「最早」は「もはや」と読む
「最早」は「もはや」と読み、何かが実現しようとしている様子を表す言葉です。また、何かの事態が進み、もう止められないところまで来ているときも、「最早」という言葉で表現します。
【最早】もはや
1.ある事態が実現しようとしているさま。早くも。まさに。「―今年も暮れようとしている」
2.ある事態が変えられないところまで進んでいるさま。今となっては。もう。「―如何ともしがたい」「―これまで」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「最も早い」の意味では「さいそう」と読む
「最早」は「最も早い」と表記しますが、「もはや」と読むときは「最も早い」という意味はありません。しかし、「さいそう」と読むときは、「最も早い」の意味を示します。
例えば、次のように使うときは、「さいそう」と発音し、最も早いという意味を表していると考えられるでしょう。
・【最早】開始日(さいそうかいしび)は明日です。明日の10時以降に来てください。
・【最早】開花予定日(さいそうかいかよていび)は来週となっていますが、今日のような温かな気候が続けば、今週末にはつぼみのほころびが見られるでしょう。
時間に区切りをつけるときに使う
「最早」を「もはや」と読むときは、時間に区切りをつける意味で用いることが一般的です。例えば、次のように使うときは、時間の区切りをつけているといえます。
・【最早】どうしようもない。これ以上は何かをするだけ無駄だ。運命を天に任せてじっとしていよう。
・今まで遅れないようにとタスキを繋いで来たけれど、【最早】これまでだ。ここまで差が開いたのなら、追いつこうとはせずに自分の力の及ぶ限り走り続けよう。
いずれも今まで継続してきたことを「最早」という言葉で区切り、異なる行動へと切り替えている例です。最初の例であれば、今までは状況打破のために努力をしたけれど、何かのきっかけで観念し、何もしないというそれまでの行動とは真逆の選択をしています。
何かが実現しようとしているときにも使う
何かが実現しようとしているときにも、「最早(もはや)」を使うことがあります。時間に区切りをつけるときは、話者本人が何らかの行動を主体的に行っていますが、何かが実現しようとしているときは、話者は傍観者としての立場であることが多いです。
いくつかの例から、使い方を見ていきましょう。
・【最早】今年も終わりだ。一年を振り返ってみれば、何かと慌ただしいことばかり起こった気がする。
・【最早】試験まで10日も残っていない。今更ジタバタしても仕方ないので、風邪を引かないように体調管理に努めていきたい。
今年が終わるのも、試験まで10日しか残っていないのも、いずれも時の流れであり、話者自身は何もできません。このように傍観者として時間が過ぎていくのを見守るときに、「最早(もはや)」という言葉を使うことがあります。
「最早」の類語と使い方をご紹介
「最早」を「もはや」と読むときは、別の言葉で置き換えることが可能です。よく似たニュアンスで使える言葉に「すでに」と「とうに」があります。それぞれの使い方を例文から見ていきましょう。
すでに
何かが実現しようとしているときに「最早(もはや)」で表現することができますが、「すでに」でも表現可能です。いくつか例文を紹介するので、使い方をつかんでいきましょう。
・【すでに】こちらは片付いたよ。君がすることは何もないよ。
・走ったけれども電車には間に合わなかった。ホームに到着したときは、【すでに】出発した後だった。
・【すでに】お腹いっぱいなので、これ以上は注文しないでください。