「厚顔無恥」の意味・由来
「厚顔無恥」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべますか? 正しい意味は知らなくても、漢字を見ると、あまりいい意味ではないなと感じますよね。「厚顔無恥」は、人の言動に対して用いられる言葉。ビジネスシーンでも登場しますので、正しい意味を把握しておくといいですね。まずは意味を見ていきましょう。
意味は「厚かましい・恥知らず」
「厚顔無恥」を辞書で調べると、次の意味があることがわかりました。
こうがん‐むち【厚顔無恥】
[名・形動]ずうずうしくて恥知らずなこと。また、そのさま。無恥厚顔。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「厚顔」は「ずうずうしい」「面の皮が厚い」という意味。「無恥」は「恥を知らない」を表します。具体的には、自分の都合や考えだけで行動することや、他人にかかる迷惑を考えないことを表現する際に使われています。二つの熟語を重ねて使うことで、厚かましさをより強調しているといえるでしょう。
「厚顔無知」はよくある誤り
「厚顔無恥」を「厚顔無知」と表すことがありますが、これは誤り。同じ読み方で漢字が似ているため、混同しやすいのかもしれません。「厚顔無知」という四字熟語はありませんので、うっかり書き間違えることのないようにしたいですね。
「厚顔無恥」になりたい人がいる?
上述したように、あまりいい意味ではない「厚顔無恥」。実は最近、厚顔無恥になりたいと望む人がいるといわれています。「世間や周囲の目を気にして気を遣ってばかりいても仕方がない、いっそのこと厚顔無知になるほうが気楽だ」というニュアンスで、厚顔無恥になることを望むようですね。
人の目を気にせず、自分らしく振る舞うことは大切です。しかし、その願望を「厚顔無恥」で表現するのは、誤解が生む可能性があるでしょう。相手を不快にさせるかもしれませんので、使い方には注意を払いたいですね。
この場合、「厚顔無恥」を使うよりも、「自分の気持ちに素直になりたい」「自分らしく振る舞いたい」と表現するほうが、きちんと意味が伝わるでしょう。
「厚顔無恥」の使い方と例文
「厚顔無恥」は、人の言動に対して使う言葉です。誰かを批判するときはもちろん、戒めの言葉として用いることも多いでしょう。日常だけでなく、ビジネスシーンでも使える言葉ですので、使い方をチェックしておくといいですね。具体的な使い方を例文で紹介します。
人の態度や行為を表す際に使う
「厚顔無恥」が使われるのは、人の態度や行為を形容する場面です。例えば、厚かましい人について「厚顔無恥な人」と言ったり、ずうずうしい行動に対して「厚顔無恥だ」と表したりします。
また、他人から分不相応なことを求められた場合に、「そこまで厚顔無恥ではありません」のように用いることがあります。そのように表現することで、依頼を断ることができるでしょう。
そのほか、「厚顔無恥にならないようにしよう」のように、戒めの言葉として用いることもあります。
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「厚顔無恥」を使った例文
「厚顔無恥」の具体的な使い方を例文で紹介します。参考にしてくださいね。
・彼女はプライドが高くて【厚顔無恥】だ。
・あの人はいつも【厚顔無恥】な態度で、見ているこちらが恥ずかしくなる。
・あの政治家は無責任な対応ばかりで、【厚顔無恥】も甚だしい。
・そんなずうずうしい行為をするなど、そこまで【厚顔無恥】ではありません。
・いくら私が【厚顔無恥】でも、そのような依頼はお受けできません。
「厚顔無恥」の類義語と対義語
「厚顔無恥」の類義語と対義語を見ていきましょう。複数ありますので、いくつかピックアップして紹介します。
【類義語】
・傍若無人(ぼうじゃくぶじん)
・得手勝手(えてかって)
【対義語】
・平身低頭(へいしんていとう)
・遠慮会釈(えんりょえしゃく)
・温柔敦厚(おんじゅうとんこう)
「厚顔無恥」とあわせて、これらの言葉の意味も覚えておきましょう。