「一目置く」の読み方などの基礎知識
「一目置く」の読み方は「いちもくおく」です。「一目置く」という言葉は囲碁にその由来があります。なお、「一目」を「ひとめ」と読んでしまうと誤りのため、読み方に注意しましょう。
はじめに、「一目置く」という表現の詳しい意味や由来、使う際の注意点、意味をさらに強調したいい方、使い方・例文などについて、詳しくチェックしていきましょう。
意味は自分より相手が優れていると認めること
【一目(いちもく)置・く】
《囲碁で弱い者が先に一つ石を置いて勝負を始めるところから》自分より相手が優れていることを認め、一歩を譲る。強めて「一目も二目も置く」ともいう。「だれもが―・く人物」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「一目置く」とは、相手が自分よりも優れていると認めて敬意を払うこと、自分より優れている相手に遠慮して一歩譲ることを指す言葉です。日常会話のなかでもよく使われていて、相手に対する敬意を示すときなどに使用されます。
「一目置く」という言葉は囲碁が由来となったもので、「一目」とは碁盤上にある一つの目のことを指す言葉です。また碁盤上の目とは、縦線と横線が交わっている碁石を置ける場所を指します。
「一目置く」の由来・語源
「一目置く」という言葉の語源は囲碁におけるハンデの付け方です。囲碁は先行のほうが有利に石運びができるといわれています。
対局をする際に相手と比べて実力が劣る側にハンデを付けるため、実力が相手よりも劣る側が先行になって碁石を1つ置いていました。このことから、「一目置く」という言葉ができたといわれています。
このように、囲碁の対局を始める前にハンデを付けさせてもらうことが、相手のほうが実力が上だと認めて敬っているというニュアンスの表現に変わりました。
なお、大きく実力差がある場合には、一目置くだけではなく何目も置いておくケースがあります。
「一目置く」を使う際の注意点
「一目置く」という言葉を使う際の注意点は、「目上の人に対して使わないようにすること」です。先述のとおり、「一目置く」とは自分よりも優れていると認めて敬意を払うという意味の言葉です。
その意味からすると敬意を表すなら目上の人に対して使ってもいいのではないかと思うかもしれません。しかし相手を評価する意味合いがあるため、目上の人に対しては失礼にあたるケースがあります。「一目置く」という言葉は自身と同等の人か、または目下の人に対して使うように気を付けましょう。
「一目も二目も置く」と強調した使い方も
「一目置く」という言葉をさらに強調したものとして使われている、「一目も二目も置く」という表現もあります。「一目も二目も置く」の読み方は、「いちもくもにもくもおく」です。
使い方は「一目も二目も置く」だけではなく、「一目も二目も置かれるような~」と使う場合もあります。たとえば、「あの人は世間から一目も二目も置かれるような傑物だ」というように使われる言葉です。
「一目置く」の使い方・例文
「一目置く」という言葉の例文を確認しながら、使い方をチェックしていきましょう。先述のとおり、「一目置く」とは相手が自分よりも優れていることを認め、敬意を払うことを指します。「一目置く」という言葉を使った例文は、以下のとおりです。
・彼はさまざまなアイデアがある人だから、私も【一目置いて】いる。
・彼とはじめて仕事をしたときから、手際の良さには【一目置いて】います。
・彼女は同期のなかでもとくに営業成績が良いほうで、先輩よりも成績が上だったことも何度もあった。仕事を覚えるのも早くて、新入社員の頃から皆に【一目置かれる】存在だったよ。
・やっぱり彼はすごいね。私は彼をはじめてみた頃から【一目置いている】よ。
このように例文を確認し、どのように使えばいいのか理解しましょう。
「一目置く」の類語と対義語、似た由来の言葉
関連する言葉もあわせて覚えることで、言葉の表現力を効果的に高めていきましょう。「一目置く」と言い換えられる類語と、反対の意味を持つ対義語は、以下のとおりです。
【一目置くの類語】
脱帽する・称賛する・敬意を表する・評価する
【一目置くの対義語】
上から目線・軽蔑する・見下す
言い換えの際には自分が伝えたい内容と同じような意味の言葉を選ぶ必要があります。「一目置く」と言い換えが可能な類語と対義語、似た由来の言葉について、一緒にチェックしていきましょう。
「一目置く」の類語
「一目置く」という言葉の類語の例とその意味は以下のとおりです。
【脱帽(だつぼう)する】
相手に敬意を示すこと。感服すること。
【称賛(しょうさん)する】
相手を褒め称えること。
【敬意(けいい)を表(ひょう)する】
相手を敬っていると表明すること。
言い換えが可能な類語であっても、まったく同じ意味ではありません。たとえば、「脱帽する」とは相手に敬意を示すことですが、その理由が相手のほうが優れているからとは限らないのです。