「ひいては」は原因と結果の関係性を表す言葉
「ひいては」は原因と結果の関係性を表す言葉で、3つの意味があります。デジタル大辞泉では「ひいては」ではなく、「ひいて」という項目で意味が記述されています。
【ひいて】
前文を受けて接続詞的に用いて、事柄の範囲がさらに広がることを表す。
ある事だけにとどまらず、さらに進んで。
それが原因となって、その結果。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「ひいては」の意味は「それが原因となってその結果」「さらに広がって影響を及ぼしていく」「そのままの状態で先を見る」という3つの意味を持った言葉です。ビジネス・政治経済・学問などでよく使われます。
それぞれの意味の区別がつきにくいところもあるため、次の項目で詳しく解説します。
「ひいては」の意味は3つある
「ひいては」には3つの意味があります。
1つめは「それが原因となってその結果」という意味です。あることが原因となって、別の結果につながっていく場合に使われます。
2つめは「さらに広がって影響を及ぼしていく」という意味です。ひとつの物事が大きく広がっていき、さまざまな事象に影響を及ぼしていく状況を表す言葉として使われます。
3つめは「そのままの状態で先を見る」という意味です。今行っていることがそのまま先の結果につながる場合に使われる言葉といえるでしょう。
「ひいては」の漢字は「延いては」
「ひいては」漢字では「延いては」と表記されます。「延」という文字は本来、「のばす」「遅れる」「まねく」などの意味を持った言葉で、「延いては」は当て字となり、「ひいては」とひらがなで表記するのが一般的です。
もともと「ひいては」は動詞の「引く」の連用形に接続助詞の「て」がついた「ひきて」が音変化したものであり、意味としても「引く」のほうがニュアンス的に近いといえるでしょう。
「ひいては」の例文
「ひいては」には3つの意味があるため、それぞれの意味別に例文をご紹介します。
「それが原因となってその結果」という意味の例文
・セキュリティ対策をしっかり行わないと、サイバー攻撃による顧客情報の漏えいにつながる可能性が高まり、【ひいては】会社が社会的な信用を失うことになるでしょう。
・人に親切にすることが、【ひいては】自分のためになるだろう。
「さらに広がって影響を及ぼしていく」という意味の例文
・思いやりを持って人と接すれば、Aさん、Bさん、【ひいては】Cさんとも気心が知れた友人になれるだろう。
Aさん、Bさんに続けて、特に「ひいては」という言葉を使ってCさんという名前を挙げているので、山田さんは少し気難しい人であることがうかがえます。
「そのままの状態で先を見る」という意味の例文
・電力を浪費することが温室効果ガスを増加させ、【ひいては】地球温暖化の問題をさらに深刻なものにしていくだろう。
「ひいては」と混同しやすい語句
「ひいては」と混同しやすい語句がいくつかあります。発音が近いことから、意味を混同してしまうケースが多いといえそうです。「ひいては」と混同しやすい代表的な語句として「しいて」と「せいては」があげられるでしょう。
それぞれ、「ひいては」とまったく意味が異なります。ここでは、それぞれの言葉の意味と正しい使い方を解説しましょう。
「しいて」の意味と使い方
「ひいては」と混同しやすい言葉のひとつは「しいて」です。しいては漢字では、「強いて」と表記します。困難なことや抵抗があることを押し切って行うさま、あえて、むりやりなどの意味があります。
【例文】
・どんなに彼女にピアノの練習をするように【しいて】も、本人にやる気がないのだから、上達するわけがありません。
・君に対してアドバイスすることはほとんどありませんが、【しいて】いうならば、完璧をめざしすぎないことです。
・全社員に対してなかば強制的に残業を【しいて】いたことは、明らかに重大な法律違反といえるでしょう。