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2023.04.25

「年俸制」とは?従業員・企業それぞれの視点で見たメリット・デメリットを解説

求人サイトなどを見ていると、ときに「年俸制」と書かれているものを目にします。ではこの年俸制とは、どのような制度なのでしょうか。本記事では「年俸制とは」をテーマに、企業側・従業員側から見たメリット・デメリットや注意点などを解説していきます。

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そもそも年俸制とは?

導入している企業も多い「年俸制」。しかし多くの企業では「月給制」を採用しているため、あまりなじみのない方も多いのではないでしょうか。

給料の差を表したイメージイラスト

本章ではまず、年俸制の決まり方や給与の払い方、月給制・日給制との違いなどを解説していきます。

■年俸制はこう決まる!

年俸制における支給額の決め方は、企業によって違いがあります。多くの企業では、個人に対する前年の評価によって、金額が決まります。あらかじめ計算方法や評価方法、ルールなどが決められている場合が多く、その規定を元に算出した金額が支給されます。

ほとんどの企業では、これらの算出方法を従業員に開示しているため、給料が支払われる前に大体の金額を把握できる可能性もあります。

■年俸制における給与の払い方

給与については労働基準法の第24条によって決められています。同法律には「毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と記載されています。この点は、年俸制も月給制も同様です。

年俸制の場合は、たとえば年間の総支給額を12ヶ月で分割した金額が、毎月支払われるなどのケースが多いです。支払日などについては企業ごとに異なるので、別途確認してください。

参照:e-Gov法令検索(労働基準法)

■月給制・日給制との違い

では年俸制と月給制・日給制は、どのような点で違いがあるのでしょう。年俸制は年単位の給与を決定し、分割して支払う制度のことです。

それに対して月給制は、毎月の基本給や手当を決定して支払う給与形態のこと。そして日給制は1日を単位として給与の金額を決めたのち、指定の日に支給するものです。

つまり「年俸制」「月給制」「日給制」それぞれの違いは、おおまかには金額を決める際の単位にあるといえます。

【企業側】年俸制のメリット・デメリット

では年俸制は、どういった理由から企業に導入されているのでしょうか。企業側から見ても、年俸制にはメリットとデメリット、どちらの側面もあります。

カレンダーや電卓のイメージイラスト

本章では、企業から見た年俸制のメリットとデメリット、それぞれについて解説していきます。

■年俸制のメリット

企業から見た年俸制のメリットとしては、まず「経営計画がたてやすいこと」が挙げられます。年俸制であれば、あらかじめ1年分の給与額を把握できるため、年単位で正確に経営計画を立てることできます。

月給制の場合は、業績や成果などによって毎月の人件費が変動するため、正確に計画を立てにくくなります。また年齢とは無関係に給与が決められるケースが多い年俸制は、従業員のモチベーションも維持しやすくなるとされています。

■年俸制のデメリット

年俸制を導入する際の企業側のデメリットは、「仕組みを途中で変更できないこと」です。年俸制の場合、1年分の給与額をまとめて決めるため、途中で変更できないという面があります。

万が一予想外な事態が起き、業績が悪化してしまったとしても、給与額を変更することはできません。経営計画が立てやすい反面、柔軟な対応ができないといった点が、企業から見る年俸制のデメリットです。

【従業員側】年俸制のメリット・デメリット

従業員側から見ても、やはり年俸制にはメリットとデメリットがあります。年俸制のメリットとしては、仕事のモチベーションを維持しやすいことが挙げられますが、かえってモチベーションが維持しにくくなってしまう場合もあるのです。

ノートパソコンを使う人のイメージイラスト

一見すると矛盾しているようですが、一体どういうことなのでしょうか。以下で解説していきます。

■年俸制のメリット

従業員から見た年俸制のメリットは、今年の成果が来年1年分の給与に反映される点です。そのため大きな成果を上げさえすれば、翌年の1年間、大幅に給与アップが狙えます。成果が目に見えて実感できるため、仕事に対するモチベーションを維持しやすくなります。

また、会社の業績が不安定であっても給与が減る心配がないことも、従業員にとってはうれしいポイントです。

■年俸制のデメリット

従業員から見た年俸制のデメリットは、期待した成果を上げられなかった場合でも、翌年1年間の給与が決まってしまう点です。

場合によっては翌年の年俸が減ってしまう可能性もあるため、プレッシャーになってしまうおそれもあります。成果を上げられなかった場合、モチベーションを維持するのが難しくなってしまうこともありえます。

年俸制の注意点とは?

年俸制には、いくつかの注意点があります。本章では年俸制の企業に就職する場合や、所属している企業で年俸制を導入する際の注意点として「欠勤控除について」「残業代について」「税金について」「退職・解雇について」の4点に分けて解説します。

税金のイメージイラスト 豚の貯金箱とTAXの形の積み木がシーソーの両側にそれぞれ置かれている様子

■欠勤控除についての注意点

年俸制の企業に就職、または企業がこれから導入を検討している場合、欠勤控除については注意が必要です。たとえ前年に給与額が決められている年俸制であっても、早退や遅刻、欠勤した場合は、欠勤控除が適用されます。

欠勤控除が適用されるケースは企業によって異なるため、事前に確認しておかなければなりません。

■残業代についての注意点

年俸制であっても、月給制と同様に「法定労働時間(見込み残業時間)」を超過した場合の「残業代」はしっかりと支払われるものです。企業から見た場合、いくら人件費が事前に決定しているとは言っても、残業代には考慮しなければなりません。

また給与を受け取る従業員も、追加で支払われるべき「残業代」は、しっかりと把握しておきましょう。

■税金についての注意点

当然ながら、年俸制においても税金の支払い義務は発生します。納めるべき税金は、以下の通りです。

・健康保険料
・介護保険料
・厚生年金保険料(社会保険・雇用保険)
・所得税

しかし注意したい点は、年俸制における各種税金の支払い方法が、給与の受け取り方によって異なる点です。企業の規定などによるため、詳しくは個々で調べてみてください。

■退職・解雇についての注意点

前年度の評価をもとに1年分の給与が決定する年俸制。では途中で退職または解雇となって、会社を辞める場合はどうでしょうか。年の途中で企業を退職した場合でも、基本的には月給制と同様に、企業に勤めていない(働いていない)期間の給与が支払われることはありません

賞与においても、年俸制に賞与が含まれる場合は、受け取ることができます。ただし賞与支給日に在籍していない場合は、受け取ることができないケースもあるため、注意してください。

年俸制について理解しておこう!

給与形態のひとつである「年俸制」について、企業側と従業員それぞれから見たメリットとデメリット、注意点などを説明しました。あとから「知らなかった」とならないように、年俸制のよい面・悪い面・注意点を確認してみてはいかがでしょうか。

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