外と家の中ではまるで別人…夫の本性を知って愕然
結婚前までは優しくて包容力のある男性だと思っていた夫が、結婚後、妻に対しては別人のように冷酷で、孤独な結婚生活を送ってきたという秋菜さん(仮名・43歳女性)。あまりにも悲惨だったという数年間に及ぶ体験を聞きました。
「結婚して1ヶ月くらいは、まだ夫は猫をかぶっていましたね。本性を出し始めたのは、ちょうど1ヶ月が過ぎたころです。それまでは、なんでもニコニコしながら私のやることを『いいね』と認めていたのに、いきなり真逆の性格に。私が何かをすると聞こえるように舌打ちしたり怒り出したり『君はいるだけで邪魔くさいなぁ』などと文句を言うようになりました」
要するに、夫の本性は外ヅラだけはいいモラハラ男。ただ、当時は今ほど「モラハラ夫」という言葉も世間に浸透しておらず、友人たちに相談しても「倦怠期じゃない?」「ご主人、いい人そうに見えるけどね?」などと深刻に受けてもらいにくかったと振り返ります。
「離婚して今、4年です。当時より、今のほうが“モラハラ夫”の実態は周りに理解されやすくなった気がしますね。当時は、ただ“妻には怖い旦那さん”、“気難しい男性と結婚した妻”というくらいの軽い認識の人も、周りにけっこういました。ですので、夫の暴挙に対しても私はひたすら耐え続けた日々でした」
モラハラ夫に我慢を重ねるも離婚を決意…
そして今、秋菜さんは離婚を決意し、弁護士を通じて夫と離婚の話し合いを始めました。
「夫が変わってくれれば、という思いで我慢を重ねてきましたが、やっぱりもう難しいだろうという結論に達しました。夫の機嫌のいいときには、普通の夫婦のような会話ができますが、それも1ヶ月に数回あるかないかというくらい不機嫌な時間のほうが多い夫なので。
私の家事の仕方から、話し方、そのうちに外見にまでチクリと嫌味を言うようになってきたし、そんな夫といることで、私は自分への自信を随分と失いました。
離婚を決めたことに悔いはありません。だけど、離婚を決めるなら、もう少し早いほうがよかったんだろうなという後悔はあります。年齢的に、私はもう40代も半ばに近いので、今から離婚して再婚を望んでも、子どもを産むのは厳しいでしょうからね」
夫からのモラハラに対して心がボロボロに傷つくまで耐えた結果、離婚を選ぶ女性は決して少なくありません。「いつか変わってくれるはず」「悪いのは私だから、私さえ変われば夫も優しくなるはず」などと期待をして、我慢を重ねてしまう女性が多い印象です。根底に「どんな夫であれ、結婚したのだから離婚だけは避けたい」という思いが強い女性ほど、我慢を続けてしまうのも現実でしょう。
しかし人生の時間は有限。いざ離婚を決めたときに、戻ってこない“時間”に対して後悔の念を抱く女性もいるのです。自分にとって幸せな日々とはなんなのか、渦中にいるときほど見失いがちではありますが、結婚生活が苦しいと感じているならば、一度しっかりと自分の心と向き合う時間を設けることも大切です。
取材・文/並木まき