50代前半の夫は年代のわりに昭和の価値観が強いタイプ
40代半ばの理沙さん(仮名)は、年上の夫が昭和的な価値観の持ち主であることに悩んでいるのだそう。いわゆる“男尊女卑”的な感覚で妻に接してくるので「これはモラハラでは?」と感じることも多いと言います。
「本人は悪気なく当たり前のように、男尊女卑的なことを口にします。『お前は、女だからいいけど』とか『女のくせに生意気』と言われるのは日常茶飯事。暴力はないけれど、暴言がすぎるタイプだと感じます。
これってモラハラだしパワハラなんじゃないのって思いつつも、何か言うとまたうるさいので黙っていますけど、けっこうなストレスですね」
「女のくせに」と言うくせに妻を守ろうとしない夫
「そのうえ『女のくせに』などと妻を見下す発言をするだけで、私が困っているときに助けることもなく、自分が王様なだけ。そこまで女性を下に見るなら、女性を守るとか俺がなんとかするとかあればまだいいんですけど、それがないんですよ。
“昭和男児”な育て方をされたからかなぁと大目にみてきましたが、夫は年齢を重ねるにつれて頑固になり、発言も過激になっています。夫はあと少しで60代になりますけど、これ以上そんな言葉ばかり浴びせられたら、一緒に居続けることができるか、不安ですね」
今は我慢できないレベルまでは言っていないので、聞き流すことで夫との暮らしを保っているという理沙さん。しかし子どもたちも大きくなった今、少しずつ老後の生活もイメージするようになってきていて「あの夫とふたりで老後を過ごすには不安が大きすぎる」と感じているのだそうです。
老後になってから離婚?それともその前に離婚?
「今すぐに離婚を考えているわけではないんです。でも、もうこの人とは一緒に居られないって判断する日がそう遠くない日にくるような気もしています。それでもなるべく離婚はしたくないので、我慢できるところまでは一緒にいる覚悟ではいます。
でも、老後になってから離婚するくらいなら、早めに離婚したほうが次のパートナーができやすいのかな?と考えちゃいますね。焦ってパートナーを探すつもりはないんですが、ずっとひとりというのも寂しいので、離婚したら次の相手は探したいですから。
今の夫はモラハラ、パワハラではあるものの、“離婚の決定打”にはまだ至っていないという感じ。とはいえ毎日が幸せかと問われれば、幸せではありません。こういうモヤモヤした不満や不安を抱えている人は、どのタイミングで離婚を選ぶんでしょうね?『あのとき、もっと早く離婚を選択しておけばよかった』と後悔するのだけは避けたいんです」
理沙さんは離婚の意思が固まっているわけではありません。ただ「こういう夫と、ずっと生涯を添い遂げるのはどうなのか」という疑問を抱きながら、日々の生活を送っているそうです。熟年離婚が増えている背景には、理沙さんのように子育て中には夫の挙動に我慢を重ね、子育てが終わったタイミングで「老後は別々で」と別れを選択する妻も少なくない現実もあるのでしょう。離婚せずに状況が改善されるのが一番ではありますが、長い時間をかけて我慢を重ねるほど、修復が難しい夫婦間の溝が生まれてしまうのも、実態と言えるのではないでしょうか。
取材・文/並木まき