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2023.05.22

「水無月」は〝旧暦で使用されたある月〟の呼び名|関連する行事や和菓子についても解説

「水無月」は、旧暦の6月をあらわす言葉で、現在の6月末から8月初旬を指します。6月晦日の行事、「夏越の祓(なごしのはらえ)」では、厄払いの意味を込めて和菓子の水無月を食べる風習があります。水無月の意味や由来、関連する行事や和菓子についてまとめました。

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「水無月」は旧暦の〝6月〟のこと

「水無月」は、旧暦の6月をあらわす言葉です。水無月の由来や、現代において水無月に該当する時期などについて解説します。

紫陽花の花

■水の無い月ではない

水無月は水の無い月と書きます。しかし、旧暦の6月をそのまま「水の無い月」と理解するのではなく、「無(な)」は「の」という意味の古語であると捉え、「水の月」の意味と解釈する説が有力です。

これらの解釈は、旧暦の6月が田んぼに水を引く時期、あるいは梅雨の時期にあたることに由来するといわれています。

旧暦6月の異名には「水張月(みずはりづき)」もあるため、「水の無い月」という意味では矛盾します。やはり、田んぼに水を引く時期と考えるのが自然でしょう。

水無月にはこのほか、「皆仕月(みなしづき)」が変化したという説もあります。皆仕月は、田植えを済ませ、大きな農作業がすべて終わる月をあらわす言葉です。

■現在では6月末から8月初旬にあたる

水無月は、現在使われている新暦に置き換えると、6月末から8月初旬にあたる月です。

旧暦とは、明治6(1873)年に太陽暦が採用されるまで、日本で使われていた太陰太陽暦のことを指します。旧暦は、月が新月となる日を各月の始まりと考えたため、新月から新月までの約29.5日を1ヵ月とします。

また、旧暦の年初は年によって異なるのが特徴です。新暦の1月下旬から2月下旬が、旧暦の年初に該当します。

■水無月の異名

旧暦の6月には、水無月のほかにも以下のようにさまざまな呼び名があります。

・晩夏(ばんか)

・季夏(きか)

・水張月(みずはりづき)

・鳴神月(なるかみづき)

・風待月(かぜまちづき)

 

旧暦の夏は4月から6月であったため、6月末から8月初旬は夏の終わりに該当することから、「晩夏」とも呼ばれました。「季夏」の「季」も、四季の終わりを意味する言葉です。

また前述のとおり、旧暦の6月は田んぼに水を引く月であったため、田んぼに水を張る月として「水張月」という呼び名もありました。

さらに、雷が多い月でもあるために「鳴神月」、暑くなり、風が吹くのが待ち遠しい月という意味の「風待月」という異名もあります。

■「水無月」以外の和風月名

水無月以外の、旧暦の各月に対応した和風月名は以下のとおりです。

春夏秋冬の花や紅葉などそれぞれの代表的なイメージ

1月:睦月(むつき)

2月:如月(きさらぎ)

3月:弥生(やよい)

4月:卯月(うづき)

5月:皐月(さつき)

6月:水無月(みなづき・みなつき)

7月:文月(ふみづき・ふづき)

8月:葉月(はづき・はつき)

9月:長月(ながつき・ながづき)

10月:神無月(かんなづき)

11月:霜月(しもつき)

12月:師走(しわす)

 

いずれも風情を感じる名前です。ただし旧暦の春は1月から3月、夏は4月から6月、秋が7月から9月で、10月から12月が冬です。現在の各月とは、季節感が若干異なることに注意しましょう。

「水無月の祓い」ともいわれる行事、夏越の祓

水無月にあたる6月の晦日(みそか)には、宮中で「夏越の祓(なごしのはらえ)」という、禊(みそぎ)を行っていました。夏越の祓は、水無月の祓いとも呼ばれます。

やがて全国の神社に広まり、現在でも1年の折り返しにあたる6月30日に、半年間の罪や穢れを祓い、残り半年間の無病息災を祈願するようになりました。

茅(ち)の輪くぐり

この日の代表的な行事は、「茅(ち)の輪くぐり」です。神社の鳥居の下や境内に用意された大人の背ほどもある大きな、植物の茅(かや)で作られた輪をくぐります。

参拝者が茅の輪をくぐることで、疫病や災厄から免れるといわれており、「水無月の夏越の祓をする人は、千歳の命延ぶというなり」と唱えながらくぐることもあります。

茅の輪のくぐり方はそれぞれの神社で異なるものの、横倒しの「8の字」を描くように、左回り、右回り、左回りと3回くぐるのが一般的です。最後に正面からまっすぐくぐり、神社に参拝するとされています。

夏越の祓で食べる和菓子「水無月」

水無月は、京都の名産品とされる、三角形の白い「ういろう」に炊いた小豆をのせた和菓子の名前としても知られています。ういろうとは、米粉やわらび餅、小麦粉などに砂糖や温水を混ぜ、蒸して作る和菓子の一種です。

和菓子「水無月」

和菓子の水無月は、夏越の祓の行事の一環として、6月の最後の日に食べられるようになりました。現在では関東のデパートなどでも販売されており、全国的にもファンが多いです。

ここからは、和菓子の水無月のなりたちや、水無月が三角形である理由を解説します。

■厄払いや夏バテ予防として食べる

水無月は、厄払いや夏バテ予防として食べられます。旧暦の6月1日は「氷の朔日(こおりのついたち)」と呼ばれ、平安時代の宮中では氷室に保存していた氷を食べる、「氷室の節会(ひむろのせちえ)」が行われていました。

本格的な夏を前に、氷を食べることで暑気払いをしていたとされています。

しかし、当時の氷は高級品であったため、庶民が口にすることはできませんでした。そこで本物の氷の代わりに、氷の形を模した水無月を食べるようになり、やがて夏越の祓の行事食として定着しました。

■水無月が三角形の理由

水無月が三角形であるのは、暑気払いとして氷の代わりに食べられていたためです。

現在、製氷皿などで作る氷は四角いものがほとんどですが、昔は大きな氷の塊を砕いて作ったため、砕いた氷の角を三角形であらわしています。透明感のあるういろうも、氷を連想させます。

「水無月」の正しい意味や由来を知ろう

水無月は、現在の6月末から8月初旬にあたる、旧暦の6月をあらわす言葉です。水の無い月と書きますが、田んぼに水を引く時期であることから、「水の月」をあらわすと解釈する説が有力です。

水が行き渡った田んぼの風景

また、水無月にあたる6月30日には全国の神社で夏越の祓という行事が行われ、この日に和菓子の水無月を食べる風習があります。

水無月をはじめとする和風月名は、季節を感じられる風情のある名前です。これを機に、水無月やほかの和風月名に関する知識を身に付けてみてはいかがでしょうか。

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