【目次】
・股関節をストレッチするメリットって?
・股関節ストレッチのやり方
・効果的に股関節のストレッチを行うポイント
股関節をストレッチするメリットって?
運動能力の低下を防ぐ
股関節をストレッチし可動域を増やすことで、運動能力の低下を防ぐことができると言われています。
光伸メディカルクリニック院長、整形外科医の中村先生によると、長年のデスクワークによりコリで硬くなっている人は、若いころと同じように過ごしているつもりでも、日々の運動量が減少する傾向にあるのだそう。
「歩く、しゃがむ、伸び上がる、といった日常動作は、全身の筋肉を使います。ところがコリで硬くなっていたり、姿勢の悪い人は、全身をバランスよく使うことができずに運動能力が低下してしまうのです」(中村先生)
コリや姿勢の悪さで運動能力が低下するのは、股関節だけではありません。
たとえば、立ってスマホを見るとき、猫背になって首や肩が前に落ちた姿勢に。すると上半身の傾きをカバーするため、下半身のひざが曲がり、骨盤が後ろに倒れるという立ち姿になります。骨盤が後傾すると、歩くときに足を強く蹴り出すことができなくなり、歩幅の狭い弱々しい歩き方になってしまうのだそう。
そんな生活を続けていると筋肉の量が落ちて太りやすくなり、体力が落ちて疲労も抜けにくくなってしまうのだとか。結果的に動く気力が低下して、ますます運動不足になってしまうという悪循環に陥ると言います。
「まずは、1日の終わりにストレッチを取り入れて、コリやゆがみを翌日に持ち越さないようにしましょう。体がほぐれると血のめぐりがよくなるし、質のよい睡眠を得やすくなります。しっかりと心身の修復が行われ、翌日に疲労が残りにくいというメリットも。朝から元気で活動的に動ける、軽やかな体になれますよ」(中村先生)
代謝が良くなる
一般的に、股関節は骨盤にも大きく影響すると言われています。股関節が硬いと骨盤に歪みが生じやすくなる可能性があるのだそう。
しかし股関節を柔らかくして骨盤が整えば、姿勢も整いやすくなるのだとか。
カイロプラクター姿勢教育指導士の碓田紗由里さんによると、姿勢がよくなると全身の筋肉がうまく使われ、代謝が上がり痩せやすい体質になると言います。
「姿勢をよくすることによって、全身の筋肉がうまく使われ、代謝が上がります。それだけでダイエットをしているのと同じなんです。逆のことをいうと、姿勢が悪いとやせにくい体質になってしまいます」(碓田さん)
姿勢を正すことも大事ですが、姿勢が崩れる原因と思われることを根本から解決するのも大切ですね。
寝る前のストレッチで疲労除去
股関節のストレッチだけに限りませんが、寝る前のストレッチは疲労解消にとても効果的だと言われています。
トレーナー&インストラクターの菅原みどりさんによると、精一杯頑張った1日の終わりは、全身をゆるめリラックスさせる時間を持つことが大切なのだそう。
「今日の疲れはその日のうちに解消しておきましょう。夜寝る前のストレッチでは、下半身の筋肉や腰をゆるませるポーズで、たまった疲労をとり去ります」(菅原さん)
腰痛の予防
股関節は歩行や立ち座り、荷物を持つときなど、動きの中心として使われる大事な関節と言われています。
股関節がうまく使われていないと、まわりの関節や筋肉が補おうとするため腰に負担がかかり、腰痛になる可能性が高くなるのだそう。
股関節をストレッチし、柔軟性を高めることで股関節の動きがよくなり、腰痛予防にもつながるのだそうです。
股関節ストレッチのやり方
姿勢改善に効果的!腸腰筋のストレッチ
姿勢改善にも効果的な腸腰筋(ちょうようきん)のストレッチです。腸腰筋が硬いと、便秘を引き起こす原因に。
1. 片膝立ちをし、手は膝の上に置く。
2. 上半身を前方にスライドさせるように移動させ、後ろに伸ばした脚の付け根から太ももの前面を伸ばす。
3. 呼吸のタイミングで少しずつ深くし、15秒ほど伸ばす。息を吐きながら1の状態に戻し、反対側の脚も同様に行う。
座りながらできる!お尻の筋肉ストレッチ
股関節の回旋運動に関与している梨状筋(りじょうきん)というお尻の筋肉を伸ばすストレッチです。座りながらできるストレッチなので、デスクワークや家事の合間におすすめです。
1. 椅子に座り、片脚を太ももにのせる。
2. 1の状態から、背筋を伸ばしたまま30秒程かけ体を前に倒し、お尻をじんわり伸ばしていく。
痛いと感じるところまで伸ばさず、気持ちいい程度に伸ばすのがポイント。
ゴロゴロ寝ながらできる!お尻・太もものストレッチ
股関節周辺のお尻と太もも前後のストレッチも合わせて行いましょう。
ベッドの上で寝ながらできるストレッチなので明かりを消して行い、そのまま眠りにつくという方法もおすすめです。翌朝目覚めたときの体のスッキリ感が違います。
【お尻・太ももの裏のストレッチ】
1. 片脚を上げたら両手で支え、胸の前に引きつける。10秒キープして伸ばす。
2. 膝を伸ばしてさらに10秒伸ばし、反対の脚も同様に行う。
【太もも前のストレッチ】
1. 左を下にして横になり、右手で右足首をつかみももの前面を10秒伸ばす。
2. 反対の脚も同様に行う。
ももの外側に張りがある人は、膝を左足に近づけてもOK。
効果的に股関節のストレッチを行うポイント
ストレッチはお風呂上がりが効果的
トレーナー&インストラクター菅原みどりさんによると、ストレッチは体が温まり筋肉が伸びやすいときに行うと効果が上がるのだそう。
「できれば、お風呂上がりやシャワーを浴びたあとなど、体があたたまって筋肉が伸びやすいときに行うとさらに効果が上がります。体がゆるむことで副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られて睡眠の質の向上が期待できます。
1日のうちでストレッチをする時間がなかなかないという人は、夜ストレッチだけでも実践してみてください。体と心が気持ちよく整って、明日への活力が生まれてきます」(菅原さん)
たとえ10秒でも毎日の継続が大切
ストレッチのポーズの推奨キープ秒数は専門家によって異なりますが、大切なのはたとえ10秒でも毎日継続して行うことなのだそう。
「ストレッチを指導するとき、ひとつのポーズを何秒くらいキープするのかは専門家によって異なります。時間をかけて筋肉をじっくり伸ばせれば理想的ですが、トータルの所要時間が長かったり、難しすぎるポーズだと、どうしても続かなくなってしまいます。やらずに筋肉を伸ばす時間がゼロになってしまうよりは、たとえ10秒でも、毎日継続して行うことで体はよい状態を保てます」(菅原さん)
「気持ちいい」程度に伸ばす
ストレッチにより硬くなった筋肉を無理に伸ばすと、筋肉を痛めることにつながる可能性もあるのだそう。
「ストレッチを行う際には、決して頑張りすぎないことも大切です。硬くなった筋肉を無理に伸ばそうとすると、かえって筋肉を痛めてしまいます。“ああ、気持ちいいな”と感じる程度の心地よさで、毎日少しづつでもストレッチの時間をもつことからスタートしてみてください」(菅原さん)