免疫力の低下が招く代表的な疾患には、がんがあります。酪酸はがんのなかでもっとも患者数が多い、「大腸がん」の発生を抑えるという報告もあります。
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すでに医薬品として医療現場で使用
酪酸を作り出す酪酸菌で有名な菌として、「クロストリジウム・ブチリカム」があります。この菌は、千葉医科大学(現・千葉大学医学部)の宮入近治博士が日本人の腸内フローラから発見し、分離した菌で、すでに医薬品として医療現場で処方されています。
大腸がんができやすいマウス(APC遺伝子ノックアウトマウス)に高脂肪のエサを与えると、さらに大腸がんが発生しやすくなります。しかし、このマウスに酪酸菌であるクロストリジウム・ブチリカムを与えると、大腸がんができづらくなるのです。
つまり、酪酸菌は大腸がんの発生を抑える効果が期待できるのです。
反対に、酪酸は免疫の過剰反応が招く「アレルギー」や「自己免疫疾患」にも役立つ可能性が示唆されています。
アレルギーと聞くと、真っ先に思い浮かべるのが「花粉症」ではないでしょうか。花粉による季節性のアレルギー性鼻炎は、毎年、特に春になると発症。ひどい鼻水や鼻づまり、くしゃみに悩まされたり、苦しんだりする人が多く、国民病ともいわれています。これは免疫の反応が過剰になることで起こるアレルギー症状の1つです。