「ご用命」の意味と使い方
・「ご用命」を使用するときの注意点
・ビジネスで使える「ご用命」の例文
・「ご用命」と言い換えできる類語
・「ご用命」の英語表現は?
・取引や交渉で「ご用命」を使ってみよう!
「ご用命」の意味と使い方
「用命」はその名の通り「用を命ずる」の意味で、相手に何かを依頼するときに使う表現。上司や取引先など目上の人に依頼を促したい際に、頭に「ご」をつけて丁寧な言い回しにします。

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「ご用命」は、日常会話よりビジネスの場面でよく使われるのが一般的です。例えば、新しい商品を取引先に営業するときに「欲しいものがあれば注文してください」と伝えると、少し直接的な表現なので相手を不快にさせることもありますよね。
こんなときは「ご用命があれば承ります」と伝えれば、相手を敬いながら新商品を勧めることができます。同じ意味でも、使用する言葉で相手の受け止め方は大きく変わるので注意が必要です。
「ご用命」を使用するときの注意点
ビジネスシーンでよく使われる「ご用命」ですが、使用するにあたり注意点があります。間違った使い方をすると相手に失礼にあたる場合もあるので、十分に注意しましょう。

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部下や同僚には使用しない
基本的に、「ご用命」は部下や同僚など、同じ地位や立場の人には使用しません。なぜなら、頭に「ご」をつける丁寧表現は、取引先や上司など相手が目上の人の場合のみ使える言葉だからです。
そのため、部下や同僚に電話やメールを送るときに「ご用命」を使用しないように注意しましょう。ただし、取引先の場合は個人間の地位や立場に関係なく「ご用命」を使うのが望ましいです。
受け身の用法が基本
「ご用命」は受け身で使われるのが基本なので、目上の人に対して自分から「ご用命する」「ご用命させてください」という形では使われません。
例えば、「取引先からご用命を承る」「ご用命をいただく」など受け身で使用するのが正しい使い方です。 また、「ご用命させていただきたく」「ご用命されました」など盛りすぎた表現にする人もいますが、これは二重敬語になるので間違った使い方と言えます。
「ご用命」がすでに敬語なので、「〜させていただきたく」「〜されました」を後につけると二重で敬語を使ってしまうことに。文法的に誤った使い方なので注意しましょう。
「ご用命」と「ご依頼」は異なる
「ご依頼」は「要件を頼むこと」の意味で、自分がしてほしいことを人に頼みたいときに使用する表現になります。そんな「ご依頼」は「ご用命」と同じ表現として認識されがちですが、この2つの使い方はまったく異なります。
なぜなら「ご依頼」は、自分の行動に対しても使用することができるからです。一方、「ご用命」は自分の行動には使用しません。このように「ご用命」と「ご依頼」には、明確な違いがあるので使用するときは注意が必要です。
ビジネスで使える「ご用命」の例文
ビジネスで役立つ「ご用命」ですが、どのように使えばいいのか分からない人もいるでしょう。ここでは、「ご用命」の例文をまとめました。実際に使用する際の参考にしてください。

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1:「ご用命ください」
「ご用命」を使った表現で最も使われるのが、「ご用命ください」。「何か用があれば申し付けください」の意味があり、立場が下の人から目上の人に対して使える言葉です。
・ご希望の〇〇があれば、ご用命ください
・〇〇にご要望があれば、ご用命ください
ただし、目上の人に対して「ご用命ください」だけでは少し気が引けると感じる人もいるでしょう。そんなときは、ご用命の前に「どうぞ」「なんなりと」を足すのがおすすめです。より丁寧な言い回しになるので、目上の人に対しても使いやすいでしょう。
2:「ご用命の際は」
相手が、何を望んでいるか明確でないときに使える表現です。例えば、上司が忙しそうなときに自分が何を手伝えるか分からないことってありますよね。そんなときに使えるのが、「ご用命の際は」を用いたフレーズになります。
・弊社の〇〇をご用命の際は、ご連絡ください
・用命の際には、お手伝いさせてください
・次回ご用命の際には、よろしくお願いいたします
「ご用命の際は」は相手を配慮する言葉なので、取引先や上司など目上の人に対して使えば良い印象を与えられるでしょう。
3:「ご用命いただき」
依頼をくれた相手に、感謝の気持ちを伝えたいときに使える「ご用命いただき」。ビジネスでも頻繁に出てくる言葉ですが、この表現は社内の上司や先輩よりも取引先に対して使われるのが一般的です。
・〇〇をご用命いただき、ありがとうございます
・数ある〇〇の中からご用命いただき、御礼申し上げます
感謝の気持ちを伝えるには「ありがとうございます」の一文でも十分伝わりますが、「ご用命いただき」を加えることでより感謝の気持ちを強調して伝えられます。
4:「ご用命賜りますよう」
「ご用命ください」より、丁寧な言い回しの「ご用命賜りますよう」。「賜る」=「ください」という敬語で「何かあれば申しつけください」という意味になり、ビジネスでより丁寧にお願いしたいときに使える敬語表現です。
・ご用命賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします
・お早めにご用命賜りますよう、お願い申し上げます
大きなプロジェクトや事業になると、決定権が企業の代表や社長に委ねられることも少なくありません。その際は、「ご用命ください」より丁寧な表現を用いるのが望ましいでしょう。
5:「ご用命賜りました」
「ご用命賜りました」は、注文を受けた相手に対して使える表現です。例えば、取引先から商品やサービスの注文を受けたときに「確かに注文を受け取りました」という確認の意を込めて使われます。
・〇〇の件、確かにご用命賜りました
・〇〇を希望とのこと、ご用命賜りました
ご用命に「賜りました」を付け加えることで、感謝の意味も込められる便利な表現です。今後も長く取り引きを続けたいなら、「ご用命賜りました」を使うのが望ましいでしょう。
「ご用命」と言い換えできる類語
「ご用命」は丁寧な言葉になりますが、使う相手によっては堅苦しい表現になることもあります。「ご用命」の代わりに使える類語表現を習得し、状況に合わせて使い分けるようにしましょう。

