「宝の持ち腐れ」の意味は?
宝の持ち腐れ(読み方:たからのもちぐされ)は、役に立つものを持ちながら、有効に使わないという意味です。才能を持ちながら、それを活用していないという意味もあります。「宝」は貴重品などの物だけでなく人が持つ能力なども表し、人と物の両方に使われる言葉です。
【宝の持ち腐れ】
1 役に立つ物を持ちながら、使わないでしまっておくこと。
2 才能・手腕がありながら、それを活用しないこと。
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
ここでは、宝の持ち腐れの持つ2つの意味をご紹介します。
価値のあるものを有効に使わないこと
宝の持ち腐れの意味は、価値のあるものを持ちながら上手に活用していないということです。「宝」は役に立つもの、価値のあるもの、優れた能力などを表し、それらを有効に使っていない、あるいは発揮していない状態を表しています。
価値のあるものや才能を持ちながら使わないのはもったいない、持っている意味がないというニュアンスを持つ言葉です。
人と物の両方に使われる
宝の持ち腐れは、人と物に対して使われます。「宝」とは、人を対象にする場合はその人の持つ才能であり、物に使う場合は高級品や高機能な製品などが対象です。
例えば、人に対しては「本当は才能があるのに発揮できていない」「優秀な人材がいるのに活かせていない」といった場面で使われます。物に対しては「最先端の機能を持つ家電製品を購入しても使い方がわからず放置している」「高級ブランドの時計を持っているが、壊したくないのでしまい込んでいる」というようなときに“宝の持ち腐れ”と言うでしょう。こういった状態を、批判するニュアンスを含むことが多いです。
宝の持ち腐れの例文
人に使う場合
例文
・難関の試験に合格しても、仕事に活かせなければ宝の持ち腐れだ。
・優秀な人材を雇い入れても、適切な部署に配属しなければ宝の持ち腐れになる。
・せっかく運動神経抜群なのに、何も部活動しないなんて宝の持ち腐れだよ。
・彼は長いキャリアを積んでいるのにそれを活かした仕事に就こうとしない。本当に宝の持ち腐れだ。
物に使う場合
例文
・便利な機能が搭載されたパソコンを買っても、実際に使いこなせなければ宝の持ち腐れになる。
・高い費用をかけてキッチンをリフォームしたのに外食ばかりで、まったく宝の持ち腐れだ。
・彼女はブランド品が好きでいろいろ買い込んでいるけど、滅多に使おうとしない。宝の持ち腐れ状態だよ。
・相続した都心の一等地をそのままにしているなんて、宝の持ち腐れだ。
宝の持ち腐れの類語
宝の持ち腐れにはさまざまな類語があります。猫に小判や豚に真珠、箪笥の肥やしなどが代表的です。それぞれニュアンスは異なりますが、「所持している価値に見合わない」という意味で共通しています。
ここでは、それそれの類義語を解説します。似ている点や異なる部分を理解して、使い分けるようにしましょう。
猫に小判(ねこにこばん)
猫に小判を与えても喜ばないことから、高価なものを与えても、本人にはその価値がわからないという意味です。価値あるものを持ちながら活かせていないという点で宝の持ち腐れと共通していますが、猫に小判には「ものの価値をわかっていない」という意味合いが含まれます。
宝の持ち腐れが「もったいない」という意味があるのに対し、猫に小判は「似つかわしくない」という意味も含まれます。皮肉のニュアンスがあるため、他人に使うのは避けた方がよいでしょう。
例文
・高名な講師のセミナーを受講したが、よく理解できず猫に小判だった。