「渡りに船」の意味と使い方をチェック
「渡りに船」の読み方は「わたりにふね」です。「望ましい状態になり、好都合なこと」という意味があります。思いもよらないような幸運なことがあったときに使える言葉です。
なお、ビジネスでの「渡りに船」は運だけではないともいわれます。それでははじめに、「渡りに船」の意味や語源、使い方、ビジネスでの「渡りに船」の話について、詳しくチェックしていきましょう。
「渡りに船」とは望ましい状態で好都合なこと
【渡(わた)りに船(ふね)】
必要な物がそろったり、望ましい状態になったりして好都合なこと。「―の申し出」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「渡りに船」とは、「望ましい状態で好都合なこと」、「必要なものや人、条件が都合よく揃うこと」を意味します。とくに、困っているときにちょうどタイミングよく助けに恵まれたときなどに使われていることわざです。
ことわざはなんらかの教訓や戒めであることが珍しくありませんが、「渡りに船」は教訓などではなく、単に幸運な状況を表す言葉として使われます。渡りに船はビジネスシーンでも日常会話でも、どちらでも使いやすい言葉だといわれています。
なお、「船」は「舟」と書くこともあるようです。
「渡りに船」の語源・由来
「渡りに船」の由来は川を渡る船からきました。どのようにして川を渡ろうかと思っていたところに、ちょうどよく目の前に船があったという話が語源です。そこから、タイミングよく入り用なものが手に入ったときなど、好都合なことが起きたときに使うようになりました。
もともとは、仏教の経典である「法華経(ほけきょう)‐薬王品」の「如子得母渡得船」が出典だといわれています。以前は「渡りに船を得たる」や「渡りに船を得る」と表現することが多かったようです。
「渡りに船」の使い方と例文
「渡りに船」で表現する幸運は、基本的に自分の努力ではなく単に運がよかったことについてです。そのため、努力したことで運が向いてきたときなどには使いません。「試験に向けて猛勉強したら合格できた。渡りに船だった」とは使わないため注意しましょう。
「渡りに船」は、運よく幸運に恵まれたときに使うようにしてください。例文は以下のとおりです。
・バスがいってしまって困っていたら、【渡りに船】といわんばかりに同僚が車で通りがかった。
・海外で暮らしたいと思っていたら海外支社のメンバー募集を知り、【渡りに船】とばかりに飛びつきました。
・気になっていた家電がタイミングよくセールになり、【渡りに船】だと思って購入した。
ビジネスでの「渡りに船」は運だけではない
基本的にはラッキーなことに対して使いますが、ビジネスで使う場合の「渡りに船」は運だけではないともいわれています。ビジネスに関してタイミングや運に恵まれたことで成功した人がいますが、成功者が持っていたのは運だけではありません。
タイミングや運に恵まれたときに、そのチャンスをいかせるような準備をしっかりして、人脈などを持っていた人が成功者には多いでしょう。困ったときに助けてくれるような人脈が持てるその人の人間性や、日頃の心がけによって、「渡りに船」の状況ができるのだといわれています。
「渡りに船」の2つの類語
「渡りに船」と似ている意味を持つ2つの類語は、以下のとおりです。
1.地獄に仏
2.日照りに雨
類語をあわせて理解しておくことで、「渡りに船」からの言い換えがしたいときにほかの表現を選べるようになります。それぞれの意味や読み方などを詳しくチェックしていきましょう。また、自分が思っていることを正しく伝えられるように、表現ごとのニュアンスの違いもつかんでおきましょう。
地獄に仏(じごくにほとけ)
1つ目の「渡りに船」の類語は、「地獄に仏」です。苦難に直面しているときに仏様のような救いを得たときに使います。
「渡りに船」ではそれほど困っていない場合にも使えましたが、「地獄に仏」とはとても困っているとき限定で使用する慣用句です。よいことがあったという意味では同じですが、元々の状況が「地獄に仏」のほうがより悪いという違いに注意しましょう。