普段料理を作る時に、「灰汁(あく)取り」をしていますか? 意外と見落としがちな工程ですが、実は料理の味を左右する大事なポイントなんですよ。灰汁をしっかり取り除くことで、素材本来の旨みが引き立ち、仕上がりが格段に変わります。
本記事で、料理をもっと美味しくするための「灰汁取り」の基本や、灰汁取りが必要な野菜、灰汁を取るときの便利グッズを紹介します。
「灰汁」の正体は何?
料理のレシピなどを見ていると、よく「灰汁取りをしましょう」と書かれていますよね。なんとなく指示に従っている方が多いかもしれませんが、その正体を知っている方は少ないでしょう。
「灰汁」は「えぐ味」などの総称!
灰汁は、特定の成分を指すものではなく、「えぐ味」「渋み」「臭み」といった料理の風味を損なう要素の総称です。例えば、山菜やほうれん草には多くの灰汁が含まれており、そのまま調理すると料理全体の味を悪くしてしまいます。これらの成分を取り除くことで、料理を美味しく仕上げることができるのです。
なぜ「灰汁」をとるの?
実は「灰汁」をとらなくても、料理を食べることは可能です。食材によって、「灰汁」の濃さは変わるため、なかには調味料などを用いることでえぐ味などがほとんど気にならないものもあります。にも関わらず料理の際、なぜわざわざ「灰汁」を取るのでしょうか?
ここでは、料理で「灰汁」取りをする理由を「見た目」「風味」の2点に分けて、紹介します。
見た目が悪くなることを防ぐ
「灰汁」取りをする理由として、まず挙げられるのは「見た目が悪くなることを防ぐため」です。使う食材によって、「灰汁」の色は白っぽいものから茶色っぽいものまであります。
「灰汁」取りをしないままでは、煮汁の透明感を損ない料理全体の見た目が悪くなってしまうでしょう。もちろん、カレーなど色の濃い料理であればこの点はあまり気になりませんが、多くの料理は、「灰汁」取りをすることできれいな仕上がりになります。
風味が落ちるのを防ぐ
「灰汁」をそのまま残してしまうことで、料理の風味も損なわれることがあります。この点は、そもそも「灰汁」の正体が、えぐ味や渋みなどの総称であることからも、おわかりいただけるでしょう。
山菜など「灰汁」を多く含んでいる食材は、そもそも渋みが強すぎて、「灰汁」を取らなければ食べられません。また肉から出る「灰汁」は、脂肪分が多く含まれており、そのまま食べると生臭さが残ってしまいます。
「灰汁」の種類は2つ!
ひと言で「灰汁」といっても、その種類は「動物性」と「植物性」の2つがあります。同じ「灰汁」であっても、それぞれ成分や人体への影響が異なります。
2種類の「灰汁」に含まれる成分やその特徴について、以下で紹介します。ここで登場する食材においては、十分に注意して「灰汁」取りをしてください。
動物性の「灰汁」
動物性の「灰汁」は、血液やタンパク質が固まることでできます。水溶性のタンパク質であるため、煮汁に「灰汁」が解けると熱によって固まっていきます。その固まりが残ることで、生臭さやクセも、そのまま残ってしまうでしょう。
人体にとって特別有害ということではないですが、やはり取ってしまったほうが見た目も風味もよい料理に仕上がります。