「釈明」とは?
「釈明(しゃくめい)」とは、誤解や疑いを解消するために、自分の立場や言動について説明することを指します。自分の言動や行為について誤解があったり、疑いをかけられたりした際には、積極的に釈明することが求められます。
本章では、「釈明」の意味や使い方を解説します。また「釈明権」についても説明するため、参考にしてください。
■「釈明」の意味
釈明は「しゃくめい」と読みます。「釈」という漢字には、「分かりにくいこと・ものを、分かりやすく述べること」という意味があります。そして「明」は、「物事を公に(明らかに)すること」という意味をもつ漢字です。
[名](スル)自分の立場や考えを説明して、誤解や非難を解き、理解を求めること。「事故原因について―する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「釈明」することで、自分の立場や考え方を明確に説明し、周囲の人々に正確な情報を伝え、信頼関係を築けます。
■使い方
釈明とは、誤解や非難を避けるために説明することや、それぞれの課題を解決したうえで、相手に理解してもらう行為そのものを指すこともあります。例文としては、以下のとおりです。
・横領問題で注目されている政治家が記者会見を開き、事の顛末を釈明した
・スキャンダルの疑惑が上がっている芸能人が、自身のブログで釈明していた
■釈明権とは?
釈明を使った言葉として、「釈明権」というものがあります。釈明権とは、裁判所が当事者に対して事件の真相を明らかにするため、法律上および事実上の事柄を質問し、陳述もしくは立証を促す権限のことです(※)。
(※)民事訴訟法149条に定められている。なお刑事裁判における釈明権は、刑事訴訟規則208条に定められている
釈明が必要となるシーンは?
日常において、釈明が必要となるのはどのようなシーンなのでしょうか。一般的には、誤解や疑いを解消するために、自分の立場や言動について説明する必要性が生じた場合に釈明の機会が与えられます。
本章では、釈明が必要となるシーンについて解説していきます。どのような場合に釈明が必要となるのか、参考にしてください。
■相手から不誠実と思われてしまったとき
自分が相手から「不誠実」と思われてしまったとき、もしくは不誠実な態度をとってしまったと自覚がある場合に釈明が必要となります。
たとえば、「浮気をした」または「浮気を疑われてしまったとき」に釈明するでしょう。また逆に不誠実さを感じた場合は、「釈明」を求めることにもなります。ほかにもさまざまな誤解や非難を受けた場合、釈明が必要です。
■不祥事や大きなミスが発覚したとき
ビジネスシーンで釈明が必要になるのは、「不祥事」や「大きなミス」が生じた場合が多いでしょう。こちら側の落ち度によって、なんらかのトラブルが生じてクライアントを怒らせてしまった際に、釈明が必要になります。
なぜこのようなトラブルや問題が生じてしまったのか、そして今後同じ事態を避けるためにはどうすべきなのかを説明します。
釈明の類語
釈明には、説明するという意味がありますが、同じような意味合いをもつ言葉がほかにもいくつかあります。本章では、釈明の類語として、「弁解」「弁明」「言い訳」といった3つの語句を解説します。
類語も合わせて覚えておくことで、ボキャブラリーが一気に増えるでしょう。
■弁解
「弁解(べんかい)」は「自分の過ちを正当化するために、理屈を交えて物事を解説する」といった意味があります。たとえば、以下のようなシーンを「弁解」といいます。
・自分の立場や行動について説明する
・自分の言動を正当化する
・過ちや不適切な行動を謝罪する
釈明と同様に、ややネガティブなニュアンスを含むことも「弁解」という語句の特徴です。
■弁明
「弁明(べんめい)」は、「説明をおこない、物事を明確にすること」と「事情や立場を明らかにし、相手の理解を求めること」といった2つの意味をもちます。
意味としては「釈明」と似ていますが、「弁明」には「言い訳」や「言い逃れ」といったネガティブなニュアンスは含まれません。事実のみを説明するといった、意味合いが強い言葉です。
■言い訳
同じ事情を説明する場合でも「言い訳」となると、ネガティブなニュアンスが強くなります。言い訳とは、「そうなってしまった事情を説明し、了承を得ること」や「道筋を説明し、明らかにする」という意味です。
一般的には、ミスや過ちの責任逃れをする人に使われる言葉であるため、あまりよい意味ではありません。「弁解」とも近いニュアンスで使われています。
印象が悪くならない釈明方法
なんらかのトラブルやミスが発生した場合、素早い対応と適切な釈明が求められます。しかし、釈明方法によってはかえって印象が悪化してしまうこともあるかもしれません。
そこで、印象が悪くならない釈明方法について解説していきます。釈明をする機会がある場合は、印象が悪くなってしまわないように、本章の内容を参考にしてください。
■低姿勢を忘れない
トラブルやミスが発生した場合、相手から非難されることが多いため、まずは低姿勢で接することが大切です。具体的には、以下のような点に注意してください。
・謝罪の言葉を適切に伝える
・相手の意見を聞き入れる姿勢を示す
・相手に対して敬意を表する
上記に加えて、相手に不快な思いをさせてしまったことを謝罪する気持ちも忘れないようにしましょう。
■「言い訳」と受け取られないようにする
釈明をおこなう際には、「言い訳」と受け取られないように注意しなければなりません。具体的には、以下の点に気をつけましょう。
・自分の責任を認める
・正確に伝える
・相手に配慮した表現を使う
「釈明」が必要な状況は、相手から誤解をされてしまった場合が多いでしょう。上記のような点に注意し、言い訳と思われてしまわないようにしてください。
■相手の立場にたった言い方を心がける
自分に落ち度があった場合でも、そうでない場合でも、釈明をする際はまず「相手の立場」にたった言い方を心がけましょう。自分の意見を理解してもらうためには、相手に話を聞いてもらわなければなりません。
両者が感情的になってしまうと、事態がより深刻化してしまいます。相手の心理状態を考慮して、釈明しましょう。
「釈明」を理解し、言い訳にならないように注意しよう
釈明という言葉について解説しました。トラブルが生じた際や、相手に不誠実な態度をとってしまった際に「釈明」をおこないます。しかし、釈明は「言い訳」や「弁明」のように、ネガティブなイメージを与えてしまうこともあります。
印象が悪くならない釈明方法を参考にして、より一層相手を怒らせてしまうことがないように気をつけましょう。
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