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1.「申し付ける」
依頼や要望を伝えるときに使用する「申し付ける」は、「ご用命」と同じく目上の人に対して使える言葉。「申し付ける」は、書き言葉より話し言葉として使用されることが多く「ご用命」よりも少しカジュアルな表現です。
そのため、社長や代表など特別な地位にある人には「ご用命」、取引先の担当者には「申し付ける」を使用するなど、相手に合わせて言葉を使い分けるのが望ましいでしょう。
2.「仰せ付ける」
「仰せ付ける」は「何でも命令してください」という意味で、「ご用命」と同様に目上の人に対して使用する言葉です。書き言葉でよく使用される「ご用命」と違い、「仰せ付ける」は口頭で使われることがほとんどでしょう。
また、「仰せ付ける」は「ご命令」よりも目上の人から目下に対する命令のニュアンスが含まれているので、社長や代表者など特別な地位の人に対して使うことをおすすめします。社内でも使えるため、覚えておくと便利でしょう。
3.「ご要望」
「ご要望」は、「ご用命」に最も似た言葉として使われている言葉です。物事の実現を望んだり強く求めたりする意味があります。「ご用命」と同じように目上の人に対して使える言葉ですが、社内外問わず使うことができるのも大きなポイントです。
また「ご要望」は不明確な望みに対して使える表現で、「具体的には分からないけれど目上の人が何かを欲しているかもしれない」という状況下で使います。ビジネスでは頻繁に出てくる言葉なので「ご用命」と一緒に覚えておきましょう。
4.「ご利用」
「利用」に尊敬を表す「ご」をつけた「ご利用」は、「役立つように上手く使うこと」という意味があります。「ご用命」との違いは、「ご利用」のほうが日常的に会話で使われていることです。
また、「ご利用」はビジネスの場面でよく使用されていますが、「ご用命」よりも少しカジュアルなニュアンスが含まれています。カジュアルな場面では「ご利用」、かしこまった場面では「ご用命」のように使い分けるのがおすすめです。
5.「ご所望」
「ご所望」は、相手が何かを望んでいるときに使える言葉です。「ご要望」とよく間違えられやすい表現ですが、この2つはニュアンスが少し異なります。「ご要望」は目的が曖昧なときに、「ご所望」は目的が明らかなときに使いましょう。
また、相手だけでなく自分が欲したり望んだりするときも「〜を所望する」と使えるのも大きな特徴です。相手から具体的な注文や依頼があったときは、「ご所望」を使用しましょう。
「ご用命」の英語表現は?
次に、「ご用命」と同じ意味を持つ英語表現を紹介します。海外でよく使われる表現なので、覚えておくとビジネスで役立つでしょう。

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order
orderは、「注文する」の意味です。通常は動詞で使われる表現ですが、名詞として使用することで「ご用命」と同じ意味合いで使えます。
・We look forward to your order.(ご用命を心よりお待ちしています)
・We confirm your order. (ご用命を承りました)
request
requestは、「依頼する」の意味があります。orderと同じく「ご用命」の意味を持っており、海外の人とのやり取りでは頻繁に出てくる表現です。
・We certainly comply with your request. (ご用命を賜りました)
・We appreciate your request. (ご用命いただき、誠にありがとうございます)
取引や交渉で「ご用命」を使ってみよう!

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ビジネスシーンで役立つ「ご用命」。特に相手が取引先の社長や代表など、特別な地位にある人に対しては積極的に使用したい言葉です。しかし、意味や使い方を正しく理解していないと、逆に失礼にあたることもあります。ここで紹介した「ご用命」の意味と使い方をしっかりマスターして、取引や交渉でうまく使いこなしましょう!
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