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LIFESTYLE 四字熟語

2024.02.25

「三寒四温」って何? いつ使うのが正解? 言葉の由来や意味、使い方

冬に寒い日が三日くらい続くと、その後四日間ほどは暖かいことを指す四字熟語「三寒四温」。気候がだんだん暖かくなるという意味にも用いられます。当記事では三寒四温の言葉の由来や意味、使い方、類義語や英語表現を紹介します。

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三寒四温とは?

「さんかんしおん」と読みます。冬の終わりから春にかけて、寒い日が三日ほど続くと、その後四日間くらいは暖かい日が続くことを意味します。気象庁での解説用語には、次のように記されています。

晩秋から初春にかけて、3日間くらい寒い日が続いたのちに4日間くらい暖かい日が続き、これを繰り返すこと。中国北東部や朝鮮半島などではかなり規則的な現象としてあらわれる。(出典:小学館 デジタル大辞泉) 

氷をまとった赤い葉のアゼリア

三寒四温の由来

もともとは朝鮮、中国東北方面の天気俚諺(てんきりげん)に由来します。冬は寒い日が三日、暖かい日が四日続き、寒い時は晴れ、暖かい時は天気が悪くなる、という言い伝えです。冬にはシベリア高気圧の勢力は一週間くらいの周期で変化します。強くなると寒気が吹き出して気温が下がり、弱くなると暖気が入ってきて気温が上がります。それにより、天気が悪くなる現象が起きるのです。

三寒四温の時期は?

本来は冬の季語として用いられます。しかし、日本は上記のような現象は、冬よりも春の方が起こりやすいのです。なぜなら、春は低気圧と高気圧が交互にやってきて、周期的な寒暖の変化を繰り返すから。このことから、冬から春に向けて暖かくなっていくことを、三寒四温と勘違いする人が増えてしまいました。

桜の花と水の波紋

とはいえ、実際には日本の冬に、ユーラシア大陸で起こる三寒四温の現象が起きることはほぼありません。寒暖の差がはっきりと表れる二月から三月に、寒い日が続いたかと思うと暖かくなり… を繰り返して冬から春へ季節が変わっていく、というニュアンスで使われることが多くなりました。

言葉は生きているので、たとえそれが間違った使い方だとしても、多くの人が使うとそれが正しいと認知されるようになります。そして時代の変化に伴って、言葉の意味合いが変わっていくことがあります。

辞書にも「気候がだんだん暖かくなる意にも用いる。」とあるように、三寒四温はその典型といえます。そのため、厳密にいつ、と示せるものではなく、だんだん暖かくなって、春が近づくことを表すのに用いられることが多いです。

三寒四温の使い方

三寒四温はどのようなシーンで使えばよいのでしょうか? いくつか例を挙げて紹介します。

青空の上のギザギザ矢印とup!の文字

手紙やメールでのあいさつとして使用する例

1:三寒四温の候、皆様お変わりなくお過ごしのことと存じます。
2:三寒四温の季節柄、どうぞご自愛くださいませ。
3:三寒四温となりだいぶ暖かくなりましたが、お元気でしょうか。
4:三寒四温を繰り返しながら春が近づいてまいりました。

三寒四温はプライベートな手紙からビジネス文書まで、幅広く使うことができる便利な言葉です。特に相手の健康に配慮するようなときに使われます。

俳句の季語として使用する例

「三寒四温」という語だけでなく、「三寒」「四温」としても、季語に使われます。

1:雪原の三寒四温浅間噴く(相馬遷子)
2:三寒の瀧と四温の枯木灘(角川春樹)

いずれも冬の季語として使われています。同じように、冬の季語として小説にも登場しています。

「三寒四温の温に向いたが、近ごろになく、小春日和になりそうな、朝でもあった。」(川端康成『舞姫』)

株や先物取引で使用する例

1:今の相場は三寒四温だ。
2:三寒四温でじり高だ。

株や先物取引の投資用語としても使われます三寒四温の頃の気温を折れ線グラフにすると、上がったり下がったりのグラフに。株価も日々上がったり下がったりすることから、三寒四温の気温と株価の状態を重ね合わせて、投資の相場を表す時に使われます。

三寒四温の類義語と対義語

類義語は季節の移り変わりなど、気候を表す意味の語になります。 三寒四温は気候を表す言葉ですから、対義語はありません。

三寒四温の類義語

類義語として、同じように気候に関する四字熟語を紹介します。

一陽来復(いちようらいふく)

陰暦10月、冬至のこと。また、「冬が過ぎ去って、再び春の季節がやってくること」です。これが転じて、苦しい時期が過ぎて次第に運が開け始めてくることを意味します。

例「仕合わせと不仕合わせとは軒続きさ。ひでえ不仕合わせのすぐお隣は一陽来復の大吉さ。」(太宰治『新釈諸国噺』)

五風十雨(ごふうじゅうう)

五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降ること。適当な時期に風雨があり、気候が順調なこと。

例「今年は雨も風も、五風十雨の譬えの通りに順調だった。」(島木健作『生活の探究』)

九夏三伏(きゅうかさんぷく)

夏の最も暑い時期。「九夏」は夏の三か月、「三伏」は夏の暑い時。夏至の後三番めの庚(かのえ)の日を初伏、四番目の庚の日を中伏、立秋後、初の庚の日を末伏といい、これらを合わせて三伏といいます。

例「九夏三伏の暑熱にも怯(め)げず土佐炭紅々(あかあか)と起こして…」(幸田露伴『名工出世譚』)

花晨月夕(かしんげっせき)

花朝月夕(かちょうげっせき)とも。陰暦の二月十五日を「花晨」八月十五日を「月夕」といいます。「花朝」・「花晨」は花の咲いた朝、「月夕」は月の出ている夕べのこと。そのまま、花の咲いた朝と月の出ている夜という意味です。それが転じて、花の咲く春の朝と、月を愛でる秋の夜の楽しいひと時のことを表しています

例「壮挙をも企て得ないし、下劣をも恥じないし、花晨月夕の興も尽きはてようし、夫婦としても、朋友としても、親子としても通用しない人間になるでしょう。」(夏目漱石『創作家の態度』)

三寒四温の英語表現は?

三寒四温そのものズバリの英語表現はありませんが、同じような意味をもつ表現には下記のようなものがあります。

三寒四温


1:A cycle of 3 cold days and 4 warm days.(三日間の寒い日と四日間の暖かい日の周期)

2:cold for three days and then warm for four days.(三日間寒くてその後の四日間は暖かい)

3:alternation(or cycle)of three cold and four warm days.(三日間の寒い日と四日間の暖かい日の周期)

4:alternating warm and cold days.(暖かい日と寒い日が交互に変わること)

まとめ

三寒四温は本来、冬の気候を表す言葉で、もともとは朝鮮や中国東北部で生まれた言葉でした。日本の気候とずれていることから、言葉だけが独り歩きして、現在では春先の寒暖を繰り返す際に多く使われています。どちらも間違いではありません。

いずれにしても、寒い冬を終えて、暖かな春の訪れを予感させる、前向きな気持ちを表す言葉として、期待感を込めて使っていけるといいですね。

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監修

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
ライター所属:京都メディアライン

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