「蟷螂」の読み方や意味とは?
「蟷螂」という漢字の読み方はご存知ですか? ある生き物の名前なのですが、子どもの頃に森や公園で捕まえたことがある方もいるかもしれません。さっそく「蟷螂」の意味や特徴をみていきましょう。
<読み方や意味>
「蟷螂」は「かまきり」または「とうろう」と読みます。
皆さんご存知の、三角形の頭に鋭い鎌を持つ昆虫です。世界には約2000種類もいるとされていますが、日本に生息している「蟷螂」は7種類ほどで、「オオカマキリ」「ウスバカマキリ」「コカマキリ」などが代表的です。
主に春から秋にかけて、草むらや花壇などで見つけることができます。体の色は黄緑色や茶色。これは周りの草木に同化して獲物を待ち伏せするためとされています。そしてハエや蛾、昆虫やトカゲを食べる肉食系です。
ちなみに、「とうろう」は、「蟷螂」の漢名(中国での名称)で、日常生活ではあまり使用されません。
<俳句の季語>
意外なようですが、「蟷螂」は俳句などの季語にも使われます。「蟷螂」は秋の季語とされ、俳句の中では「鎌切」や「斧虫(おのむし)」「いぼむしり」などの別称も使われることがあるようです。有名な俳句には以下のものがあります。
「蟷螂が片手かけたり釣鐘に」小林一茶
「蟷螂や二つ向きあふ石の上」正岡子規
また、「蟷螂」は夏や冬の俳句にも使われることがあります。夏の季語は「蟷螂生る(かまきりうまる)」。5月頃になると木の枝に産み付けられた卵が孵化し、たくさんの子供が生まれることを指す表現です。また、冬の季語には「蟷螂枯る(かまきりかる)」「枯蟷螂(かれとうろう)」があります。
「蟷螂」は、交尾や産卵期が終わると、冬を越す前にほとんどの個体が短い生涯を終えます。この姿から「蟷螂枯る」という表現が生まれたのかもしれませんね。
「蟷螂の斧」の意味とは?
「蟷螂」を使った「蟷螂の斧」ということわざもあります。初めて耳にする方もきっと多いことでしょう。「蟷螂の斧」は、「とうろうのおの」と読みます。
「蟷螂の斧」の意味を辞書で調べてみると、
弱小のものが、自分の力量もわきまえず、強敵に向かうことのたとえ(<小学館デジタル大辞泉>より)
となります。「蟷螂の斧」とは、蟷螂の前脚や鎌のことです。蟷螂が前脚を上げて、自分より遥かに大きい相手を威嚇するさまを表しています。つまり「蟷螂の斧」とは、勝ち目のない相手や目標に対して、臆することなく挑むことを意味する言葉です。
「蟷螂の斧」の使い方とは?
「蟷螂の斧」ということわざは、どのような時に使うのでしょうか。
「蟷螂の斧」は、「弱い立場の人が強い立場の人に対して反抗する」という意味をもつ言葉です。このことから、ビジネスシーンや受験勉強など何かに挑む場面で使われます。無謀な挑戦であっても勇気を持って立ち向かう時や、そんな姿を見て「がんばれ!」と応援するような時に使ってみてはいかがでしょうか。
「蟷螂の斧」を用いた例文は以下の通りです。
・人気ファッションブランドとデザインで張り合うなんて、まさに蟷螂の斧だ。
・「大手企業に戦いを挑むのは蟷螂の斧かもしれないが、やってみなければわからない」と社長は言った。
・たとえ蟷螂の斧になろうとも、学年トップのA君と競争するつもりだ。
「蟷螂の斧」の類語とは?
続いて、「蟷螂の斧」の類語を紹介します。状況に応じて適切な言葉に使い分けましょう。