「冗長」とは?基礎知識を簡単に解説
「冗長」の読み方は「じょうちょう」です。無駄が多いことを指す言葉で、多くの場合はネガティブなニュアンスとして使います。ただし、IT用語としての冗長の意味はまた異なっていて、メリットのあるものです。
はじめに、冗長とはどのような言葉かを簡単に解説します。詳しい意味やIT用語としての冗長の意味・メリット、数学や心理学などでの冗長の意味、使い方・例文を確認していきましょう。
■意味は「むだが多くて長いことや、そのさま」
【じょう‐ちょう冗長‐チヤウ】
(名・形動)文章・話などが、むだが多くて長いこと。また、そのさま。「話が―に流れる」「―な論文」
〈派生〉じょうちょうさ(名)
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
冗長とは、「話や文章などにむだが多くて長いこと」「むだが多くて長いさま」を指します。普段の生活よりも、ビジネスシーンで使うことが多い言葉です。不必要な内容が多くて一文が長すぎることを相手に指摘する場合などに、「冗長な文章になっている」と使います。
同じ「じょうちょう」という読み方をする言葉に「助長」があります。助長は「助けて物事を成長させること」を指す言葉です。それぞれで意味が異なるため、誤用しないように注意しましょう。
■IT用語としての冗長の意味
IT用語としての冗長とは、「何かあったときのために予備や余裕を持たせること」を指します。機器が故障したり、突発的にアクセスが集中したことで負荷が急増したりといった事態が起こった場合に備えておくもので、「冗長性」や「冗長化」などと表現します。
冗長化とは、何かあったときのために複数の機材でデータのバックアップをとったり、負担を複数に分散したりすることなどを指す言葉です。また、冗長化した状態を「冗長性がある」と表現します。
IT用語として冗長という表現を使う場合には、一般的な意味とは異なりネガティブなニュアンスはありません。むしろポジティブな言葉として使われています。
■IT用語としての冗長のメリット
IT用語としての冗長のメリットは、以下のとおりです。
・万が一メインシステム障害が発生しても、予備システムの稼働によって機能を維持できる
・サーバー、システムの停止による社会的信用の失墜や多額の損害を回避できる
・片方を停止できる状態であれば、システムのメンテナンスをおこないやすい
ITに関連して、以下のようなリスクがあります。
・サイバー攻撃によるセキュリティ上のリスク
・設備や機器の故障などのリスク
・自然災害などの緊急事態が発生するリスク
これらのリスクに備えておくために、冗長性・冗長化が求められるのです。
■数学や心理学などでの冗長の意味
数学や心理学などでも、冗長という表現を使います。
数学では、「理論上はなくてもいい命題」もしくは「理論上はなくてもいい命題を含むもの」のことを、「冗長性」と表現します。また、「余分な命題」も同様の意味です。
心理学では、「余分な部分の付加により、機能の安定化が図られていること」を指し、冗長度が高いほどに余裕や安定性があるとされます。余剰性やリダンダンシーも、同様のことを指す意味です。
■冗長の使い方・例文
それでは、冗長の使い方を例文で確認していきましょう。
〈一般的な使い方をした例文〉
・冗長な文章でわかりにくいです。修正をお願いします。
・教授に提出したレポートに対して、「内容は良いものの冗長表現が気になる」と指摘された。
〈IT用語としての使い方をした例文〉
・トラブルにそなえて、基幹システムの冗長化を検討してください。
・弊社のシステムには冗長性があるため、顧客から高く評価されている。
このように、「冗長な〇〇」「冗長表現」「冗長化」「冗長性」などと使います。
冗長の類語・言い換え表現と対義語表現
冗長の類語・言い換え表現と対義語表現は、以下のとおりです。
〈冗長の類語・言い換え表現〉
・冗漫(じょうまん)
・長たらしい(ながたらしい・ながったらしい)
・くどい
〈冗長の対義語表現〉
・端的(たんてき)
・簡潔(かんけつ)
・省略(しょうりゃく)
冗長の類語・言い換え表現のなかには直接的に伝えないほうが良い表現もあるため、注意が必要です。それでは、それぞれの言葉の意味を確認していきましょう。
■冗長の類語・言い換え表現
冗長の類語・言い換え表現は、以下のとおりです。
・冗漫(じょうまん)
・長たらしい(ながたらしい・ながったらしい)
・長々しい(ながながしい)
・くどい
・過剰(かじょう)
「冗漫」とは、「しまりがなく、くどくて無駄が多いこと」を指します。この場合の「漫」は「散漫」の意味を含み、しまりがないことを意味します。
「長たらしい」とは、「不必要に長いさま」を表現する言葉です。「長たらしい」や「長々しい」などは、相手に対して直接伝えないほうが良いでしょう。
■冗長の対義語表現
冗長の対義語表現は、以下のとおりです。
・端的(たんてき)
・簡潔(かんけつ)
・省略(しょうりゃく)
「端的(たんてき)」とは、「要点をとらえていること」「はっきりしているさま」を指す言葉です。「端的に話す」「端的にまとめる」などと使います。
「簡潔」とは、「簡単で要領を得ているさま」のことです。また、「省略」とは「簡単にまとめられるように手間や作業を取り除くこと」を指します。
冗長という言葉の意味を理解しよう
冗長とは無駄が多いことを指す言葉で、ネガティブなニュアンスで使うことが多いです。ただし、IT用語や数学、心理学における冗長の意味はまた異なっています。
使用する際は、「冗長な〇〇」「冗長表現」「冗長化」「冗長性」などと表現します。
似た意味で使われる言葉は、冗漫や長たらしいなど、複数あります。ただし、意味が似ている言葉でも、異なる部分もあることに注意が必要です。違いを理解し、シーンにあわせて使い分けるようにしましょう。
また、冗長の対義語表現には、端的や簡潔、省略などがあります。
意味や使い方・例文、関連語などを確認し、言葉を正しく理解しましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(C)Adobe Stock
▼あわせて読みたい