りんごは欧米では「1日1個のりんごは医者を遠ざける」「リンゴが赤くなると医者が青くなる」という諺が残っているほど栄養価が高いと考えられてきました。しかし、案外その栄養価や効能について知らないという人も多いのではないでしょうか? りんごには、ビタミンや食物繊維などが含まれていて、美容や健康に嬉しい効果がいくつもあるんですよ。
そこで、りんごに含まれる栄養素や日々の食事に取り入れるポイントなどを、オンラインスクール【Lieru式リンパセラピスト養成講座】講師であり、プロフェッショナルファスティングマイスター・健康美容食育指導士の木村吏江(きむらりえ)さんに教えてもらいました。りんごを使ったスイーツのレシピも紹介するので、ぜひ作ってみてくださいね!
りんごに含まれる栄養と効果効能
りんごにはどんな栄養価があるのでしょうか? 食べることで得られる嬉しい効果と一緒に紹介します。
1:ビタミンC
りんごにはビタミンCが豊富に含まれているといわれています。ビタミンCはアンチエイジングやお肌をきれいにする効果があるのだそう。
他にも皮脂分泌抑制効果があるため、毛穴やニキビが気になる人にもおすすめされていて、たるみ、くすみ、乾燥などにもマルチに効果を発揮してくれるのだとか。
2:食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性があり、水溶性は血糖値上昇を抑えたり、コレステロール値を下げる効果があります。一方、不溶性は便のかさを増やし、腸の調子を整える効果があるのです。りんごにはペクチンとセルロースという食物繊維が含まれており、ペクチンは水溶性と不溶性、セルロースは不溶性になります。
このペクチンには、お腹の調子を整える整腸作用が期待されているそうで、りんごには実だけでなく皮にも多くのペクチンが含まれているのだそう。
りんご一個あたり食物繊維は皮つきで約4.8g、皮なしで約3.5g含まれています。そのためこういった効果を期待する人には、りんごを食べる時に無理に皮をむかず、皮ごと食べることが推奨されていますが、皮ごと食べる場合にはよく水洗いしてください。
3:りんごポリフェノール
りんごには数種類のポリフェノールが含まれており、総称してリンゴポリフェノールと呼ばれています。ポリフェノールはフィトケミカルの一種であり、フィトケミカルは近年非常に大切な栄養素として注目されていますよ。その抗酸化作用は、がんや生活習慣病を予防することがわかっているそうです。また、アレルギー抑制や免疫力アップも期待されます。
フィトケミカルは植物の皮や種に多く含まれているため、丸ごと食べるのが理想です。しかし、残留農薬・防カビ剤、殺虫剤などが付着している恐れがあるので、皮ごと食べる場合はよくよく洗って食べるのが望ましいでしょう。
4:カリウム
りんご1個あたりに含まれるカリウムは、約300mgと豊富です。
カリウムは、体の水分バランスに関わっており、むくみが気になっている人におすすめされている栄養素。むくみの背景には、腎臓機能の低下などが隠れている場合もあるため、軽視できませんが、食事面ではナトリウムの過剰摂取が原因になっている可能性があります。
また、予防医療/栄養コンサルタントの、細川モモさんによれば、働く女性のカリウムの不足率は51%だそう。
「現代女性の1日の摂取エネルギーは終戦直後以下で、ほとんどの栄養素がマイナス状態なのですが、塩分だけは例外です。塩分対策に有効なのは、体内の過剰な塩分を体外に排出するカリウムを摂ることです。働く女性のカリウムの不足率は51%、ふたりにひとりというデータもあります(※1)」(細川さん)
むくみが気になる人にも、りんごは効果的なのですね。
※1「「Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査」Copyright© 2015 三菱地所株式会社・一般社団法人ラフデリAll Rights Reserved. 」
りんごはダイエットにもおすすめ?
ダイエットするために、朝食やお昼のデザートなどでりんごを食べているという人も多いのでは? りんごとダイエットの関係性についてみていきましょう。
りんごは100g、54kcal
りんごは、100gあたりおよそ54kcalだといわれています。
りんご1個の重さはものにもよりますが、約270gほどだといわれているので、丸ごと1個食べても150kcalに満たないくらいです。そのため、食後のデザートに甘いものを食べるよりもりんごを食べた方が◯。
ただし糖質は、キウイやスイカなどと比べ少々高めの傾向があるそうなので、半分、または1/4個などと食べる量を決めて摂取するといいかもしれません。
食物繊維カリウムもダイエットに有効
りんごに含まれる水溶性食物繊維は、粘着性があるといわれています。そのため、空腹感を感じにくくなり、食べ過ぎも防いでくれるという効果が期待できるそう。
また、りんごにはむくみ解消に役立つカリウムが含まれています。むくみは血流やリンパ液の巡りを妨げ冷えを起こす原因に。これがダイエットの大敵になるといわれていますが、このりんごに含まれるカリウムが体の水分バランスを整え、むくみを解消。結果的に太りにくい体づくりに役立つといわれています。
りんごだけ食べればいいということではない
一昔前、りんごだけを食べて痩せようとする「りんごダイエット」が流行りましたが、りんごだけでは健康を維持するための栄養素は足りません。
管理栄養士・健康運動指導士の小島美和子さんによれば、りんごなどのフルーツは、朝食のデザートで食べるならOKでも、朝食代わりにするのはNGだといいます。
「フルーツでとれるのは、ビタミンや食物繊維、カリウムなど。朝食のデザートとして食べるなら◎。フルーツだけで朝食代わりにするのはNGです。ちなみに、フルーツに含まれるショ糖や果糖は体への吸収が速いので、あまり活動しない夜に食べるとお腹に脂肪がつきやすくなります」(小島さん)
ダイエット以外のりんごを食べるメリット
ダイエット目的以外で、りんごを食べるメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
1:健康面でのメリット
りんごには100g当たり、4mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCには、免疫力を高める効果があるとされているので、風邪を予防したい時に積極的に摂りたいですね。また、りんごには、水溶性食物繊維のペクチンが含まれているので、コレステロールを下げる効果がありますよ。
2:美容面でのメリット
りんごに含まれる、ビタミンCとポリフェノールは、肌を健やかに保ち、シミやシワを予防してくれる効果もあるそう。また、りんごの食物繊維は、腸内環境を整えてくれるのでデトックス効果も! ヨーグルトと一緒に食べると効率的に栄養を摂ることができますね。
3:メンタルヘルス面でのメリット
りんごの甘く爽やかな香りにはリラックス効果があり、ストレスを緩和してくれる効果があるようです。さらに、りんごに含まれるビタミンB群や天然糖分は、脳のエネルギー源となり、集中力を高める効果があるとか。りんごのいい香りを嗅いで、仕事の効率がアップできたらいいですね。
りんごを効果的に食べる方法とは
りんごを食べるなら、より栄養を摂れる食べ方を知りたくないですか? りんごを食べるポイントを紹介します。
1:皮ごと食べる
りんごの栄養素の多くは、実よりも皮の方に含まれているといわれています。
とくに水溶性食物繊維「ペクチン」は皮に多いので、腸内環境を整えたい人は皮をむかずにそのまま食べるのがおすすめ。どうしても皮が苦手だという人は、皮ごとすりおろしてヨーグルトにかけて食べるなど工夫するといいそうです。
なお、先述した通り、皮ごと食べるメリットもあれば、デメリットもあるので、理解した上で食べてください。