アイドル風の男性が好きなのに、夫は正反対
お話を伺ったのは…
山口聡子さん(仮名・37歳)。埼玉県さいたま市出身・首都圏の有名私立大学経済学部卒業、契約社員(年収400万円)。12歳年上の夫(IT関連会社勤務・年収1500万円)と結婚11年。東京都中央区内の分譲マンションに住む。子どもは10歳女子。身長163cmでふっくら体形。ロングヘアをポニーテールにしているかわいい感じの女性だ。
イケメンが好きなのに、年収に目がくらんで結婚した
聡子さんは年下で、アイドル風の容姿の男性が好きだという。
「まぶしいくらいのイケメンが好きなのに、年収に目がくらんで“おブス”な夫と結婚してしまった。出会ったのは結婚相談所です。私は家族に恵まれなかったので、自分の家庭が欲しかったんです」
夫は聡子さんが初めて交際する女性だった。聡子さんは高い年収と都心のタワーマンションを所有している夫がいいと思った。
「とんとん拍子に結婚し、すぐに娘を授かりました。夫は育児が苦手であまり手伝いませんが、生活費をしっかりくれるし、仕事人間で私に干渉してこないのがいいところ。娘の保育園の送り迎えがキツくて私のイライラが爆発し、ブチ切れても、“まあまあ”ってなだめてくれました」
手は出さないけれど、金は出すし、人事系の仕事をしているからグチを聞くのが上手い。理想的な夫だという……ただし、容姿を除いて。
「私よりも身長が低く159cmなんです。はちきれんばかりのお腹をしていて、私が妊娠中に“旦那さんのほうが臨月みたいですね”と言われていた。目はパッチリしていてかわいいのですが、丸顔でタラコのような唇をしている。お酒を飲むと汗をかいて真っ赤になる。こだわりがあるのか、銀ブチメガネをかけていて、頭髪も寂しい。もう見ているだけでうんざりするんです」
パンツや靴下を洗うのは平気、しかし男性としては愛せない
「人として尊敬していますが、夫のことは生理的に無理。でも、よくあるように、下着もキモいとかそういうことではないんです。全然平気だし、夫が快適に生活するために、喜んで洗濯を引き受けています。でも、男性として受け入れられないんですよ。この11年間の結婚生活で、夫婦関係は片手で数えるほどしかないかもしれません。でもその代わりに肩もみをしたり、マッサージはしています」
かつては、流れで夫婦生活に持ち込まれそうになったときもあったが、聡子さんは拒否。すると夫は無理強いせず、性産業のお店に行くという。
「結婚1年程度で誘われなくなりました。その後は月に1~2回くらい、お店に行っており、今も行っているみたい。男性用のグッズも見かけますしね。お風呂で洗っているところを見たことがあります。私自身は、子育てに忙しかったころは、私は特に性欲はなく、生理前に自分でちょっとする程度でよかったのですが、3年くらい前からだんだん性欲が強くなっていったんです」
そこで、別の男性とするために、女性向けフーゾクに依頼する。
「よくわからないから、検索して私好みのイケメンを予約したんです。新宿の待ち合わせ場所に来たのが、整形をバッキバキにした30代後半の男性だったのです。若くてアイドルみたいな子が来ると思ったら、そんなオッサンが来た。“ごめんなさい、無理です”と言い、その日は帰りました。バックにどんな人がいるかわからないから、8万円は振り込みました」
そのキャスト(男性)は、自分のテクニックがいかに素晴らしいかとプレゼンテーションをしたが、生理的に無理だと感じたという。
これで「私は若い子としたいんだ」と確認した
期待していただけに、落胆は激しかった。そこで、ネットで浮気の情報を検索。若い子と出会うのはマッチングアプリだとわかった。
「若い子と出会い、当たり障りのない関係をするのは、マッチングアプリがいちばんなんですよね。私くらいのオバサンでも、ガンガンLikeが来る。マッチすると“すぐ会おう”ということになるんです」
聡子さんは東京駅の徒歩圏内に住んでいる。だからマッチングアプリで多くの男性と出会えるのだという。
「マッチングアプリは“近くにいる相手”とマッチする。都会は圧倒的に有利なんです。ただ、東京駅だと、オジサンばかりが出てくる。でもアプリを見ていると、日曜日の夜には若いコがいると気が付いたんです」
それは、彼らが東京駅を通り過ぎるから。例えば、友達と舞浜のテーマパークに行ったあと、家に帰る前など「ちょっと女性と会いたいな、ダメもとでアプリでも見るか」となったときに、聡子さんが待ち構えている。
「食虫植物になった気分ですよ。こっちも日曜の夜なら夫もいるし“ジムに行く”と言えば出られる。それで男性と会い、ホテルに行ってする。私からLikeをするのは、自分好みのイケメンだけ」
アプリを始めてから、3年間で40人以上の男性と“大人の関係を持った”という。
「全員20代前半の男性。肌の張りも体の反応も全然違うんです。ただ、警戒心はありました。SNSで勤務先や大学を確認して、“実在する人物”とだけ会っていました。今の子って、身バレ(身元バレ)が怖くないみたいで、結構晒しているんです」
あまりにもいい男性といい思いができる。ハマったら怖いと思って、ルールを決めた。
「月に2回以下、同じ人とは会わないなどです。向こうも私のことは“処理係”と心のどこかで思っている。だからそれはそれでいいのですが、ちょっと悲しくなることはありますよね。そうそう、若いコと関係を持つと、心も若返るんですよ。こっちはもう汚れ切ったアラフォーじゃないですか。若いコとピロートークをしていると、偏差値が高い大学のコに限って、“海外の貧困国の子どもの教育支援をしたい”とか“国連で働きたい”とか壮大なことを言うんですよ。そういうところに若き日を思い出すというか……忘れていた理想を思い出させてくれるんです」
コロナ禍でも、マッチングアプリの恋愛は続けているという。「どうせ死ぬなら悔いなく」と続ける。夫とは信頼し合い、よき父・よき母としてこれからも関係を続けていくという。
「夫と娘から、“ここ数年、ママが笑顔になってうれしい”と言われています」
円満な家庭のために、性的な処理は外部で行う。愛と欲は別と割り切る時代が来ているのだろうか。
写真/(C)Shutterstock.com
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Writer&Editor
沢木 文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。