「及び」とは?
「及び」という言葉は、通常「〜と」という、並列の意味をもつ言葉です。日常会話よりもビジネスシーンで頻繁に使用されます。はじめに、正確な意味と使い方について確認しておきましょう。
本章では、「及び」や「及び腰」の正確な意味を解説していきます。本章の内容を前提知識として、本記事の内容を確認していきましょう。
■言葉の意味
「及び」は「~と」という意味で使われる接続詞です。「A及びB」とは、AとBの「両方」を指しており、複数のアイテムを並列して示す場合に使用されます。
「A及びB」も、「AとB」も同様の意味で用いられますが、ビジネスではより公式な印象を与える「及び」が使用されます。「及」という漢字は、「追いつく」や「届く」といった意味です。
[接]《漢文訓読で接続詞に使う「及」の字を「および」と読んだところから》複数の事物・事柄を並列して挙げたり、別の事物・事柄を付け加えて言ったりするのに用いる語。と。ならびに。また。そして。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
■「及び腰」とは
「及び」を含む言葉として、「及び腰(およびごし)」という表現が存在します。この「及び腰」とは、ものを取ろうとする際の中腰の姿勢や、不安定な腰の状態を指す言葉です。
もともとは不安定な姿勢に焦点を当てていましたが、後に「自信が不足している印象」や「中途半端な態度」を表現する場面で使用されるようになりました。なお、接続詞としての「及び」とは無関係です。
および‐ごし【及び腰】 の解説
1 中腰で手を伸ばして物を取ろうとする、不安定な腰つき。へっぴり腰。
2 自信がなさそうなようす。遠慮したり恐れたりしているような中途半端な態度。「政治改革に—になる」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「及び」の対義語は?
接続詞である「及び」には、複数の対義語が存在します。「◯と△」といった意味をもつ「及び」の対義語は、基本的に「◯か△(のどちらか)」を意味する言葉が該当します。たとえば、「或いは〜」や「又は〜」です。
本章では「及び」の対義語として、上記2つの言葉を解説します。2つの言葉が、それぞれどのような意味をもつのかに注目しながら、確認してください。
或いは〜
「或いは(あるいは)」という語句は、複数の選択肢から1つを示す際に使われます。たとえば、「会議は東京、或いは大阪で開催されます」という文では、会議が東京か大阪のどちらかで開催されることを意味しています。
又は〜
「又は(または)」は、2つ以上の選択肢から、1つを選ぶ際に使用される言葉です。たとえば、「リーダー、又はマネージャーが出社してください」という文である場合、リーダーとマネージャーのうち、どちらか一方が出社すればよいという意味になります。
「又は〜」ではなく「及び」が使われていた場合は、リーダーとマネージャーどちらも出社しなければならないことを意味します。
他の言葉との違い
複数のものを並べて記す際に使われる接続詞は、「及び」のほかにもいくつか存在します。同じ接続詞であっても「しかし」と「そのため」のように、まったく異なる意味をもつ語句も多くあるでしょう。
本章では、数ある接続詞の中から「かつ」「もしくは」「ならびに」といった3つをピックアップして、「及び」との違いを解説していきます。
「かつ」との違い
「及び」と「かつ(且つ)」は、どちらも「AとBの両方」を意味しています。しかし、2つの単語には異なるポイントがあり、両者を互いの言い換え表現として用いることはできません。
基本的に「及び」は、AとBが「名詞」である場合に使用されます。これに対して「かつ(且つ)」はAとBが、いずれも「動詞」や「形容詞」につながる場合に使われる接続詞です。
「もしくは」との違い
「もしくは(若しくは)」も「及び」と同様に接続詞ですが、両者は対立の関係にあります。「もしくは」は「又は〜」「或いは〜」の類語であり、2つのうちいずれか一方という意味をもちます。
そのため、「及び」の言い換え表現として「もしくは」は使用できません。