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始末書と顛末書の違いとは?
始末書も顛末書も、業務上でトラブルなどの問題を起こしたときに提出を求められる文書です。「始末書」は“反省の気持ちを表すため”に書くもので、「顛末書」は“ことの経緯を報告するため”に書くものです。
反省を表すという趣旨から始末書は本人が作成することが必要ですが、顛末書の場合は問題の詳細を知る関係者が作成しても問題はありません。ここでは始末書と顛末書、それぞれの内容についてご紹介します。
■始末書は反省を表す文書
始末書は会社で不祥事を起こした場合、反省の気持ちを記載して提出する文書です。問題が発生したあと、できるだけ早く提出しなければなりません。
始末書はトラブルが取引先や顧客に対して影響を与えた場合に、社外に向けて提出を求められることが多いのが特徴です。社内向けの場合は、一般的に懲戒などの社内処分に相当する問題が発生した場合に提出が求められます。
始末書の提出は任意で、会社から命令することはできません。謝罪や反省の気持ちは憲法で保障されている「思想・信条の自由」にあたり、強制することはできないのです。
一方、顛末書は客観的事実の報告書であり、業務命令として提出することを強制できます。
■顛末書は経緯を報告する文書
顛末書は、トラブルなど起きた事実の一部始終を報告する文書です。通常、社内処分に至らない程度の問題でも提出を求められることが多いでしょう。
顛末書を書く上では事実を客観的に、誰がみてもわかりやすくする必要があります。問題に対する再発防止策を示し、今後同じことを起こさないために作成するものなので、始末書とは異なり事態が落ち着いたあとに作成するのが一般的です。
■どちらの方が重い?
始末書は反省を表すもので、顛末書は報告することが目的の文書です。両者は目的が異なるため、どちらが重いかという簡単な比較はできません。
ただし、始末書は会社が不利益を被るほど重い不始末に対する謝罪の気持ちを表するもので、責任の所在が自分にあることを認め再発の防止を誓うという点では顛末書よりも重みがあるといえるでしょう。
「始末書」の書き方と例文
始末書を書くことは反省や謝罪の気持ちを表すことをおもな目的としますが、発生した問題の経緯を記載するという点では、顛末書と変わりありません。
文書内では責任の所在が自分にあることを明らかにし、謝罪文を記載します。事実を曖昧にしたり、過ちについて言い訳をしたりすることは避けなければなりません。ここでは、始末書の書き方や例文を紹介します。
■問題の経緯や原因を記載する
始末書の冒頭では、問題の経緯を記載し、どうしてそのようなことが起きたのか原因を記載します。いつどこでどのようなことが起きたのか、客観的な事実をありのままに書きましょう。
少しでも責任を逃れたいために異なる事実を書く、具体的に記載しない、経緯を省略するといったことのないよう注意が必要です。嘘を書いたり、内容をはっきりと記載しなかったりすることは、反省していないと捉えられてしまいます。
■反省の気持ちを書く
始末書は反省や謝罪の気持ちを書くことがおもな目的です。十分な反省の気持ちが伝わるように書かなければなりません。
具体的には、問題の経緯を記載したあと、責任は自分にあることを認めて反省の気持ちや謝罪を書きます。今後同じようなことを二度と起こさない旨の文言を記載し、最後は寛大な処置を願うなどの内容で締めくくります。簡潔に、わかりやすく記載することが大切です。
■始末書の例文
始末書の例文を紹介しましょう。大事な会社の書類を紛失した場合を例にしています。
【例文】
始末書
令和◯年◯月◯日
◯◯株式会社 〇〇様
氏 名(捺印)
令和◯年◯月◯日◯◯時◯◯分頃、帰宅途中の車内で企画に関する資料の入った文書一式を紛失した件につき、ご迷惑をお掛けしたことを心よりお詫び申し上げます。
降車後に紛失に気づきすぐに警察に遺失物届を提出しましたが、発見の連絡はない状況です。今後はこのような事態を再び起こすことがないよう、帰宅の際には持ち物に十分注意することを固く誓います。
このたびは、まことに申し訳ありませんでした。なにとぞ寛容なご処置をお願い申し上げます。
「顛末書」の書き方と例文(経緯)
顛末書は問題の経緯を報告する文書です。具体的な事実を客観的にわかりやすく記載しなければなりません。
さらに、トラブルなどの原因を分析し、再発を防止するためにどのような対策が必要かも記載する必要があります。事実を書き漏らさないためには、5W1Hを意識するとよいでしょう。ここでは、顛末書の書き方と例文を紹介します。
■「5W1H」を重視する
顛末書に書くべき項目を漏らさないためには、5W1Hを明らかにします。次の項目に事実をあてはめていきましょう。
・When:問題が起きたのはいつか
・Where:問題が起きたのはどこか
・What:どのような問題が起きたか
・Why:問題はなぜ起きたのか
・How:今後同じような問題が起きないためにはどうすべきか
実際に書くときは読みやすさを意識してください。先に結論を書き、そのあとで5W1Hの内容に沿って具体的な内容を記載していきます。
■今後の対策や防止策も記載する
顛末書は事実の報告だけでなく、今後の対策や防止策も記載しなければなりません。まず起きたことの原因を分析し、今後同じような失敗を繰り返さないためにはどうしたらよいかを考えて記載します。
顛末書を提出したあとも、「対策が実行されているか」「状況は改善に向かっているか」などを調査して結果を報告するとよいでしょう。顛末書の意義をより高めることになります。