「ならびに」との違い
「ならびに(並びに)」もまた、「及び」と同様に複数の事柄を並列に記すために使われる接続詞です。しかし、細かく見ていくと、両者には多少の違いがあります。「及び」を用いる場合は、並列されたそれぞれの事柄が性質の似通っていなければなりません。
これに対して「ならびに」を用いる場合は、それぞれの事柄の性質や規模感、種類が異なる可能性もあります。
「果物のりんご及びブドウ、ならびに野菜のナス及びかぼちゃ」という、例文で考えてみましょう。りんごとブドウはどちらも果物であるため「及び」で繋ぎますが、果物と野菜といった異なる性質のものを並べる際は「ならびに」を使います。
「及び」が使われる文書とは?
「及び」は、さまざまな文書で使用される言葉です。例えば「契約書」や「同意書」、「法令の条文」などです。本章ではそれぞれの文章にて「及び」がどのように用いられるのか、解説していきます。なお各書類がどのような文書なのかといった解説もしていくため、参考にしてください。
契約書など
契約書のなかでは、「及び」を頻繁に使用します。たとえば、「甲及び乙は、次に定める事項を表明し、保証する」などは、契約書内の文章でよく目にするでしょう。この場合、事項を表明して保証するのは、甲と乙のどちらもであると分かります。
契約書のほかにも、「覚書」「合意書」といった書類の文章内で「及び」は多く用いられています。
同意書など
同意書や誓約書、念書に記載される文章にも「及び」が用いられます。同意書とは、相手が将来的におこなう行為に対して、あらかじめ同意(賛成)していることを示す文書のことです。
誓約書は、書類に署名する本人が将来的に、特定の行為をおこなう(又はおこなわない)といった旨を文書として残すために用いられます。念書は作成者が何らかの事柄を、相手にして約束するものです。
法令の条文など
法令の条文にも、「及び」が用いられます。たとえば、民法の第1条2項には「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」といった一文があります(※)。法令の条文には、「及び」のほかにも「かつ」「又は」などの接続詞も、頻繁に使用されています。
(※)参考元:法令リード|民法
「及び」を正しく使用しよう!
接続詞として用いられる「及び」という言葉について、ここまで解説しました。ビジネスシーンや公的書類などでは、「AとB」と表現する代わりに「A及びB」と記載されるのが一般的です。
日本語の接続詞は「及び」のほかにも複数あり、複数を並列に記す際にも、いくつかのバリエーションがあります。しかし、それぞれの接続詞が、全く同じ意味をもつとは限らないため、本記事の内容を参考に正しく使い分けてください。
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