「莫大小」の読み方は「メリヤス」
「莫大小」は「メリヤス」と読みます。編んで作られた生地のことを指しますが、手編みではなく機械で編まれた生地、下着や靴下のように丸編みされたものを指すことが一般的です。
「莫」という漢字には「無い」という意味があります。メリヤスは伸縮性に富み、体が大きい人にも小さい人にもぴったりと合うので、「大小が無い」ことから「莫大小」の漢字が当てられたようです。
【莫大小】メリヤス
(スペイン)medias/(ポルトガル)meias
《靴下の意》編み物用機械によって編んだ布地。織物が縦・横2本の直線の糸でつくられるのに対し、メリヤスは1本の糸による編み輪のからみ合いでつくられる。
「莫大小」「目利安」とも書く。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「目利安」と書くこともある
メリヤスは、「莫大小」ではなく「目利安」と表記されることもあります。これは発音をそのまま漢字に当てはめたと考えられるでしょう。また、「目」の字に「女」を当て、「女利安」と表記することもあります。
語源はポルトガル語かスペイン語
「莫大小」の語源は、ポルトガル語の「meias」かスペイン語の「medias」といわれています。
なお、「meias」も「medias」もどちらも靴下を指す単語です。ポルトガルやスペインから日本に来た人々が靴下を指して「meias」「medias」と言ったのを聞き、伸縮する素材を指す言葉だと誤解したのかもしれません。
メリヤスとニットの違い
現在では伸縮する素材を「ニット」と呼ぶことが一般的です。ニットとは本来、1本の糸を編んで作った生地全体を指します。編み方によって呼び方が変わることもあり、メリヤスもそのひとつです。
メリヤス編みとは
ニットの編み方のひとつ、メリヤス(メリヤス編み)とは、表面に縦方向の線が見える編み方です。表と裏がはっきりとわかり、「天竺編み(てんじくあみ)」や「平編み(ひらあみ)」と呼ばれることがあります。
なお、メリヤス編みは基本的には機械で編みますが、手でも編めないわけではありません。Tシャツのように細い糸を使って編むのは手間も時間もかかりますが、太い毛糸を使えばマフラーやセーターをメリヤス編みで編むことは可能です。
経メリヤスと緯メリヤス
メリヤス編みは、「経(たて)メリヤス」と「緯(よこ)メリヤス」に分けることができます。「経メリヤス」とは、縦方向に揃えられた編み針を使い、経糸を連鎖することで編み目を作る編み方です。
一方、「緯メリヤス」とは、編み針に対して垂直に糸を渡し、編み目を縦方向につないで生地を作る編み方を指します。編み方が異なると伸縮しやすい方向や表面の線も変わるので注意しましょう。
「莫大小」のような人とはどういう意味?
「莫大小」は生地や編み方を指す言葉ですが、人の性格や様子を指す言葉として用いられることも少なくありません。人を指すときは、次の2つの意味で用いられることが一般的です。
・相手に合わせて柔軟に変わる人
・相手の言いなりになる人
それぞれどのような意味で使うのか、例文を通して見ていきましょう。
相手に合わせて柔軟に変わる人
「莫大小」は、伸縮性に富んだ素材です。着る人に合わせて形や大きさが変わるので、相手に合わせて柔軟に変わる人のことを指すときに使われることがあります。
【例文】
・彼は話す相手に合わせて自分を上手に変える【莫大小】のような人だ。
・彼女は【莫大小】のような人だから、どのグループに入ってもうまくやっていける。
・相手がどのような話題を好むか、彼女はいつも敏感に察知して上手に合わせることができる。グローバルな会話から近所のスーパーのお得情報まで、まるで【莫大小】のように伸縮自在だ。
相手に合わせて変化するという意味で「莫大小のようだ」というときは、ポジティブな気持ちを含んでいます。「柔軟性があって素晴らしい」「相手に配慮できている」のニュアンスを込めて、「莫大小」という言葉を使ってみましょう。