こんにちは、editor_kaoです。
ファッション連載なのに、すぐにファッションではない話を書きたがる傾向を反省し、今回はひさしぶりにファッションの“基本のキ”について、がっつり向き合ってみようかと思います。
先日、あるWebメディアで、おすすめのボーダーカットソーの記事を投稿したのですが、ボーダーって意外と難しいですよね。ほっこり見えたり、周りとカブったり。特に私が選んだものは、モノトーンのクルーネック&長そでタイプで、そのままだと囚人服っぽくなってしまいそう(古い?)。ショップでハンガーにかかっているのを見ただけでは、選ばない人もいるのではないでしょうか。
しかーし! 私には上手に着られる勝算がありました。モノトーンに限らず、ボーダーカットソーを着るときのマイルールなのですが、「そでを必ずたくし上げる」んです。ちょっとしたことだけど、これが本当に大切で。そで口を雑に(←これも大事)くるりと折り曲げ、そのままひじまで上げる。すると、腕の華奢な部分が表れて、抜け感が出るように。またボーダーの柄部分も少なくなるので、「上半身がボーダーで覆われてる!」という印象も軽減。やや使い古された言い回しですが、「こなれ感」というのが、生まれてくるのです。
すそのあしらいも、ボトムによって変えています。細身のパンツならそのままアウト、ワイドパンツやボリュームスカートならウエストイン。あえてルーズに、そでもそのまま、すそもアウトという、ボーイズライクな着方もありだけど、Domaniのファッションが好きな人には、向かないかもしれません。
「着る」と「着こなす」は大きく違う
これが「着る」ではなく、「着こなす」ということ。もう少し具体的に言いかえれば、「自分の体になじませる」でしょうか。
一見コーディネートが難しそうなアイテムも、「着こなす」ことで、印象が洗練されることがあるんです。反対に、どんなにおしゃれなアイテムでも、「ただ着る」だけでは魅力が半減。ときどき街で、アイテムそのものはかわいいのに、なんだかおしゃれに見えない人を見かけますが、きっと何も考えないで、着てるだけなんだろうなと思います。
そういえば昔、あるトップモデルが、カメラ前に立つ寸前に、衣装を勝手に着崩していたというエピソードを聞いたことがあります。シャツのボタンをひとつ大きく開けたり、スカートのウエスト位置を上げたり。本来、衣装の着せ付けはスタイリストの意志によるものなので、モデルが勝手に変更するのはNGなのですが、今思うと、その気持ちだけはわからないでもない(ダメだけど)。自分の体にフィットさせ、まるで私服のように衣装を表現したかったのでしょう。確かに、どんな服も上手に着られるのは、その感覚が優れていたからだと思います(ダメだけど)。
服を「考えて着ている」人になる!
「何も考えないで服を着る」というのは、とても危険です。どんなアイテムも、どう着るかで見え方は変わってくる。これはコーディネートとは別の話。たとえ組み合わせはベーシックでも、素敵な人っているじゃないですか。その人の顔立ちや体型、雰囲気ももちろん大きいけれど、「着方」も同じくらい大事な要素なんです。ボーダーカットソーの話でいうと、私はそでをたくし上げるというアレンジを加えて「ちゃんと考えて服を着ている」人に見せているわけです。「着こなす」ポイントは、ほかにもたくさん。さっきも書いたとおり、トップスのすそはアウトかインか(もしくは前だけインか)、フロントのボタンはどれだけ開けるのか、ボトムのウエスト位置はどこに設定するのか……。
細かいことをいったら、キリがありません。そして意外にもそれは、全員に通用する正解があるようでなく、その人の体型に合っているかどうかと、そのアイテムをどういう雰囲気で着たいかがカギ。結果「自分の体になじんでいるかどうか」ということになります。
果たして自分にとっての「着こなし」とは。これは正直、鏡の前で日々研究するしかありません。みんな、日々忙しいのに残念ですが、おしゃれは一日にしてならず、なのです。
【今日のひと手間】
春に便利な、ニットベストが新しいワードローブに仲間入りしています。シャツに、カットソーに、ワンピースに。なんでもレイヤードできて、それだけで今っぽく見えるし、寒さ対策にもなるのでありがたい。この上からジャケットやコートが羽織れるのも高ポイント。今季のおすすめアイテムです!
エディター
editor_kao
大人の実用ファッションを中心に、人物インタビューや日本の伝統文化など、ジャンルレスで雑誌やブランドサイト、ウエブマガジンで活動中。また、インスタグラム@editor_kaoでは、私服コーディネートを紹介するかたわら、さまざまなブランドや百貨店とのコラボレーションも手がけている。ライフスタイルWEBメディアkufura(クフラ)でも「4ケタアイテムで叶えるオシャレ」を連載中。
イラスト/柿崎こうこ
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