日本人の「台湾人はなんで?」と台湾人の「日本人はなんで?」
航空会社によっては「この月はこのメンバーでフライトします」というチーム構成が予め決まっているところもあるようですが、私が勤めていた会社では毎回違うメンバーでフライトするという体制をとっていました。機体によって異なりますが、毎回9〜13人のキャビンクルーと2〜3人とコックピットクルーとフライトするので、週5日のフライトで55~80人の同僚と仕事を共にしたということになります。毎日いろんな人と、仕事のこと、休日の過ごし方、最近の流行りやプライベートなことについて、いろんな話をしたのが今ではとてもよい思い出です。
そしてよく話題に上がったのが、お互いの国のさまざまな違いについて。私たちが「台湾人はなんで〇〇なの?」と聞くこともあれば、台湾人クルーに「日本人はなんで〇〇なの?」と聞かれることも。その中でも、いちばんよく聞かれたのが「為什麼你們日本人都不買房子?(Wèi shén me Nǐ men rì běn rén dōu bú mǎi fáng zi)」
中国語で「房子 (fáng zi)」は「家」の意味
「為什麼你們日本人都不買房子?(Wèi shén me nǐ men rì běn rén dōu bú mǎi fáng zi)」
↓
為什麼 = なんで
你們日本人都 = あなたたち日本人はみんな
不買房子= 家を買わない
つまり「日本人はなんで家を買わないの?」ということ。
この質問での「房子」は、マンション、アパート、一軒家、すべてを含めた意味の「家」。
もちろん日本人でも家を買う人はたくさんいますが、台湾人の概念としては家は退職に近づいてからではなく、20代や30代などもっと若いころに買うものという位置づけ。なので、結婚するときまでにもち家がない人たちは、結婚と同時や少なくても結婚後数年以内には家を買う人がほとんど。高くて買えなかったとしても、もち家にこだわる人が圧倒的に多いんです。
「だってほら、家買ったら責任や負担が増えるじゃない? 税金もあるし、簡単に引越しできなくなるし、地震だってあるでしょ? そう考えると、家賃を払うだけの方がラクじゃん!」
当時そう答えていた私に彼らが返してくる言葉は、「そうか〜、でもさ家賃ってもったいなくない? 自分のものにならないんだよ? 払いっぱないしだよ?」
最後にそんな質問を投げかけられて約7年ほど経ちましたが、家を買うか買わないか、いつ何が起こるか予測が難しい今のこのご時世では、非常に難しい決断のひとつになったのかもしれません。
【続】
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美容ライター
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経て美容ライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。薬膳コーディネーター。@chiyuki_arita_official