夏は冷たい飲食物の摂りすぎで水分を「回収」しきれないためむくみやすい
冬より夏のほうがむくみやすいと感じる方が多いようですが、その理由を、医師の石原新菜先生にうかがいました。
「水分を摂ると、胃腸から吸収されて血液中に入ってきます。それが毛細血管から染み出て、全身の隅々の細胞に届けられますが、摂った水分量が多いと、毛細血管から染み出る量も多くなります。それが、冷房で冷える環境にいたり、デスクワークなど同じ姿勢でいたり、運動不足、湯船に浸からずシャワーだけで済ませるといった生活習慣を続けると、血行が悪くなり、毛細血管の静脈やリンパ管へと染み出た水分を回収する働きが落ちてしまいます。それがむくみの原因です。夏は暑いので、どうしても飲む水分量が多くなりますし、冷房や運動不足、湯船に浸からないなど、血行が悪くなりやすい時期でもあります」(石原先生)
むくみを放っておくと、体が疲れやすくなり、夏バテなどの不調につながることもあるそう。むくみを悪化させないためにも、毎日の生活習慣を見直してみましょう。
いくつ当てはまる?「むくみ」に繋がる生活習慣
下の項目に当てはまる数が多ければ多いほど、むくみやすいということ。むくみに悩んでいる人は、ぜひチェックしてみてください。
✔︎夏のバスタイムは、湯船に浸からずシャワーで済ませることが多い
✔︎運動する機会が少ない
✔︎仕事中はいつも、立ちっぱなしor座りっぱなし!
✔︎冷えた飲み物をよく飲む
✔︎冷房の効いた場所ですごすことが多い
✔︎素足ですごすことが多い
✔︎味つけの濃い食べ物が好き
水分補給とともに夏も「冷え対策」が必要
「夏でも水分の摂りすぎには注意が必要です。とくに内臓を冷やしてしまうキンキンに冷えた飲みものはほどほどに。外にいるときは、熱中症対策のためにもこまめな水分補給が大事ですが、冷房の利いた環境にいるときは夏でも「冷え対策」が重要になります。水分は『冷却水』という言葉があるように、熱の伝導率がよく、体の熱を奪う性質があります。そのため、摂りすぎてしまうと体を冷やしてしまいます。
ですから、冷房の利いた環境にいるときは、常温以上の水分にすることと、血行をよくすることが大切です。デスクワークの途中、1~2時間に一回は屈伸運動やストレッチを取り入れたり、帰宅したら湯船に必ずつかるようにするとよいですね。飲みものや食事に、全身の血行をよくする薬味やスパイスを活用するのもおすすめです」(石原先生)
冷たい水分の摂りすぎや冷えが、夏のむくみを引き起こす原因とは要注意。室内では、「常温以上の飲みものを選ぶ」ということを覚えておくだけでも、むくみの予防になりそうです!
医師/イシハラクリニック副院長
石原新菜
ヒポクラティック・サナトリウム副施設長。健康ソムリエ理事、ロングライフラボ理事、フェムテックジャパン理事。2006年帝京大学医学部卒業。現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察のほか、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。日本温泉気候物理医学会会員。