「美辞麗句」の意味と由来
「美辞麗句」は、相手にとって耳触りの良い言葉を話すことを意味し、少しネガティブなニュアンスを含んでいるのが特徴です。
正しい読み方は……「びじれいく」でした!
「美辞麗句」という表現は、三国志時代の中国に由来を持っています。言葉の成り立ちを知れば、より理解が深まるはずです。
「美辞麗句」の詳しい意味と語源を解説します。
意味は美しい言葉を並べて話すこと
「美辞麗句」とは、読んで字のごとく美しく麗しい文句や言葉を意味します。デジタル大辞泉での意味も併せて確認しておきましょう。
【美辞麗句】びじれいく
美しく飾りたてた言葉や文句。「―を並べたてる」
単に美しい言葉という意味だけではなく、「美辞麗句」には本心ではないうわべの言葉というニュアンスが含まれており、主に皮肉の意味を込めて使われます。
「辞」は言葉、「句」は単語が連なったフレーズを意味します。
由来は三国志時代の中国に遡る
「美辞麗句」という表現の語源は、中国の三国志時代に確認できます。もともと、中国では「美辞」と「麗句」の二語がそれぞれ別々に使われていました。
中国で「美辞麗句」の四字熟語として使われていた形跡がないため、日本に言葉が渡ってきた後に、「美辞」と「麗句」を組み合わせて使うようになったとされています。意味の似通った二語を一緒に用いることで、さらに意味が強調されています。
「美辞麗句」の3つの類義語
「美辞麗句」と似た意味を持つ言葉として、次の3つの表現をご紹介します。
・巧言令色
・甘言蜜語
・社交辞令
「美辞麗句」は、ネガティブなニュアンスを含んでいる言葉です。しかし、ご紹介する類似表現のなかには、肯定的な意味を持っているものもあります。
表現力の幅を広げてくれる類似表現ですが、言い換え表現を使う際には、言葉の持つニュアンスにも注意しましょう。
巧言令色(こうげんれいしょく)
「美辞麗句」の類似表現として1つ目にご紹介するのは「巧言令色」です。
【巧言令色】こうげんれいしょく
言葉を飾り、心にもなく顔つきを和らげて、人にこびへつらうこと。
「巧言令色」とは、相手に気に入られるために心にもないような発言をしたり、見せかけのよい態度を取ったりすることです。「美辞麗句」と似たシーンで利用できますが、「巧言令色」には発言だけではなく、人に気に入られようとする態度や表情も含まれるのが特徴です。
甘言蜜語(かんげんみつご)
次にご紹介するのは「甘言密語」です。巧みに言葉を用いて対手の気を引こうとすることを意味します。
四字熟語を構成している「甘言」と「蜜語」は、どちらも甘い言葉、つまりわざとらしい偽りの言葉という否定的な意味を持った言葉です。
「蜜語」は単独で使われる場合、恋人同士の愛情のある語らいを意味することもありますが、「甘言蜜語」と熟語で使われる際には、人をその気にさせるための偽りの言葉というネガティブなニュアンスで使われます。