「ご厚志」の意味と例文
「ご厚志」は「深い思いやり」や「温かい親切心」を表す言葉です。歓迎会や忘年会といった場面で使われるため、社会人になってから初めて聞いた人もいるかもしれません。ここでは「ご厚志」の意味と例文をご紹介しましょう。
■「ご厚志」とは深い思いやりのこと
「ご厚志」は「深い思いやり」や「温かい親切心」を表します。ビジネスシーンでは、「主賓や上司から頂いた金銭」を指すことが多いでしょう。
たとえば、歓迎会や忘年会において、主賓や上司が感謝の気持ちを込めて渡す金銭のことです。 一般的に、主賓は招かれる側のため支払いを負担することはありません。そういった場面で、主賓は「招いてくださりありがとうございます」という意味で金銭を払うことがあります。こういう金銭を「ご厚志」というのです。
上司からの「ご厚志」には、「会を取りまとめてくれてありがとう」という感謝や労をねぎらう意味合いがあります。「ご厚志」は特別な集まりだけでなく、ちょっとした食事の際に上司が多めに支払う行為も含まれます。
■「ご厚志」の例文
「ご厚志」の例文をいくつかご紹介しましょう。
【例文】
・〇〇部長からご厚志をいただきました。皆様にあわせてご連絡いたします。
・ご厚志を賜り、誠にありがとうございます。
・歓迎会を開催するにあたり、〇〇部長よりご厚志をいただいております。
・先日の集まりでは、温かいご祝辞とご厚志を賜り、厚くお礼申し上げます。
「ご厚志」にまつわるマナーのポイント
「ご厚志」を辞退したり、逆に「ご厚志」をお願いしたりするのは失礼なことであり、いただいた場合はお礼をするのがマナーです。
「ご厚志」は金銭や贈り物を指すデリケートな言葉。それだけに失礼がないように、また不愉快な思いをさせることがないように特別な配慮が欠かせません。ここでは、「ご厚志」にまつわるマナーについていくつかのポイントをご紹介します。
■辞退するのは失礼になる
「ご厚志」をいただいたときに、辞退するのは失礼にあたります。いただいた場合はありがたく頂戴し、集まりに参加する人たちへ報告するのがマナーです。
いただいたことを報告するのは、スタートとなる挨拶や乾杯のタイミングが最適でしょう。「本日〇〇様よりご厚志をいただきました」と、必ず感謝の言葉といっしょに参加者へ伝えます。
複数人からいただいた場合は、役職や年齢の順番に配慮しながら漏れがないように紹介しましょう。金銭ではなく品物でいただいた場合は、「ご厚志」ではなく「結構なお品」や「お心尽くしの品」と言い換えても構いません。
後から説明しますが「ご厚志辞退」という言葉があります。これは葬儀のひとつの形を表し、ここで説明するような集まりでの「ご厚志」を断るという意味ではありません。間違えないように十分気をつけましょう。
■後からお礼やお礼状を返す
「ご厚志」をいただいた場合は、後からメールや書面でお礼やお礼状を返すのもマナーのひとつ。集まりのときに参加者にお知らせするのがマナーですが、もし報告を失念していた場合、閉会後に参加者全員に「〇〇様からご厚志をいただきました」と知らせましょう。
もちろん「ご厚志」をくださった人へも、感謝といっしょに報告が漏れていたことへのお詫びを伝えます。
「ご厚志」をいただいた場合のお礼を伝える例文を3つ挙げましょう。
1:(主賓へ)感謝を伝えるお礼のメール
昨夜は、お忙しいところ新年会へのご参加をいただき、誠にありがとうございました。まずは不手際が多々あったこと、お詫び申し上げます。また、〇〇様からご厚志を頂戴しましたこと、心よりお礼申し上げます。
2:(主賓と参加者へ)感謝を伝えるお礼のメール
皆様、先日はお忙しいところ、歓迎会にご参加くださり誠にありがとうございました。何分不慣れなもので、不手際も多かったと思います。また、改めてご報告させていただきますが、〇〇様よりご厚志をいただきました。〇〇様、本当にありがとうございました。
3:(主賓と参加者へ)感謝と「ご厚志」の報告を伝えるメール
先日はお忙しいなかご参加いただき、誠にありがとうございました。皆様、楽しい時間を過ごしいただけましたでしょうか。ところで、幹事の不手際で遅れてしまいましたが、〇〇様からご厚志をいただきましたことをご報告させてください。〇〇様、心よりお礼申し上げます。
■お願いするのはマナー違反
「ご厚志」を相手にお願いするのはマナー違反です。「ご厚志」はあくまでも相手の厚意からいただくものなので、こちらからお願いするのは大変失礼にあたります。
上司や目上の人が多めに負担するといった慣習がありますが、慣習だからと必ず負担しなければならない訳ではなく、出すかどうかは相手の心次第です。ちょっとしたニュアンスでも、相手に意識させるような言動は慎みましょう。